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11.継母の評判

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「ペルリナは、まあこの辺りではなかなか有名な女だぜ。見てわかる通り、美人だったからな」
「ああ、本当にいい女だったぜ。ただ、それは見た目の話さ。あいつに関わって、どれだけの男が泣きを見たことか……」

 酔っぱらい達は、ペルリナのことを口々に語り始めていた。
 彼女がそこまで有名だったなんて、私は知らなかった。ただ、ここにいる人達の間で有名いであるというのは、決して褒められるようなことではないような気がする。

「いつだったかな。もう十年以上前になる。あいつが子供を連れるようになったんだよな」
「あの時はまさか、伯爵家の旦那の子供なんて思っていなかったが……」
「そうそう、その前に少し田舎に帰っていたんだったか」
「そうだった、そうだった。あっちで産んだんだろうな」

 ゴロツキ達の言葉に、私は少し驚くことになった。
 てっきり、ペルリナはこの町の出身とばかり思っていたからだ。確か、お父様もそのように言っていた気がする。つまりこれは、彼女が隠していたことということだろうか。

「ペルリナさんは、こちらの出身ではなかったのか。一体、どこの出身なのだろうか?」
「ああ、ここからそう遠くない村……なんだったけな」
「パイトンだったか。特に何もない小さな村だ。ペルリナ自身は、忌み嫌っている村だったぜ」
「そちらで、ロメリア嬢を産んだと……」
「そうだったはずだ」

 そこでクレンド様は、私に視線を向けてきた。
 それは暗に、この後にパイトンに向かおうと言いたいのだろう。
 もしかしたら、そこにペルリナの秘密はあるかもしれない。お父様にも出身地は隠していた訳だし、その可能性は高そうだ。

「バンカルの奴が生きてたら、詳しいことがわかるんだがな」
「バンカル? それは一体誰なんだ?」
「ペルリナの幼馴染だった奴だよ。あいつもパイトンからやって来た。結構つるんでいたし、ペルリナとできてたって話もある」
「その人は既に亡くなったのか? 事故か何かで?」
「詳しいことはあまり知らないが、そんな所だろうな。亡くなったのはつい最近のことだ。そうだな。ペルリナが嫁ぐと決まった直後くらいだったか」
「あいつも大概だったからな。碌な死に方はしないと思っていたが、こんなに早くなくなるなんてな」

 ゴロツキが語ったことに、私とクレンド様は顔を見合わせた。
 ペルリナと懇意にしていた男性が、彼女が嫁ぐ時期に亡くなった。そこには何かしらの関係がありそうに思える。
 もちろん、偶然という可能性もあるが、探ってみるにこしたことはないだろう。丁度、パイトンに行く訳だし。
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