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第47話 お兄様に話して
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私とレティは、お兄様の元に来ていた。
学園でお兄様と会い、あることを話すことになっているのだ。
「それで、何があった?」
「はい。実は、前に相談したプリネさんに関することなのですが……」
「ほう? その女子生徒に何かあったのか?」
私の言葉で、お兄様はすぐにそう理解した。
事前に、私達に何かあった訳ではないとは伝えていたので、そう思うのも当然だろう。
「まだ何かあったかはわかりません。ただ、少々気になることがあったのです」
「気になること? 一体なんだ?」
「まず、今日の部活にプリネさんが来なかったことが、最初の違和感でした。昨日、プリネさんはまた明日も来ると言っていたのです」
「ほう……?」
とりあえず、私は順を追って説明していくことにした。
その方が、お兄様にもわかりやすいはずだ。
「ですが、プリネさんは来ませんでした。ただ、この時は用事などで急に来られなかっただけだと思っていました」
「ふむ……まあ、そう考えるのが妥当だろう」
「だから、私達は特に気にせず部活をしました。それで、部活中は特に何もなく終わりました」
私の言葉に、お兄様は頷く。
ここまでは、別に何もおかしな話ではない。
だが、ここからが問題なのだ。
「それで、私とレティは、家に帰ろうと思い、廊下を歩いていたのですが、そこで泣きながら走っていくプリネさんを見たのです」
「何……?」
その言葉で、お兄様の表情は変わった。
明らかに、何かあったことを示す状況が、私の口から出たからだろう。
ただ、これでもまだプリネさんに何かあったかという結論は出せない。
「その様子は、不審でした。ただ、涙を流すのには色々と理由があります。そのため、彼女が泣いていたからといって、何かがあったと考えるのは早計だと思いました」
「ふむ……」
「ですが、何かあったかもしれないという可能性もありました。彼女が、部活が終わる時間まで学校にいたこと、走っていたこと。それらのことから、私達は念のため調べてみることにしたのです」
「その判断は、正しかっただろう。仮に俺でも、そうしたはずだ」
私達の行動を、お兄様は肯定してくれた。
やはり、あの時の行動は間違っていなかったようだ。最も、ほとんどの人は、プリネさんに何かあったと感じるような状況ではあった。そのため、私達の行動は、普通といえるだろう。
「それで、プリネさんは走ってどこかに行ってしまったため、彼女が走ってきた方に何かないか探しに行ったのです」
「ああ……」
「しばらく歩いていると、私達の教室近くまで行きました。すると、教室から数名の女子生徒が出てきたのです。全員、貴族でした。彼女達も、そんな時間に教室にいたというのは、少し疑問を覚えます。それに、焦っているようにも見えました」
「……」
私のその言葉で、お兄様はさらに表情を変える。
今までの説明から、お兄様はある結論を導き出したのだろう。それは、きっと私達と同じものであるはずだ。
「つまり、私達はその貴族の人達がプリネさんに何かをしたのではないかと思っているのです」
「確かに、そう考えられるだけの状況ではあるな……」
私の言葉に、お兄様は同意してくれる。
やはり、お兄様も私達と同じ結論を出していたようだ。
教室で、プリネさんが貴族の人達に詰められていた。そう考えられるのは、この状況からだけではない。
「恐らく、プリネさんがティアナさんやレティがいる部活に見学したというのが、問題だったと思うのです。それが原因で、プリネさんは何かを言われたのではかと、私達は考えています」
「理由としても、ありそうなことだな。我々の影響力は大きい。そんな者達に、近づく者を牽制するのは、考えられないことではない」
この理由も、貴族達がプリネさんに何かを言う理由になった。
状況だけ考えれば、これが真実であると思える。だが、まだ確証は一つもない。
「ですが、確証は一つもありません」
「ああ。だが、それは警戒しておいた方がいいかもしれんな……」
そのため、何か動くことはできないのである。
