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私は、エルクル様から衝撃的な事実を知らされていた。
元婚約者であるザゼンド様は、浮気していたのだ。無表情で不気味といい婚約破棄してきた彼は、裏でそのようなことをしていたのである。
「……怒っていますか?」
「わかりますか?」
「ええ、わかります。見たことがない表情だったので、少し迷いましたが……」
私が怒っていることを、エルクル様は察知してくれた。
ただ、彼の前で怒ったことはないため、少し迷ったようである。
それでも、私の感情を読み取ってくれるエルクル様は、とてもいい人だ。私は、どんどんと彼に惹かれている気がする。
「ちなみに、お聞きしたいのですが、ザゼンド様はいつからそのようなことを?」
「えっと……あなたとの婚約が決まる前から、関係はあったと思います。というか、一人や二人ではなかったようですし……」
「なるほど、わかりました」
念のため、私はエルクル様にいつからザゼンド様が浮気していたのか聞いてみた。
どうやら、彼は私との婚約が決まる前から、浮気していたようである。
それは、かなりひどい話である。例えば、私の無表情に耐え切れなかったから、浮気したというのなら、まだ同情の余地は少しだけあった。だが、そうでもないのなら、もうどうしようもない。
そもそも、複数人に手を出しているという情報が、私の怒りを加速させた。ザゼンド様は、とても最低である。
「というか、エルクル様はその証拠を突き出すつもりだったのですか?」
「まあ、そうですね……僕としては、彼とあなたが婚約破棄するのは悪いことではないので、普通に証拠を突きつけようかと考えていました」
「その証拠は、いくつかあるのですか?」
「え? ええ、まあ、いくつかありますね……証拠というより、証言かもしれませんが……」
私は、ザゼンド様の身勝手な振る舞いが許せなかった。
別に、もう彼とは関係ないし、関わりたくもないが、一度裁きを受けさせた方が、絶対にいいだろう。
という訳で、エルクル様に証拠があるかを確認したのだ。それが、あるなら、取るべき行動は決まっている。
「私は、ザゼンド様に裁きを下したいと思っています」
「そうですか……まあ、それも必要なことですよね」
「協力してもらえますか?」
「ええ、もちろん。協力させてもらいますよ」
私の言葉に、エルクル様はゆっくりと頷いてくれた。
こうして、私達はザゼンド様を裁くことに決めたのだった。
元婚約者であるザゼンド様は、浮気していたのだ。無表情で不気味といい婚約破棄してきた彼は、裏でそのようなことをしていたのである。
「……怒っていますか?」
「わかりますか?」
「ええ、わかります。見たことがない表情だったので、少し迷いましたが……」
私が怒っていることを、エルクル様は察知してくれた。
ただ、彼の前で怒ったことはないため、少し迷ったようである。
それでも、私の感情を読み取ってくれるエルクル様は、とてもいい人だ。私は、どんどんと彼に惹かれている気がする。
「ちなみに、お聞きしたいのですが、ザゼンド様はいつからそのようなことを?」
「えっと……あなたとの婚約が決まる前から、関係はあったと思います。というか、一人や二人ではなかったようですし……」
「なるほど、わかりました」
念のため、私はエルクル様にいつからザゼンド様が浮気していたのか聞いてみた。
どうやら、彼は私との婚約が決まる前から、浮気していたようである。
それは、かなりひどい話である。例えば、私の無表情に耐え切れなかったから、浮気したというのなら、まだ同情の余地は少しだけあった。だが、そうでもないのなら、もうどうしようもない。
そもそも、複数人に手を出しているという情報が、私の怒りを加速させた。ザゼンド様は、とても最低である。
「というか、エルクル様はその証拠を突き出すつもりだったのですか?」
「まあ、そうですね……僕としては、彼とあなたが婚約破棄するのは悪いことではないので、普通に証拠を突きつけようかと考えていました」
「その証拠は、いくつかあるのですか?」
「え? ええ、まあ、いくつかありますね……証拠というより、証言かもしれませんが……」
私は、ザゼンド様の身勝手な振る舞いが許せなかった。
別に、もう彼とは関係ないし、関わりたくもないが、一度裁きを受けさせた方が、絶対にいいだろう。
という訳で、エルクル様に証拠があるかを確認したのだ。それが、あるなら、取るべき行動は決まっている。
「私は、ザゼンド様に裁きを下したいと思っています」
「そうですか……まあ、それも必要なことですよね」
「協力してもらえますか?」
「ええ、もちろん。協力させてもらいますよ」
私の言葉に、エルクル様はゆっくりと頷いてくれた。
こうして、私達はザゼンド様を裁くことに決めたのだった。
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