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13.調べるべきこと

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 私は、ロヴァイドとともに討伐した魔物のことを調べていた。
 強力な魔物が、この辺りに現れるのは非常に珍しいことである。その原因がわかるかもしれないので、調べてみたい。そうロヴァイドが言ったからである。

「派手に焼き尽くしたものだな……」
「やり過ぎちゃったかな?」
「いや、手加減して怪我をするよりはましさ。とはいえ、これでは手がかりは掴めないか」

 魔物の死体は、焼け焦げておりほとんど原形を留めていない。
 正直やり過ぎた。魔物を倒す手段はいくらでもあったというのに、焼き尽くすという選択をしたのは間違いだったといえるだろう。

「ところでロヴァイド、魔物の死体からは何がわかるの? 私はそういうことに関しては知らないから、後学のために聞かせてもらえないかな?」
「例えば、胃の中を調べれば、その魔物がどのような食生活を送っていたかがわかる」
「食生活?」
「魔物が普段と違う場所に現れる時にまず疑うべきなのは、食料の問題だ。食料がなくなれば、住処を移動する理由にもなるだろう?」
「ああ、それは確かに……王都でも、そういう話は聞いたかも」

 魔物は狂暴な生き物だ。人間にも容赦なく襲い掛かる。
 だが、彼らもわざわざ住処を移動してまで人間の元に来ようとはしない。住処を離れるには、それ相応の理由があるのだ。
 食料問題、それは最たる理由であるだろう。なんらかの理由で住処から食料が尽きてしまえば、魔物も動かざるを得ない。

「ふむ……アフィーリ、この魔物はどんな見た目をしていたんだ?」
「熊のような見た目だったよ。見たことはある気がするんだけど、どうにも名前が出てこなくて……」
「熊か……この近くに出る凶悪な熊の魔物といえば、ヴァオールだな」
「ヴァオール?」
「アムチャガ山に生息している魔物だ」
「そんな魔物がいるんだね……」

 ロヴァイドは、かなり魔物のことに詳しかった。
 それは、村で色々なことを学んだからなのだろう。
 王都に出ていた私は、この辺りにどんな魔物がいて、どこに生息しているかなんて、まったくわからない。それが少し悲しかった。
 同時に、飛び出していったことの迂闊さも理解した。何も知らないのに、いい気になっていた自分が恥ずかしい。

「基本的にあの魔物は山から下りてこない。強力な魔物だから、食料には困らないんだ」
「そうなの?」
「他の魔物もヴァオールにとっては食料だからな」
「なるほど、そんなに強いんだね……」
「強いし学習能力も高い。それ故に、こいつが下りて来た理由も予想できない訳ではないな……あまり想像したくはないことだが」

 ロヴァイドは、苦しそうな顔をしていた。この魔物が山から置いて来た理由。それは明るくない理由のようだ。
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