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14.喧嘩する程
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ベルージュ侯爵夫妻との話し合いを終えた私達は、ファナト様とクルメア様と対面していた。
友人であり、この婚約を祝福してくれている二人には、堅苦しい挨拶などはいらない。私も割と気楽に、この場にいさせてもらっている。
「今回の婚約を私は祝福しています。ただ一つ問題があるとすれば、リメリアさんが私の姉になるということでしょうか」
「姉、ですか?」
「ええ、そちらの義兄は義兄ですからね。リメリアさんは、私の義姉になる訳です」
「それはなんというか、少し変な話ですね……」
クルメア様は、少しおどけた様子で話をしてきた。
私が彼女の姉になるというのは、あまり喜べることではない。先人として尊敬しており、姉のように思っていたクルメア様と立場が逆転するのは、良いことだとは思えなかった。
それについては、ファナト様に対しても同じことがいえる。義理の弟なんて、やはり変な話だ。
「年齢的に考えれば、当然そうなるのでしょうね。リメリアさんが、義姉ですか……僕としても、少し複雑かもしれません」
「というかよく考えてみれば、お義兄様は随分と若い奥様を得られる訳ですね?」
「年齢を理由にした訳ではない」
「あははっ、そうですか」
クルメア様は、バルハルド様に対して乾いた笑いを浮かべていた。
それに対して、彼の方も表面上だけの笑みを浮かべている。なんというか、この二人のやり取りはどこかトゲトゲしているような気がする。
そう思って、私はファナト様の方を見つめた。すると彼は、苦笑いを返してくる。
「リメリアさん、どうか気にしないでください。二人にとって、これはじゃれ合いのようなもので……」
「その言葉は聞き捨てならないな。私がいつどこで誰とじゃれ合ったって?」
「……兄というものは、寛大でなければならないと認識している。しかし、その言葉は許容範囲外だ。取り消してもらうぞ、ファナト」
「ほら、こんな風に息ぴったりでしょう?」
「なるほど……」
クルメア様とバルハルド様は、喧嘩する程仲が良いというような関係なのだろう。二人のやり取りは、受け流すくらいが丁度いいといった所か。
ただ、それを口に出すと二人は怒るだろう。という訳で、私は笑顔を浮かべておく。
「まあ、単純な話ですよ、リメリアさん。私とお義兄様は、相性が悪いんです」
「犬猿の中といっても、過言ではない」
「あははっ」
「あはははっ」
二人のやり取りに、私とファナト様は苦笑いを浮かべることになった。
クルメア様とバルハルド様は、似た者同士なのかもしれない。私はそんなことを思いながら、笑うのだった。
友人であり、この婚約を祝福してくれている二人には、堅苦しい挨拶などはいらない。私も割と気楽に、この場にいさせてもらっている。
「今回の婚約を私は祝福しています。ただ一つ問題があるとすれば、リメリアさんが私の姉になるということでしょうか」
「姉、ですか?」
「ええ、そちらの義兄は義兄ですからね。リメリアさんは、私の義姉になる訳です」
「それはなんというか、少し変な話ですね……」
クルメア様は、少しおどけた様子で話をしてきた。
私が彼女の姉になるというのは、あまり喜べることではない。先人として尊敬しており、姉のように思っていたクルメア様と立場が逆転するのは、良いことだとは思えなかった。
それについては、ファナト様に対しても同じことがいえる。義理の弟なんて、やはり変な話だ。
「年齢的に考えれば、当然そうなるのでしょうね。リメリアさんが、義姉ですか……僕としても、少し複雑かもしれません」
「というかよく考えてみれば、お義兄様は随分と若い奥様を得られる訳ですね?」
「年齢を理由にした訳ではない」
「あははっ、そうですか」
クルメア様は、バルハルド様に対して乾いた笑いを浮かべていた。
それに対して、彼の方も表面上だけの笑みを浮かべている。なんというか、この二人のやり取りはどこかトゲトゲしているような気がする。
そう思って、私はファナト様の方を見つめた。すると彼は、苦笑いを返してくる。
「リメリアさん、どうか気にしないでください。二人にとって、これはじゃれ合いのようなもので……」
「その言葉は聞き捨てならないな。私がいつどこで誰とじゃれ合ったって?」
「……兄というものは、寛大でなければならないと認識している。しかし、その言葉は許容範囲外だ。取り消してもらうぞ、ファナト」
「ほら、こんな風に息ぴったりでしょう?」
「なるほど……」
クルメア様とバルハルド様は、喧嘩する程仲が良いというような関係なのだろう。二人のやり取りは、受け流すくらいが丁度いいといった所か。
ただ、それを口に出すと二人は怒るだろう。という訳で、私は笑顔を浮かべておく。
「まあ、単純な話ですよ、リメリアさん。私とお義兄様は、相性が悪いんです」
「犬猿の中といっても、過言ではない」
「あははっ」
「あはははっ」
二人のやり取りに、私とファナト様は苦笑いを浮かべることになった。
クルメア様とバルハルド様は、似た者同士なのかもしれない。私はそんなことを思いながら、笑うのだった。
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