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33.噂の操作
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カルランド公爵家の発表に被せるように、王家からは声明が出された。
それは、私が王家の血を引く人間であるという内容だ。それは、瞬く間に王国中に広まり、国を少し揺らす結果となった。
現在、王国内では様々な噂が流れている。あることないこと色々と言われているようだが、私は特に気にしていない。それは覚悟していたことだからだ。
「まあ、色々と噂は流れているだろうが、収束させられるはずだ。エリクシス達も動いてくれているからな」
「騎士団から、裏付けのような噂を流すということですか?」
「ああ、そういうことだ。まあ、無論出所はわからないようにするがな……まあ、今は情報戦といった所だな」
ロナード様は、まだまだ色々と仕掛けていくつもりであるらしい。その顔が、それを物語っている。
彼が味方で本当に良かったと思う。もしも敵だったらと考えると恐ろしい。
「さて、カルランド公爵家は今の所何もしてこないが、このままということは考えにくいよな?」
「ええ、ホルルナは私が王族であるなんて決して認めないでしょうから」
「それなら、正式な声明を引っ込めてくるだろうか。しかし、それはかなり悪手だな……」
「そうですよね……」
カルランド公爵家は、一度正式に私が血を継いでいないと発表してしまった。
それを引っ込めるというのは、公爵家の信用に関わることだ。
ただ、ホルルナはそんなことは気にしないだろう。お父様とお母様に撤回を要求しているはずだ。
「ホルルナのわがままを基本的に両親は受け入れますが、ここは慎重になるでしょうね……それはホルルナのためにもなりますから」
「まあ、公爵家の権力を失ったらホルルナ嬢を守ることもできなくなるからな」
「ええ、ですから、彼らは撤回をしないと私は思っています」
「それなら、他の手か……」
「私が王家の血筋ではないと証明しようとしてくるかもしれません。事実として、そうではない訳ですし」
「まあ、そうなるか……だが、その辺りについては大丈夫だ。こちらも色々と対策してあるからな」
これからは、恐らく長い戦いになるだろう。お互いに噂を流しながら、情報を操作していくことになる。
公爵家と王家であるため、一応力関係ではロナード様が上だ。ただ、もちろん公爵家にも相応の権力があるので油断することはできないだろう。
もちろん、その辺りはロナード様だってわかっている。彼も慎重に動くはずだ。
「……失礼します」
「うん? メリリナさんか? 入ってくれ。何かあったのか?」
そこで、部屋の戸が叩かれて声が聞こえてきた。
メリリナさんが訪ねてきたようだ。その声は少し慌てている。
「お話し中の所申し訳ありません。しかし早急に伝えなければならないことがあるのです」
「なんだ?」
「……ホルルナ様が」
「うん?」
「お二人を訪ねてきました」
「なっ……」
「ほう、そう来たか……」
メリリナさんの言葉に、私は驚いた。
どうやら、ホルルナは私の予想外の動きをしてきたようである。
それは、私が王家の血を引く人間であるという内容だ。それは、瞬く間に王国中に広まり、国を少し揺らす結果となった。
現在、王国内では様々な噂が流れている。あることないこと色々と言われているようだが、私は特に気にしていない。それは覚悟していたことだからだ。
「まあ、色々と噂は流れているだろうが、収束させられるはずだ。エリクシス達も動いてくれているからな」
「騎士団から、裏付けのような噂を流すということですか?」
「ああ、そういうことだ。まあ、無論出所はわからないようにするがな……まあ、今は情報戦といった所だな」
ロナード様は、まだまだ色々と仕掛けていくつもりであるらしい。その顔が、それを物語っている。
彼が味方で本当に良かったと思う。もしも敵だったらと考えると恐ろしい。
「さて、カルランド公爵家は今の所何もしてこないが、このままということは考えにくいよな?」
「ええ、ホルルナは私が王族であるなんて決して認めないでしょうから」
「それなら、正式な声明を引っ込めてくるだろうか。しかし、それはかなり悪手だな……」
「そうですよね……」
カルランド公爵家は、一度正式に私が血を継いでいないと発表してしまった。
それを引っ込めるというのは、公爵家の信用に関わることだ。
ただ、ホルルナはそんなことは気にしないだろう。お父様とお母様に撤回を要求しているはずだ。
「ホルルナのわがままを基本的に両親は受け入れますが、ここは慎重になるでしょうね……それはホルルナのためにもなりますから」
「まあ、公爵家の権力を失ったらホルルナ嬢を守ることもできなくなるからな」
「ええ、ですから、彼らは撤回をしないと私は思っています」
「それなら、他の手か……」
「私が王家の血筋ではないと証明しようとしてくるかもしれません。事実として、そうではない訳ですし」
「まあ、そうなるか……だが、その辺りについては大丈夫だ。こちらも色々と対策してあるからな」
これからは、恐らく長い戦いになるだろう。お互いに噂を流しながら、情報を操作していくことになる。
公爵家と王家であるため、一応力関係ではロナード様が上だ。ただ、もちろん公爵家にも相応の権力があるので油断することはできないだろう。
もちろん、その辺りはロナード様だってわかっている。彼も慎重に動くはずだ。
「……失礼します」
「うん? メリリナさんか? 入ってくれ。何かあったのか?」
そこで、部屋の戸が叩かれて声が聞こえてきた。
メリリナさんが訪ねてきたようだ。その声は少し慌てている。
「お話し中の所申し訳ありません。しかし早急に伝えなければならないことがあるのです」
「なんだ?」
「……ホルルナ様が」
「うん?」
「お二人を訪ねてきました」
「なっ……」
「ほう、そう来たか……」
メリリナさんの言葉に、私は驚いた。
どうやら、ホルルナは私の予想外の動きをしてきたようである。
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