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40.激しい戦い

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「楽しい戦いになってきた……お前の底力を見せてもらおう!」

 イルファリスお姉様は、再びカルディアスとの距離を詰めていった。
 それに対して、彼は剣を構えて迎え撃つ。
 カルディアスの戦い方は、昔からそんな感じだ。どちからかというと、防御する戦い方なのだ。
 一方、お姉様は攻めの戦い方である。この戦いは、そんな対照的な戦い方のぶつかり合いになるだろう。

「はあっ!」
「くっ……」

 イルファリスお姉様の攻撃を、カルディアスは受け止める。
 次の瞬間、彼女は再び剣を翻し、さらに攻撃を放つ。
 剣と剣の激しいぶつかり合いが、私達の前で繰り広げられる。二人の攻撃と防御は、拮抗しているように思える。

「カルディアス、奴め……知らない間に、あれ程強くなっていたとは」

 そんな二人の戦いに、アルベルドお兄様はゆっくりとそう呟いた。
 お兄様は、二人とずっと一緒に稽古に励んでいた。そんな立場なので、二人の戦いに色々と思う所があるのだろう。

「くっ……」

 お兄様の方を気にしていると、二人の戦いに動きがあった。
 イルファリスお姉様が、カルディアスから距離を取ったのだ。
 彼女の表情は、少し強張っている。それは、悔しがっているように見える。

「……まさか、この私が攻めあぐねるとは」

 イルファリスお姉様は、カルディアスの防御を崩せなかったことを悔しがっているようだ。
 昔は、そんなことはまったくなかった。大抵、お姉様が圧勝していたのである。

「だが、同時に嬉しくもある……お前の成長に対して、このような複雑な感情を覚えることになるとは……驚きだ」
「……イルファリス、君には感謝している。俺が、ここまで成長できたのは、間違いなく君の指導のおかげだ」
「そんなことを言われても、手加減するつもりはないぞ?」
「もちろん、わかっているさ。君は、そういう奴ではないことも、よく知っている」

 イルファリスお姉様もカルディアスも、笑っていた。
 お互いに、とても楽しそうだ。お姉様は、弟子の成長を喜び、カルディアスは自分の成長を実感して、そんな感じなのだろう。

「これは、まだまだ時間がかかりそうだな……さて、どう攻めるべきか」
「どう攻めて来ても、受け止めるさ」
「大した自信だ。そういうことを言われると、是非とも崩したくなってくる」

 二人の戦いは、まだまだ続きそうだ。
 どちからが勝つのか、それはわからない。今のカルディアスなら、もしかしたらイルファリスお姉様にも勝てる可能性がある。
 こうして、私はしばらく二人の戦いを見ているのだった。
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