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第24話 作戦変更
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私とファムルド様は、生贄が執り行われる部屋の近くで待機していた。
私達の作戦は、お姉様が生贄になる直前で助ける作戦である。
今回、一番隙ができるのは、恐らくその瞬間だ。
生贄をあの部屋まで運ぶまでは、兵士達はかなり気を張っているだろう。だが、生贄が執り行われるようになれば、多少の気の緩みができる。仕事が終わるという安堵感が訪れる寸前を突くのだ。
その僅かな隙でも、今回は大きな違いである。
私とファムルド様の二人で行うのだから、少しの隙でも欲しいのだ。
「おや……」
「あれ?」
そこで、私とファムルド様は兵士達の元に新たな兵士が来たことを確認した。
兵士達は、何か深刻そうな顔で話をしている。何か問題があったと考えた方がいいだろう。
「何かあったのでしょうか?」
「……」
「ファムルド様」
「ふふっ……」
私の質問に答えず、ファムルド様は邪悪な笑みを浮かべた。
その笑みは、私を揺さぶる時などに見せていたものだ。つまり、ファムルド様が面白いと思っている時に見せるものである。
ファムルド様は、兵士達の様子で、何か面白いことがあったと理解したのだろう。その内容はわからないが、私達に有利なことなのではないだろうか。
「ミリティア嬢、作戦は変更です。今から、マーティア嬢を助けに行きましょう」
「え? どうして、急に?」
「恐らく、僕の兄が騒ぎを起こしています。これから、この王城は思ったよりも、大変なことになるでしょう。その隙に、マーティア嬢をさらった方がいいと思います」
ファムルド様から告げられたのは、そのようなことだった。
ここで言う兄は、第二王子であるビルグド様だろう。ファムルド様は、その人から情報を得て、その人が何かを考えていると言っていた。その彼が、行動を起こしたようなのだ。
私は、ビルグド様がどんな人なのかはまったく知らない。だが、このタイミングでこのような騒ぎを起こしたということは、お姉様を救おうとしているということだろう。
第二王子は、お姉様が生贄になることを許せないと思っているのだ。理由はわからないが、そう思ってくれているなら、とてもありがたいことである。
だが、ビルグド様が騒ぎを起こしたかどうかわからないことは、少し怖いことかもしれない。
しかし、何であろうと、王城が揺れているのは確かだ。ファムルド様の意見の通り、ここは好機と見る方がいいだろう。
「……わかりました。それでは、お姉様を助けに行きましょう」
「はい……ここからは、多少手荒なことをしますが、構いませんね?」
「ええ、もちろんです。私も、その覚悟は決めています」
私とファムルド様は、行動を開始した。
ここからは、手荒なことも厭わない。お姉様を助けるために、戦うのだ。
私達の作戦は、お姉様が生贄になる直前で助ける作戦である。
今回、一番隙ができるのは、恐らくその瞬間だ。
生贄をあの部屋まで運ぶまでは、兵士達はかなり気を張っているだろう。だが、生贄が執り行われるようになれば、多少の気の緩みができる。仕事が終わるという安堵感が訪れる寸前を突くのだ。
その僅かな隙でも、今回は大きな違いである。
私とファムルド様の二人で行うのだから、少しの隙でも欲しいのだ。
「おや……」
「あれ?」
そこで、私とファムルド様は兵士達の元に新たな兵士が来たことを確認した。
兵士達は、何か深刻そうな顔で話をしている。何か問題があったと考えた方がいいだろう。
「何かあったのでしょうか?」
「……」
「ファムルド様」
「ふふっ……」
私の質問に答えず、ファムルド様は邪悪な笑みを浮かべた。
その笑みは、私を揺さぶる時などに見せていたものだ。つまり、ファムルド様が面白いと思っている時に見せるものである。
ファムルド様は、兵士達の様子で、何か面白いことがあったと理解したのだろう。その内容はわからないが、私達に有利なことなのではないだろうか。
「ミリティア嬢、作戦は変更です。今から、マーティア嬢を助けに行きましょう」
「え? どうして、急に?」
「恐らく、僕の兄が騒ぎを起こしています。これから、この王城は思ったよりも、大変なことになるでしょう。その隙に、マーティア嬢をさらった方がいいと思います」
ファムルド様から告げられたのは、そのようなことだった。
ここで言う兄は、第二王子であるビルグド様だろう。ファムルド様は、その人から情報を得て、その人が何かを考えていると言っていた。その彼が、行動を起こしたようなのだ。
私は、ビルグド様がどんな人なのかはまったく知らない。だが、このタイミングでこのような騒ぎを起こしたということは、お姉様を救おうとしているということだろう。
第二王子は、お姉様が生贄になることを許せないと思っているのだ。理由はわからないが、そう思ってくれているなら、とてもありがたいことである。
だが、ビルグド様が騒ぎを起こしたかどうかわからないことは、少し怖いことかもしれない。
しかし、何であろうと、王城が揺れているのは確かだ。ファムルド様の意見の通り、ここは好機と見る方がいいだろう。
「……わかりました。それでは、お姉様を助けに行きましょう」
「はい……ここからは、多少手荒なことをしますが、構いませんね?」
「ええ、もちろんです。私も、その覚悟は決めています」
私とファムルド様は、行動を開始した。
ここからは、手荒なことも厭わない。お姉様を助けるために、戦うのだ。
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