10 / 30
第10話 正義感の強さ
しおりを挟む
「……ところで、一つ聞いてもいいですか?」
「はい、なんですか?」
「アドナス様は、どうして事件をここまで解決しようと動いているのですか? ケットラの行為が許せないと言っていましたが、本当にそれだけなのでしょうか?」
そこで、私は聞きたくなってしまった。
アドナス様は、事件について色々と考えている。しかし、どうしてそこまで事件を解決しようとしているのだろうか。
ケットラの行いが一人の人間として許せないと、アドナス様は以前言っていた。
しかし、それ以外にも何か理由があるように思える。今のアドナス様を見ていると、そう思えてしまうのだ。
「なるほど、そういうことでしたか。確かに、僕がここまで積極的に事件を解決しようとしていると、何か裏があるのかと思ってしまいますよね」
「あ、いえ、アドナス様が正義感の強い人だということはわかっています。だから、何かを企んでいるとか、そういうことは思っていません。ただ、何か今回の事件にこだわる理由があるのかと思いまして……」
私は、アドナス様が裏で何かを企んでいるなどとは考えていなかった。
だが、今回の事件にこだわる理由があるのかと思っただけだ。
「事件にこだわる理由ですか……確かに、ない訳ではないですね」
「あ、そうなのですね……」
私の質問に、アドナス様はそう答えてくれた。
私の予想通り、何かこだわる理由があるようだ。
「それを聞いてもいいでしょうか?」
「……そうですね。ミルトナ様には話しておいた方がいいかもしれません」
私がさらに聞いてみると、アドナス様はそう言ってくれた。
どうやら、理由を聞いてもいいようだ。それなら、聞かせてもらおう。
「単純に、僕はケットラのやり方が気に入っていない。これは、前に話しましたね」
「はい、そうですね」
「それに付け加えるなら、僕は前々からケットラという人間を快く思っていませんでした。何度か会いましたが、人をあざ笑う彼に僕は不快感を覚えていました」
「あ、アドナス様もそうだったのですね」
アドナス様が話し始めたのは、ケットラに対する評価だった。
前々から、アドナス様はケットラが気に入らなかったようだ。
それは、私と同じだった。人をあざ笑うケットラは、やはり不快に思うようである。
「だから、私怨があったと言えるかもしれません。彼のような人間を心から許せないから、ここまでやる気になっているのかもしれませんね」
「そうなのですね……やはり、アドナス様は正義感が強いということがよくわかりました」
アドナス様は、自身の私怨と言った。
しかし、それは違うだろう。
アドナス様は、正義感の強さからケットラのような人間が許せないのだ。
だからこそ、アドナス様は燃えている。ケットラに正しき裁きを下そうとしているのだ。
「はい、なんですか?」
「アドナス様は、どうして事件をここまで解決しようと動いているのですか? ケットラの行為が許せないと言っていましたが、本当にそれだけなのでしょうか?」
そこで、私は聞きたくなってしまった。
アドナス様は、事件について色々と考えている。しかし、どうしてそこまで事件を解決しようとしているのだろうか。
ケットラの行いが一人の人間として許せないと、アドナス様は以前言っていた。
しかし、それ以外にも何か理由があるように思える。今のアドナス様を見ていると、そう思えてしまうのだ。
「なるほど、そういうことでしたか。確かに、僕がここまで積極的に事件を解決しようとしていると、何か裏があるのかと思ってしまいますよね」
「あ、いえ、アドナス様が正義感の強い人だということはわかっています。だから、何かを企んでいるとか、そういうことは思っていません。ただ、何か今回の事件にこだわる理由があるのかと思いまして……」
私は、アドナス様が裏で何かを企んでいるなどとは考えていなかった。
だが、今回の事件にこだわる理由があるのかと思っただけだ。
「事件にこだわる理由ですか……確かに、ない訳ではないですね」
「あ、そうなのですね……」
私の質問に、アドナス様はそう答えてくれた。
私の予想通り、何かこだわる理由があるようだ。
「それを聞いてもいいでしょうか?」
「……そうですね。ミルトナ様には話しておいた方がいいかもしれません」
私がさらに聞いてみると、アドナス様はそう言ってくれた。
どうやら、理由を聞いてもいいようだ。それなら、聞かせてもらおう。
「単純に、僕はケットラのやり方が気に入っていない。これは、前に話しましたね」
「はい、そうですね」
「それに付け加えるなら、僕は前々からケットラという人間を快く思っていませんでした。何度か会いましたが、人をあざ笑う彼に僕は不快感を覚えていました」
「あ、アドナス様もそうだったのですね」
アドナス様が話し始めたのは、ケットラに対する評価だった。
前々から、アドナス様はケットラが気に入らなかったようだ。
それは、私と同じだった。人をあざ笑うケットラは、やはり不快に思うようである。
「だから、私怨があったと言えるかもしれません。彼のような人間を心から許せないから、ここまでやる気になっているのかもしれませんね」
「そうなのですね……やはり、アドナス様は正義感が強いということがよくわかりました」
アドナス様は、自身の私怨と言った。
しかし、それは違うだろう。
