37 / 50
37.幸運な訪問
しおりを挟む
「パルセットさん、本当にありがとうございます。お陰で助かりました」
「いえいえ、お気になさらないでください。どうせ今日は、暇でしたから」
パルセットさんに指導してもらいながら、私は家の掃除を終えた。
やってみるとわかったが、そんなに恐れるものではなかったといえる。もちろん、きちんと綺麗にするのは難しいことではあるが、少なくとも尻込みする必要はなかっただろう。
しかし、パルセットさんには申し訳ないことをしてしまった。私のせいで、推定休日を潰してしまったのだから、ここは何か補填をバルハルド様に頼むべきかもしれない。
「それにしても、リメリア様がわざわざ掃除するなんて、意外でした。てっきり、使用人の方々に任せるものだと思っていましたが……」
「こちらに来るまでは、私もそれでいいと思っていました。ただ、バルハルド様を見ていると、自分でやれることはやった方がいいと思うようになったんです」
「それはご立派ですね。流石は、バルハルド様が選んだ方……という言い方は、失礼でしょうか?」
「いいえ、私にとっては賞賛の言葉です」
パルセットさんは、バルハルド様のことをかなり信頼しているようだった。
それは当然のことだといえる。バルハルド様は信頼できる人なのだから、長い付き合いをしていれば、そうなるものだろう。
「といっても、掃除なんかどうしたらいいかわからなくて、悩んでいたんです。パルセットさんが訪ねて来て下さったことは、私にとって幸運でした」
「そんなことを言っていただけるなんて、なんだかとても嬉しいですね。でもそういうことなら、いつでも私を頼ってください。花嫁修業なんて大げさかもしれませんが、そういった事柄なら教えることができます」
「そうですね。せっかくですから、お願いしましょうか」
パルセットさんから色々と習うことは、私の今後に活かせるような気がする。
レスティア商会を率いるバルハルド様を支えたい。それが今の私の気持ちだ。
となると、こういった家を預かるというのも私の役目だといえる。それらを学んでおくことは、きっと有意義であるだろう。
「しかし、本当に安心できます。バルハルド様に、リメリア様のような方が嫁いでくださるなんて……」
「そんなに大袈裟なことではありませんよ。私なんて、別に普通ですから」
「いえいえ、リメリア様はご立派な方です。どうかこれからも、バルハルド様のことを支えてあげてください」
「ええ、もちろんです」
パルセットさんの言葉に、私は力強く頷いた。
変な形になってしまったが、彼女に認められたことは嬉しいことだ。これは帰って来るバルハルド様に、良い報告ができるかもしれない。
「いえいえ、お気になさらないでください。どうせ今日は、暇でしたから」
パルセットさんに指導してもらいながら、私は家の掃除を終えた。
やってみるとわかったが、そんなに恐れるものではなかったといえる。もちろん、きちんと綺麗にするのは難しいことではあるが、少なくとも尻込みする必要はなかっただろう。
しかし、パルセットさんには申し訳ないことをしてしまった。私のせいで、推定休日を潰してしまったのだから、ここは何か補填をバルハルド様に頼むべきかもしれない。
「それにしても、リメリア様がわざわざ掃除するなんて、意外でした。てっきり、使用人の方々に任せるものだと思っていましたが……」
「こちらに来るまでは、私もそれでいいと思っていました。ただ、バルハルド様を見ていると、自分でやれることはやった方がいいと思うようになったんです」
「それはご立派ですね。流石は、バルハルド様が選んだ方……という言い方は、失礼でしょうか?」
「いいえ、私にとっては賞賛の言葉です」
パルセットさんは、バルハルド様のことをかなり信頼しているようだった。
それは当然のことだといえる。バルハルド様は信頼できる人なのだから、長い付き合いをしていれば、そうなるものだろう。
「といっても、掃除なんかどうしたらいいかわからなくて、悩んでいたんです。パルセットさんが訪ねて来て下さったことは、私にとって幸運でした」
「そんなことを言っていただけるなんて、なんだかとても嬉しいですね。でもそういうことなら、いつでも私を頼ってください。花嫁修業なんて大げさかもしれませんが、そういった事柄なら教えることができます」
「そうですね。せっかくですから、お願いしましょうか」
パルセットさんから色々と習うことは、私の今後に活かせるような気がする。
レスティア商会を率いるバルハルド様を支えたい。それが今の私の気持ちだ。
となると、こういった家を預かるというのも私の役目だといえる。それらを学んでおくことは、きっと有意義であるだろう。
「しかし、本当に安心できます。バルハルド様に、リメリア様のような方が嫁いでくださるなんて……」
「そんなに大袈裟なことではありませんよ。私なんて、別に普通ですから」
「いえいえ、リメリア様はご立派な方です。どうかこれからも、バルハルド様のことを支えてあげてください」
「ええ、もちろんです」
パルセットさんの言葉に、私は力強く頷いた。
変な形になってしまったが、彼女に認められたことは嬉しいことだ。これは帰って来るバルハルド様に、良い報告ができるかもしれない。
363
お気に入りに追加
1,171
あなたにおすすめの小説
玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!
幼馴染が好きなら幼馴染だけ愛せば?
新野乃花(大舟)
恋愛
フーレン伯爵はエレナとの婚約関係を結んでいながら、仕事だと言って屋敷をあけ、その度に自身の幼馴染であるレベッカとの関係を深めていた。その関係は次第に熱いものとなっていき、ついにフーレン伯爵はエレナに婚約破棄を告げてしまう。しかしその言葉こそ、伯爵が奈落の底に転落していく最初の第一歩となるのであった。
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
愛人になるよう誘われ、私は夫に裏切られたことを知りました。
Mayoi
恋愛
世話になっているスタイナー子爵家の令息から愛人にならないかと誘われたダウンズ男爵夫人エルザ。
そのような要求には応じられないと断るが、驚くべきことを知らされた。
夫であるデクランが承知の上でエルザを愛人として差し出したというのだ。
婚約者に裏切られた女騎士は皇帝の側妃になれと命じられた
ミカン♬
恋愛
小国クライン国に帝国から<妖精姫>と名高いマリエッタ王女を側妃として差し出すよう命令が来た。
マリエッタ王女の侍女兼護衛のミーティアは嘆く王女の監視を命ぜられるが、ある日王女は失踪してしまった。
義兄と婚約者に裏切られたと知ったミーティアに「マリエッタとして帝国に嫁ぐように」と国王に命じられた。母を人質にされて仕方なく受け入れたミーティアを帝国のベルクール第二皇子が迎えに来た。
二人の出会いが帝国の運命を変えていく。
ふわっとした世界観です。サクッと終わります。他サイトにも投稿。完結後にリカルドとベルクールの閑話を入れました、宜しくお願いします。
2024/01/19
閑話リカルド少し加筆しました。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…
まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。
お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。
なぜって?
お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。
どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。
でも…。
☆★
全16話です。
書き終わっておりますので、随時更新していきます。
読んで下さると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる