嫌われ者の王弟殿下には、私がお似合いなのでしょう? 彼が王になったからといって今更離婚しろなんて言わないでください。

木山楽斗

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11.立派な王族

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 寝間着に着替えてから、私はメリリナさんを部屋に招いていた。
 今日一日、色々とあったので、彼女と話したかったのである。
 メリリナさんも気持ちは同じだったらしく、話は弾んだ。やはり、この家での生活は私達にとって驚きの連続だったのである。

「それにしても、私にも部屋が与えられて、それがお嬢様の部屋と同じ広さというのも驚きでした」
「まあ、小さな家ですからね……」

 メリリナさんの部屋は、私の隣だ。こちらの部屋と同じ造りの部屋が、彼女にも割り当てられたのである。
 それは、彼女にとって驚きの経験であったらしい。珍しくかなり慌てている。

「というか、申し訳ありません。色々と不便な生活を送らせることになってしまって……」
「あ、いえ、それに関してはまったく問題ありません。仕事ですし、そもそもそれ程不便であるとは思いません」
「そうなんですか?」
「ええ、私は平民の出身ですから、このくらいの環境はなんということもありません」
「なるほど……」

 貴族である私にとって、この家での暮らしは新しいものだ。ただ、メリリナさんにとってその部分に関してはそうではないようである。
 確かに、平民の生活として考えるならここでの生活はそれ程おかしくないのかもしれない。つまり、彼女が驚いているのは仕えられる者と仕える者との関係の部分であるということだろうか。

「まあ、ロナード殿下の態度には驚きましたが……」
「そうですね……確かに彼は、王族という感じはしませんよね」
「失礼かもしれませんが、そう思ってしまいます」
「色々と事情はあるみたいですけれど、多分あれは元来の彼の気質なのでしょうね……」
「ですが、立ち振る舞いの端々からは王族としての気品が感じられます」
「……言われてみれば、確かにそうかもしれませんね。やはりそこには育ちが現れているということでしょうか」

 ロナード様は、色々と不思議な人である。
 だが、別にそれが不快という訳ではない。少なくとも、嫌われ者と揶揄されるような人物ではないように思える。
 彼の評価がそのようなものであるというのは、悲しい事実だ。例え本人がそれを望んでいたとしても、あまり納得できるものではない。

「それにそもそも、彼がこの立場を受け入れているのも国のためといえる訳ですから、王族として彼はしっかりとしているといえるのかもしれませんね」
「そうですね……」

 ロナード様は、立派な王族であるといえると思う。自らを犠牲にして、レオルード様の地盤を固める。それは、中々できることではないだろう。
 この国の多くの人々は、それを知らない。だからせめて、私は胸に刻んでおこう。彼という陰で国を守った人間のことを。
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