私達は、彼女達の動きを警戒しておくしかないのだ。
こうして、私達はお兄様にプリネさんのことを伝えたのだった。
学園でお兄様と会い、あることを話すことになっているのだ。
「それで、何があった?」
「はい。実は、前に相談したプリネさんに関することなのですが……」
「ほう? その女子生徒に何かあったのか?」
私の言葉で、お兄様はすぐにそう理解した。
事前に、私達に何かあった訳ではないとは伝えていたので、そう思うのも当然だろう。
「まだ何かあったかはわかりません。ただ、少々気になることがあったのです」
「気になること? 一体なんだ?」
「まず、今日の部活にプリネさんが来なかったことが、最初の違和感でした。昨日、プリネさんはまた明日も来ると言っていたのです」
「ほう……?」
とりあえず、私は順を追って説明していくことにした。
その方が、お兄様にもわかりやすいはずだ。
「ですが、プリネさんは来ませんでした。ただ、この時は用事などで急に来られなかっただけだと思っていました」
「ふむ……まあ、そう考えるのが妥当だろう」
「だから、私達は特に気にせず部活をしました。それで、部活中は特に何もなく終わりました」
私の言葉に、お兄様は頷く。
ここまでは、別に何もおかしな話ではない。
だが、ここからが問題なのだ。
「それで、私とレティは、家に帰ろうと思い、廊下を歩いていたのですが、そこで泣きながら走っていくプリネさんを見たのです」
「何……?」
その言葉で、お兄様の表情は変わった。
明らかに、何かあったことを示す状況が、私の口から出たからだろう。
ただ、これでもまだプリネさんに何かあったかという結論は出せない。
「その様子は、不審でした。ただ、涙を流すのには色々と理由があります。そのため、彼女が泣いていたからといって、何かがあったと考えるのは早計だと思いました」
「ふむ……」
「ですが、何かあったかもしれないという可能性もありました。彼女が、部活が終わる時間まで学校にいたこと、走っていたこと。それらのことから、私達は念のため調べてみることにしたのです」
「その判断は、正しかっただろう。仮に俺でも、そうしたはずだ」
私達の行動を、お兄様は肯定してくれた。
やはり、あの時の行動は間違っていなかったようだ。最も、ほとんどの人は、プリネさんに何かあったと感じるような状況ではあった。そのため、私達の行動は、普通といえるだろう。
「それで、プリネさんは走ってどこかに行ってしまったため、彼女が走ってきた方に何かないか探しに行ったのです」
「ああ……」
「しばらく歩いていると、私達の教室近くまで行きました。すると、教室から数名の女子生徒が出てきたのです。全員、貴族でした。彼女達も、そんな時間に教室にいたというのは、少し疑問を覚えます。それに、焦っているようにも見えました」
「……」
私のその言葉で、お兄様はさらに表情を変える。
今までの説明から、お兄様はある結論を導き出したのだろう。それは、きっと私達と同じものであるはずだ。
「つまり、私達はその貴族の人達がプリネさんに何かをしたのではないかと思っているのです」
「確かに、そう考えられるだけの状況ではあるな……」
私の言葉に、お兄様は同意してくれる。
やはり、お兄様も私達と同じ結論を出していたようだ。
教室で、プリネさんが貴族の人達に詰められていた。そう考えられるのは、この状況からだけではない。
「恐らく、プリネさんがティアナさんやレティがいる部活に見学したというのが、問題だったと思うのです。それが原因で、プリネさんは何かを言われたのではかと、私達は考えています」
「理由としても、ありそうなことだな。我々の影響力は大きい。そんな者達に、近づく者を牽制するのは、考えられないことではない」
この理由も、貴族達がプリネさんに何かを言う理由になった。
状況だけ考えれば、これが真実であると思える。だが、まだ確証は一つもない。
「ですが、確証は一つもありません」
「ああ。だが、それは警戒しておいた方がいいかもしれんな……」
そのため、何か動くことはできないのである。
私達は、彼女達の動きを警戒しておくしかないのだ。
こうして、私達はお兄様にプリネさんのことを伝えたのだった。
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