アドナス様は、正義感の強さからケットラのような人間が許せないのだ。
だからこそ、アドナス様は燃えている。ケットラに正しき裁きを下そうとしているのだ。
12
お気に入りに追加
591
あなたにおすすめの小説
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。【完結】
古芭白あきら
恋愛
今日、私は40になる。この歳で初めて本当の恋を知った――
聖女ミレーヌは王太子の婚約者として責務を全うしてきた。しかし、新たな聖女エリーの出現で、彼女の運命が大きく動き出す。
エリーは自分を乙女ゲームのヒロインだと言い、ミレーヌを『悪役令嬢』と決めつけ謂れのない罪を被せた。それを信じた婚約者から婚約破棄を言い渡されて投獄されてしまう。
愛していたはずの家族からも、共に『魔獣』を討伐してきた騎士達からも、そして守ってきた筈の民衆からも見放され、辺境の地リアフローデンへと追放されるミレーヌ。
だが意外にも追放先の辺境の地はミレーヌに対して優しく、その地に生きる人々ととの生活に慣れ親しんでいった。
ミレーヌはシスター・ミレとして辺境で心穏やかに過ごしていたが、彼女の耳に王都での不穏な噂が入ってくる。エリーの振る舞いに民達の不満が募っていたのだ。
聖女の聖務を放棄するエリーの奢侈、100年ぶりの魔王復活、異世界からの勇者召喚、そして勇者の失踪と度重なる王家の失政に対する民の怨嗟――次々と王都で問題が湧く。
一方、ミレの聖女としての力で辺境は平穏を保っていた。
その暮らしの中で、ミレは徐々に自分の『価値』と向き合っていく。
そんな中、ミレは黒い髪、黒い瞳の謎の青年と出会う。
この人を寄せ付けないエキゾチックな青年こそがミレの運命だった。
番外編『赤の魔女のフレチェリカ』『小さき聖女シエラ』完結です。
「小説家になろう」にも投稿しております。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!
甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・
王太子に求婚された公爵令嬢は、嫉妬した義姉の手先に襲われ顔を焼かれる
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『目には目を歯には歯を』
プランケット公爵家の令嬢ユルシュルは王太子から求婚された。公爵だった父を亡くし、王妹だった母がゴーエル男爵を配偶者に迎えて女公爵になった事で、プランケット公爵家の家中はとても混乱していた。家中を纏め公爵家を守るためには、自分の恋心を抑え込んで王太子の求婚を受けるしかなかった。だが求婚された王宮での舞踏会から公爵邸に戻ろうとしたユルシュル、徒党を組んで襲うモノ達が現れた。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
【完結】幼い頃からの婚約を破棄されて退学の危機に瀕している。
桧山 紗綺
恋愛
子爵家の長男として生まれた主人公は幼い頃から家を出て、いずれ婿入りする男爵家で育てられた。婚約者とも穏やかで良好な関係を築いている。
それが綻んだのは学園へ入学して二年目のこと。
「婚約を破棄するわ」
ある日突然婚約者から婚約の解消を告げられる。婚約者の隣には別の男子生徒。
しかもすでに双方の親の間で話は済み婚約は解消されていると。
理解が追いつく前に婚約者は立ち去っていった。
一つ年下の婚約者とは学園に入学してから手紙のやり取りのみで、それでも休暇には帰って一緒に過ごした。
婚約者も入学してきた今年は去年の反省から友人付き合いを抑え自分を優先してほしいと言った婚約者と二人で過ごす時間を多く取るようにしていたのに。
それが段々減ってきたかと思えばそういうことかと乾いた笑いが落ちる。
恋のような熱烈な想いはなくとも、将来共に歩む相手、長い時間共に暮らした家族として大切に思っていたのに……。
そう思っていたのは自分だけで、『いらない』の一言で切り捨てられる存在だったのだ。
いずれ男爵家を継ぐからと男爵が学費を出して通わせてもらっていた学園。
来期からはそうでないと気づき青褪める。
婚約解消に伴う慰謝料で残り一年通えないか、両親に援助を得られないかと相談するが幼い頃から離れて育った主人公に家族は冷淡で――。
絶望する主人公を救ったのは学園で得た友人だった。
◇◇
幼い頃からの婚約者やその家から捨てられ、さらに実家の家族からも疎まれていたことを知り絶望する主人公が、友人やその家族に助けられて前に進んだり、贋金事件を追ったり可愛らしいヒロインとの切ない恋に身を焦がしたりするお話です。
基本は男性主人公の視点でお話が進みます。
◇◇
第16回恋愛小説大賞にエントリーしてました。
呼んでくださる方、応援してくださる方、感想なども皆様ありがとうございます。とても励まされます!
本編完結しました!
皆様のおかげです、ありがとうございます!
ようやく番外編の更新をはじめました。お待たせしました!
◆番外編も更新終わりました、見てくださった皆様ありがとうございます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる