23 / 80
第14.5話(レティ視点)
しおりを挟む
※この話は、レティ視点の話です。
私の名前は、レティ・フォリシス。
誇り高きフォリシス家の次女にして、神童と呼ばれている才能溢れる美しい天才です。
私は、授業初日に終えて、家に帰っていました。
後は、ゴロゴロして一日を終えるだけ、そう思っていた私でしたが、お兄様から呼び出されてしまいました。
どうやら、私はゴロゴロすることなどできないようです。
しかも、今回は私一人らしいです。お姉様と一緒ならともかく、私一人ということは怒られるしかないでしょう。
なぜなら、私は褒められるようなことをしていないという自覚があるかです。こういう場合は、大抵怒られる。そんな考えが根底にあるのです。
「さて、今日、お前を呼んだ理由は、授業中の態度にある」
「は、はあ……」
という訳で、私はお兄様の元に来ました。
すると、お兄様がそんなことを言ってきます。
そういえば、今日の授業中、卑劣にも教室の中を見てきていました。大方、お姉様の顔が見たかったとか、そんな理由でしょう。
「授業がつまらないか?」
「え?」
お兄様の言葉に、私は驚いてしまいます。
絶対に眠そうにしていたことを怒られると思っていましたが、意外にも質問されてしまいました。
「まあ、つまらないですね……」
「そうか……」
とりあえず、素直に答えてみます。
すると、お兄様は悩むような表情を見せます。そんな表情をしてくれるなど、思っていませんでした。
一体、どうしたのでしょうか。もしかして、悪いものでも食べたのでしょうか。
「……人間は、時につまらない言葉にも、耳を傾ける必要がある」
「え?」
「故に、つまらないからといって、眠ることが許される訳ではない」
しかし、すぐに説教のようなものが始まりました。
やはり、いつものお兄様です。ここから、長い説教が始まるのでしょうね。とても嫌です。
「だが、これはお前が優秀過ぎる故のことともいえる。だから、俺はお前を説教するつもりはない」
「え? そうなんですか?」
「ただ、授業はできるだけ真面目に聞け。案外、新たな発見でもあるかもしれないぞ?」
「まあ、善処しますが……」
そう思った私にかけられたのは、優しい言葉でした。
今日は説教ではない。それだけで、私の心はとても気楽になります。
「……さて、今回俺が呼びだしたのは、それだけではない」
「え?」
お兄様の言葉に、私はまたも驚いてしまいます。
今日の用件は、一つではないようです。
次は、一体何なんでしょう。早く部屋に戻ってゴロゴロしたいんですが。
「ルリアに、何か変わったことはないか?」
「は?」
どうやら、次の用件はお姉様のことらしいです。
この兄は口を開けば、お姉様のことばかり言いますね。はっきり言って、気持ち悪いんです。
「勘違いするなよ。俺はただ、フォリシス家の養子であることで、他者から色々言われているルリアを心配しているだけだ」
「ああ、その面もありましたね……」
「その面も、とはどういうことだ?」
「い、いえ……」
口ではこんなことを言っているお兄様だが、それ以外もあるでしょう。
大方、お姉様に悪い虫がついていなかとか、そんなことです。
こういう所が気持ち悪いんですけど、まあ全部報告してあげますか。
「お姉様に対して、色々という人はいますね。でも、危害を加えようと思う人はいませんよ。フォリシス家のご令嬢様に手を出す勇気なんて、彼女達にはありませんから」
「ほう……ちなみに、そいつらの名前はわかるか?」
私の言葉に、お兄様の表情が変わりました。
それは、真剣な表情です。もし、私がここで覚えている人達の名前をあげれば、お兄様は何かしらの対処をするでしょう。
お兄様は、お姉様を守るためなら、それくらいやる人です。そのため、名前を言うことはできません。
私としてはそうしてもらって構いませんが、お姉様はそう思わないでしょう。
「それは言えませんよ。お兄様が、何かするでしょうから。そうすると、お姉様が悲しみます」
「……なるほど」
「それと、自分で知っても処罰してはいけませんよ? そんなことをしたら、お姉様に嫌われてしまいます。もし何かあれば、私からお兄様に報告しますから」
「ふっ……」
私の言葉に、お兄様は笑いました。
一応、それは了承ととっていいはずです。
「さて、話はこれで終わりですか?」
「ああ、時間をとらせたな」
「いえ。それでは、私は失礼します」
それで、話は終わりでした。
という訳で、私はゴロゴロしに戻ります。
「あ、そういえば……」
「む……?」
そこで、私はあることを思い出しました。
それは、お姉様にペンを拾われた男子生徒のことです。
あの生徒は、恐らくお姉様の笑顔に落とされたような気がします。一応、これも報告しておくべきなのでしょう。
「男子生徒が一人、お姉様に惚れたような気がします」
「……そいつの名前を言え」
その発言により、お兄様の表情が変わりました。
それは、もしかしたら先程より怖い気がします。
流石に、惚れただけで処罰は可哀そうなので、私はこの後お兄様を説得しました。
本当に、気持ちの悪いお兄様です。
私の名前は、レティ・フォリシス。
誇り高きフォリシス家の次女にして、神童と呼ばれている才能溢れる美しい天才です。
私は、授業初日に終えて、家に帰っていました。
後は、ゴロゴロして一日を終えるだけ、そう思っていた私でしたが、お兄様から呼び出されてしまいました。
どうやら、私はゴロゴロすることなどできないようです。
しかも、今回は私一人らしいです。お姉様と一緒ならともかく、私一人ということは怒られるしかないでしょう。
なぜなら、私は褒められるようなことをしていないという自覚があるかです。こういう場合は、大抵怒られる。そんな考えが根底にあるのです。
「さて、今日、お前を呼んだ理由は、授業中の態度にある」
「は、はあ……」
という訳で、私はお兄様の元に来ました。
すると、お兄様がそんなことを言ってきます。
そういえば、今日の授業中、卑劣にも教室の中を見てきていました。大方、お姉様の顔が見たかったとか、そんな理由でしょう。
「授業がつまらないか?」
「え?」
お兄様の言葉に、私は驚いてしまいます。
絶対に眠そうにしていたことを怒られると思っていましたが、意外にも質問されてしまいました。
「まあ、つまらないですね……」
「そうか……」
とりあえず、素直に答えてみます。
すると、お兄様は悩むような表情を見せます。そんな表情をしてくれるなど、思っていませんでした。
一体、どうしたのでしょうか。もしかして、悪いものでも食べたのでしょうか。
「……人間は、時につまらない言葉にも、耳を傾ける必要がある」
「え?」
「故に、つまらないからといって、眠ることが許される訳ではない」
しかし、すぐに説教のようなものが始まりました。
やはり、いつものお兄様です。ここから、長い説教が始まるのでしょうね。とても嫌です。
「だが、これはお前が優秀過ぎる故のことともいえる。だから、俺はお前を説教するつもりはない」
「え? そうなんですか?」
「ただ、授業はできるだけ真面目に聞け。案外、新たな発見でもあるかもしれないぞ?」
「まあ、善処しますが……」
そう思った私にかけられたのは、優しい言葉でした。
今日は説教ではない。それだけで、私の心はとても気楽になります。
「……さて、今回俺が呼びだしたのは、それだけではない」
「え?」
お兄様の言葉に、私はまたも驚いてしまいます。
今日の用件は、一つではないようです。
次は、一体何なんでしょう。早く部屋に戻ってゴロゴロしたいんですが。
「ルリアに、何か変わったことはないか?」
「は?」
どうやら、次の用件はお姉様のことらしいです。
この兄は口を開けば、お姉様のことばかり言いますね。はっきり言って、気持ち悪いんです。
「勘違いするなよ。俺はただ、フォリシス家の養子であることで、他者から色々言われているルリアを心配しているだけだ」
「ああ、その面もありましたね……」
「その面も、とはどういうことだ?」
「い、いえ……」
口ではこんなことを言っているお兄様だが、それ以外もあるでしょう。
大方、お姉様に悪い虫がついていなかとか、そんなことです。
こういう所が気持ち悪いんですけど、まあ全部報告してあげますか。
「お姉様に対して、色々という人はいますね。でも、危害を加えようと思う人はいませんよ。フォリシス家のご令嬢様に手を出す勇気なんて、彼女達にはありませんから」
「ほう……ちなみに、そいつらの名前はわかるか?」
私の言葉に、お兄様の表情が変わりました。
それは、真剣な表情です。もし、私がここで覚えている人達の名前をあげれば、お兄様は何かしらの対処をするでしょう。
お兄様は、お姉様を守るためなら、それくらいやる人です。そのため、名前を言うことはできません。
私としてはそうしてもらって構いませんが、お姉様はそう思わないでしょう。
