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3.目指すべき場所

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「……さて、ヴェルゼス様が来てくれたのは非常にありがたいことなのですが、実の所私が罪人であり、他国にとって受け入れがたい存在であるという事実は変わりません」
「……ええ、それはもちろん理解しています」
「ヴェルゼス様、何か良い案などはありますか?」

 ヴェルゼス様の同行は、心強いものである。それは間違いない。
 ただ、彼が来てくれたことと私が他国に受け入れられるかどうかは、別の問題だ。このままでは二人で、国と国との間を彷徨い続けることになってしまう。
 それはもちろん、避けたいことである。故に私は、ヴェルゼス様に問いかけてみることにしたのだ。

「とりあえず、シェリオル山に向かいましょう」
「シェリオル山?」
「ここからでも見える、あの山です」

 ヴェルゼス様は、少し遠くの山を指差した。
 しかし山に行って、何になるというのだろうか。それでは結局、サバイバル生活を送ることになってしまう。

「あの山には、様々な国で受け入れられなかった者達が集まって生活をしているのです」
「そんな所があるのですか? でも、大丈夫なのでしょうか? 国で受け入れられなかったということは、結構危ない人達がいるのでは?」
「その点に関しては、問題はないかと思います。あくまでも事情があった者達が集まっている場所ですので」
「そうなのですか……」

 ヴェルゼス様の言葉に、私は少し驚くことになった。
 彼が言うような所があるなんて、私はまったく知らない。ただその場所が本当にあるなら、今の私にはぴったりだといえる。
 行く当てが他にある訳でもないので、とりあえず今はそこに向かうべきだろう。しかしその前に、ヴェルゼス様に聞いておきたいことがある。

「ヴェルゼス様は、そんな場所をよく知っていましたね?」
「……これは内密にしていただきたいことですが」
「内密? え? そんなに重要な話なのですか?」
「オフェリル侯爵家が、そこに物資を提供しているのです。ジオンド老師と私の祖父が懇意にしていましてね……」
「なるほど……そうだったのですね。まあ、私から何かが漏れるようなことはないですから、ご安心を。そもそもの話、漏らす先との繋がりもありませんからね」

 ヴェルゼス様の説明に、私はさらに驚くことになった。
 オフェリル侯爵家がそんな所を支援している。それは判明すれば、きっと大問題だ。ヴェルゼス様が神妙な顔をしているのも、当然だといえる。
 もちろん、私はそれを漏らすことはない。これからお世話になる訳なのだから、そんなことをするはずがない。それにこれから私が関わる人達を考えると、そもそも漏れようがないのである。
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