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 私とお兄様は、お父様から提案をされることになった。
 それは、一体何なのだろうか。そう思いながらも、私は少し期待している。もしかしたら、お父様は私にとって嬉しいことを言おうとしているのではないかと。

「ヴィルクド、ナゼリア、お前達二人で婚約しないか?」
「なっ……!」
「お父様……!」

 お父様の口から出た言葉に、お兄様は驚いていた。
 それは、当然だろう。まさか、そんな提案が出てくるなんて、彼は思ってもいなかったはずである。
 ただ、私には予測できていた。この状況から考えて、そうだと思ったのだ。

「父上、急に何を言っているのですか? ナゼリアは、俺にとって妹なんですよ?」
「まったく、我が息子ながら情けない。お前は、どこまで朴念仁なんだ」
「朴念仁?」
「はあ……」

 お兄様の言葉に、お父様はゆっくりとため息を吐いた。
 そして、その視線を私に向けてくる。
 薄々わかっていたことだが、私のお兄様に対する感情は結構な人に知られていたようだ。お父様が視線を向けてきているのは、恐らくそういうことなのだろう。

「ナゼリア、後は任せてもいいかな?」
「……はい、ありがとうございます」

 お父様は少し申し訳なさそうな顔をしている。私はそれに笑顔を返す。
 お父様の気持ちはわかっている。彼も貴族だ。色々と悩んだだろう。
 それでも、この結果をもたらしてくれたことに、私は感謝するべきだ。だから、そんな顔はしないで欲しかったのである。

「お兄様、聞いてください……私、お兄様のことが好きです」
「なっ……!」

 私は、躊躇わずに自分の気持ちをお兄様に打ち明けた。
 ここまでお父様が状況を作ってくれたのだから、そうするべきだと思ったのだ。

「お前が、俺のことを好きだと?」
「ええ……気づいてはいませんでしたか?」
「ああ、正直、とても驚いている……」

 お兄様は、私の告白に驚いていた。それはそうだろう。彼からしてみれば、妹から突然告白されるなんて、思ってもなかったことだったはずだ。

「……だが、そうか。俺のことを好きか」
「はい……」
「お前がそう思ってくれていることは、嬉しい。本当に、俺でいいのか?」
「お兄様が、いいのです」

 私の言葉に、お兄様は笑顔を見せてくれた。
 それが、嬉しかった。彼が、私を拒絶する気がないと伝わってきたからだ。

「ならば、俺はお前をこれからも守ろう。今度は兄としてではなく、婚約者として……そして、いずれは夫として」
「はい……よろしくお願いします」

 お兄様の言葉に、私は泣きそうになった。
 彼と結ばれる。これからも守ると言ってもらえる。これ程嬉しいことは、他にない。
 こうして、私はお兄様と結ばれることになったのだった。
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みんなの感想(3件)

みらくる
2024.01.20 みらくる

1行目、「…家族の一員となったのは、今から『数十年前』のことである」

十数年前では?

木山楽斗
2024.01.21 木山楽斗

ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきます。

解除
セライア(seraia)

たぶん両想いで、たぶんハッピーエンド(笑)

主人公の葛藤や切なさが余り伝わってこなくって、お父様やお兄様の心情はほぼ全く出てこなくって、淡々と終わってしまった感じ(^^;)

むしろ これから(結末の続き)の方が面白いことになっていく気が……。
お兄様の心情の変化とか、主人公がお兄様を口説こうとするのか とか、お兄様や主人公を狙ってた人たちとか ww

木山楽斗
2022.03.24 木山楽斗

感想ありがとうございます。
中途半端な所で終わって、申し訳ありません。

解除
ひより
2021.12.21 ひより

あらすじの、彼の兄とありますが彼女の兄かなと。
2話の声をかけてきた男が最初は伯爵となっているのに、その後からは侯爵になっています。

木山楽斗
2021.12.22 木山楽斗

ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきます。

解除

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