「それは言えませんよ。お兄様が、何かするでしょうから。そうすると、お姉様が悲しみます」
「……なるほど」
「それと、自分で知っても処罰してはいけませんよ? そんなことをしたら、お姉様に嫌われてしまいます。もし何かあれば、私からお兄様に報告しますから」
「ふっ……」
私の言葉に、お兄様は笑いました。
一応、それは了承ととっていいはずです。
「さて、話はこれで終わりですか?」
「ああ、時間をとらせたな」
「いえ。それでは、私は失礼します」
それで、話は終わりでした。
という訳で、私はゴロゴロしに戻ります。
「あ、そういえば……」
「む……?」
そこで、私はあることを思い出しました。
それは、お姉様にペンを拾われた男子生徒のことです。
あの生徒は、恐らくお姉様の笑顔に落とされたような気がします。一応、これも報告しておくべきなのでしょう。
「男子生徒が一人、お姉様に惚れたような気がします」
「……そいつの名前を言え」
その発言により、お兄様の表情が変わりました。
それは、もしかしたら先程より怖い気がします。
流石に、惚れただけで処罰は可哀そうなので、私はこの後お兄様を説得しました。
本当に、気持ちの悪いお兄様です。
21
お気に入りに追加
1,753
あなたにおすすめの小説
拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着が重すぎます!
枢 呂紅
恋愛
「わたしにだって、限界があるんですよ……」
そんな風に泣きながら、べろべろに酔いつぶれて行き倒れていたイケメンを拾ってしまったフィアナ。そのまま道端に放っておくのも忍びなくて、仏心をみせて拾ってやったのがすべての間違いの始まりだった――。
「天使で、女神で、マイスウィートハニーなフィアナさん。どうか私の愛を受け入れてください!」
「気持ち悪いし重いんで絶対嫌です」
外見だけは最強だが中身は残念なイケメン宰相と、そんな宰相に好かれてしまった庶民ムスメの、温度差しかない身分差×年の差溺愛ストーリー、ここに開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
虐げられていた黒魔術師は辺境伯に溺愛される
朝露ココア
恋愛
リナルディ伯爵令嬢のクラーラ。
クラーラは白魔術の名門に生まれながらも、黒魔術を得意としていた。
そのため実家では冷遇され、いつも両親や姉から蔑まれる日々を送っている。
父の強引な婚約の取り付けにより、彼女はとある辺境伯のもとに嫁ぐことになる。
縁談相手のハルトリー辺境伯は社交界でも評判がよくない人物。
しかし、逃げ場のないクラーラは黙って縁談を受け入れるしかなかった。
実際に会った辺境伯は臆病ながらも誠実な人物で。
クラーラと日々を過ごす中で、彼は次第に成長し……そして彼にまつわる『呪い』も明らかになっていく。
「二度と君を手放すつもりはない。俺を幸せにしてくれた君を……これから先、俺が幸せにする」
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する
もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。
だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く
公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。
なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。
普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。
それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。
そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜
波間柏
恋愛
仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。
短編ではありませんが短めです。
別視点あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる