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28.得られた証言

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「単刀直入にお聞きします。あなたはバンガルさんの死に関わっていますね?」
「……」
「沈黙などしても、良いことはありませんよ?」
「……ええ、そうかもしれませんね。わかっていますとも。あなたが想像している通りです」

 ペルリナは、少し声を荒げながら答えた。
 彼女は、不機嫌そうにこちらを睨みつけてくる。ただ、その表情はすぐに和らいだ。私達を協力しなければ命がないことを思い出したのだろう。
 彼女の体は、恐怖で震えている。山賊に連れ去れた時のことを思い出しているのかもしれない。

「あなたがバンガルさんを殺したのですか?」
「実行犯、ということでしょうか? それなら、あの人が雇った人ですよ。暗殺者、とでもいうのでしょうかね?」
「なるほど、ただ発端はあなたなのでしょう?」
「……ええ、そうですとも」

 ペルリナの素直な頷きに、私は少しだけ面食らってしまう。
 ただ、話にきちんと応じてくれるつもりになったのは、こちらにとってはありがたいことだ。それ程時間がある訳でもないので、できれば話は早く進めたい。

「動機は一体、なんですか?」
「それについては表と裏があります。あの人に伝えたのは、ストーカーに付きまとわれているということです」
「本当はそうではなかった?」
「ええ、バンガルと私は共謀していました……ただ、私にとって彼は邪魔者でしかなかった。だってそうでしょう? 彼の存在はリスクなのですから」

 ペルリナの言葉に、私は言葉を詰まらせていた。
 この人は、やはりどこまでいっても最低な人間でしかない。それを思い出すことになった。
 しかしお父様を陥れるには彼女の協力が不可欠であるため、私はペルリナの言葉を聞き流す。

「ロメリアはバンガルさんとの子なんですか?」
「さて、どうでしょうね? まあ、彼はそう思っていたみたいです。それで二人でヴェリオン伯爵家に取り入ろうと話し合って、私は彼を伯爵に始末させた。それがことの全てです。あなたが邪魔さえしなければ、全て上手くいっていたのですけれど、ね……」

 言葉を発した後、ペルリナはゆっくりと項垂れていた。
 減刑されるとはいえ、どの道彼女も裁きを受けることになる。それがわかっているからこそ、この状況をまったく喜べないのだろう。

 人一人を殺めている以上、彼女が牢屋に入ることは確実だ。その中で反省するかは知らないが、今まで自由を謳歌してきた彼女にとって、かなり苦しい結果といえるだろう。
 とはいえ、最悪という訳でもない。少なくとも山賊に売り飛ばされるよりは、マシだといえるだろう。
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