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17.聖女からの知らせ

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「ふむ、見事だったぞ。聖女エレティナよ。お主がいる限り、このラディオン王国は安泰だ」
「ありがとうございます、国王様……」

 魔法のお披露目が終わってから、エレティナ様はゆっくりと国王様の前で跪いていた。
 国王様は、どこか誇らしそうにしている。恐らく、彼もわかったのだろう。エレティナ様が、私の力を借りずに、先程の出来事を成し遂げたということを。

 しかし、エレティナ様の表情はむしろ暗いような気がした。
 その表情が、とても気になる。何かあったのだろうか。

「国王様、私から国民の皆さんに伝えたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「む? ああ、構わないが……」
「それでは……」

 国王様に許可を取ったエレティナ様は、ゆっくりと立ち上がり、前に出た。
 集まっている国民の視線は、彼女に集まっている。そんな多くの視線にも、エレティナ様はまったく怯んでいない。

「皆さん、私は皆さんに伝えたいことがあります。私は聖女に就任した時よりも成長しています。以前よりも優秀な魔法使いになれたと自負しています」
「エレティナ様!」
「聖女様、万歳!」

 王女であり聖女であるエレティナ様からの呼びかけに、国民達は湧いていた。
 ただ、私とフォルード殿下は顔を見合わせていた。エレティナ様の声色が、何か決意を秘めているかのようだったからだ。
 まさか彼女は、滅多なことでも言おうとしているのではないか。私とフォルード殿下は、そう思って少し息を呑んでいた。

「ですが、この力は決して私一人で手に入れたものではありません。支えてくれる人がいたのです。それは国民の皆さんです」
「聖女様……」
「そんな恐れ多い……」
「私達はただ、王女様をお慕いしていただけで……」
「そして、私はこの場に一人の方を呼びたいと思っています……レフィリアさん!」

 そこでエレティナ様は、私の名前を呼んだ。
 その呼びかけに、私はフォルード殿下の顔を見る。すると彼は、気まずそうな顔をしながらも頷いた。
 状況的に、後ろに下がっていることはできなかった。私は意を決して、国民達の前に出て行く。

「あれは?」
「さあ、一体誰なんだ?」
「でも、王女様が呼びかけたということは……」

 突然現れた謎の人物に、国民達は混乱しているようだった。
 それは当たり前のことである。なんというか、私はとても不安だった。
 エレティナ様は、何を考えているのか、それがわからない。まさかとは思うが、私が彼女に手助けしていたことなどを打ち明けるのだろうか。それはとても、まずいことなのだが。
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