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17.もたらされた事実

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「だ、誰だお前は?」
「僕はフォルガー侯爵家のジオートです。あなたは、ルベルス伯爵令息ですね?」
「そ、そうだが……」

 突然現れたジオート様に、ルベルス様は質問をした。
 その返答に、彼は少し弱気になっている。それは恐らく、相手が自分よりも上の身分であることを悟ったためだろう。

「親子揃って、婚約が上手くいかなかったことの文句を言いに来たという訳ですか。それこそがみっともない真似だとは思わなかったのですか?」
「な、なんだと?」
「あなた方、ラガルス伯爵家はいつもそうだった。自らの地位を過信して、何をしても許されるのだと勘違いしてきた」
「……ジオート侯爵令息、いくらあなたでもそれは言い過ぎでしょう。若者同士の戯れであるならともかく、それ以上言うと問題は大きくなりますぞ」

 色々と言うジオート様に対して、ラガルス伯爵が釘を刺した。
 彼の表情には、不快感が現れている。流石に、あそこまで言われて黙っていられなかった、ということだろうか。

「ラガルス伯爵、残念ながら最早あなた方など僕の敵ではないのです。ボルファンドの一件が、本当にただで済むと思っていたのですか? あなた方は大きな代償を支払うことになるでしょう」
「何?」
「この国の国王がお怒りだと言っているのです。近々、正式に罰せられるかと」
「ば、馬鹿な……」

 ジオート様の言葉に、ルベルス様とラガルス伯爵は目を見合わせていた。
 それは私達も同じだ。まさか、そのようなことになっているなんて、思ってもいなかった。

「あ、あり得ない。私は、荒れていたボルファンドを統治したのだぞ? 何故、罰せられなければならないのだ」
「あなた達がやったことが虐殺に他ならないからです。幸いなことに、この国の王は人格者だ。無垢な民の命を奪ったあなたを許しはしません」
「な、なんだと……」

 ジオート様は、淡々と言葉を発している。
 そこからは、感情があまり読み取れない。ただ、流石にこんな嘘はつかないだろうし、彼の言っていることは本当なのだろう。
 そうだとすると、ラガルス伯爵家は本当に窮地に立たされている。国王様の反感を買ったとなると、かなりまずい状況だ。

「まあ、信じるも信じないもあなた方の自由ですが……」
「……ルベルス、こんな所にいる場合ではない。真偽を確かめなければならない。もしも本当なら、すぐ対策を」
「え、ええ、父上……」

 ラガルス伯爵とルベルス様は、焦った顔をしながら私達の前から去っていった。
 彼らはこちらを気にもしていない。最早、ジオート様が言ったことしか頭にないということなのだろう。
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