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第8話 国に伝わること
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私は、第三王子のファムルド様と話し合っていた。
お姉様にも問題はない。王家にとっても、不都合はない。
それなら、何故お姉様が婚約者に選ばれなかったのだろうか。疑問は深まるばかりである。
「マーティア嬢は、確か魔法の才能に溢れて、勉学もでき運動神経もいい。正に、完璧な人間でしたね……」
「はい、欠点など存在しない完璧な人だと思います」
「彼女を王家に迎えることは、メリットがあります。普通なら、嬉々として婚約者に選ぶでしょう」
「そうですね……」
ファムルド様は、お姉様について色々と語っていた。
王家に迎え入れるなら、彼女である。普通に考えれば、それは当然のことだ。
しかし、その事実をここまで言われると、少し傷つく。慣れているとはいえ、それなりに心に来るものがあるのだ。
ただ、この会話は私が始めたようなものである。そのため、仕方ないことだ。心を強く持って、話を聞くことにしよう。
「彼女にも問題がなく、王家にも問題はなかった。ということは、それ以外に問題があったと考えるべきでしょう」
「それ以外? そんなことがあるのでしょうか?」
「ええ、考慮に入れるべき事柄があります」
そこで、ファムルド様の表情が再び邪悪な笑みになった。
その笑みを浮かべているということは、何か重要なことを話すということだろう。私の考えを一転させるような何かを言おうとしているのだ。
「この国……正確には、この地方ですかね? ここには、古くからある伝説が伝わっているのです」
「伝説?」
「ええ、人々を脅かす厄災が訪れる。そのように言い伝えられているのです」
ファムルド様が話し始めたのは、この国に伝わる伝説だった。
急に伝説の話をされて、私は少し動揺している。だが、きっと、何か関係あるのだろう。話は最後まで聞いてから判断するべきである。
「その厄災を封じ込めるためには、生贄が必要である。そう言われているのです」
「生贄……」
「その生贄には、魔力が高い者が選ばれるそうです。その高い魔力が、厄災を封じ込めることができると考えられているようですね」
「それは……」
ファムルド様の説明に、私は冷や汗をかいていた。
なぜなら、その伝説をここで話すということが、どういうことを意味しているのか、考えてしまったからである。
「まさか……その生贄が、お姉様だとでもいうのですか?」
「その可能性がないと言い切れますか?」
「ただの伝承でしょう? それが、今も続いているなんて……」
「信じられませんか?」
その伝承を、ただのおとぎ話と考えることは簡単だ。
だが、もしそれが本当で、その生贄がお姉様だったとしたら。そう考えることができる状況が整っているため、私はとても迷うことになった。
こうして、私はファムルド様からこの国に伝わる伝承について教えてもらったのだ。
お姉様にも問題はない。王家にとっても、不都合はない。
それなら、何故お姉様が婚約者に選ばれなかったのだろうか。疑問は深まるばかりである。
「マーティア嬢は、確か魔法の才能に溢れて、勉学もでき運動神経もいい。正に、完璧な人間でしたね……」
「はい、欠点など存在しない完璧な人だと思います」
「彼女を王家に迎えることは、メリットがあります。普通なら、嬉々として婚約者に選ぶでしょう」
「そうですね……」
ファムルド様は、お姉様について色々と語っていた。
王家に迎え入れるなら、彼女である。普通に考えれば、それは当然のことだ。
しかし、その事実をここまで言われると、少し傷つく。慣れているとはいえ、それなりに心に来るものがあるのだ。
ただ、この会話は私が始めたようなものである。そのため、仕方ないことだ。心を強く持って、話を聞くことにしよう。
「彼女にも問題がなく、王家にも問題はなかった。ということは、それ以外に問題があったと考えるべきでしょう」
「それ以外? そんなことがあるのでしょうか?」
「ええ、考慮に入れるべき事柄があります」
そこで、ファムルド様の表情が再び邪悪な笑みになった。
その笑みを浮かべているということは、何か重要なことを話すということだろう。私の考えを一転させるような何かを言おうとしているのだ。
「この国……正確には、この地方ですかね? ここには、古くからある伝説が伝わっているのです」
「伝説?」
「ええ、人々を脅かす厄災が訪れる。そのように言い伝えられているのです」
ファムルド様が話し始めたのは、この国に伝わる伝説だった。
急に伝説の話をされて、私は少し動揺している。だが、きっと、何か関係あるのだろう。話は最後まで聞いてから判断するべきである。
「その厄災を封じ込めるためには、生贄が必要である。そう言われているのです」
「生贄……」
「その生贄には、魔力が高い者が選ばれるそうです。その高い魔力が、厄災を封じ込めることができると考えられているようですね」
「それは……」
ファムルド様の説明に、私は冷や汗をかいていた。
なぜなら、その伝説をここで話すということが、どういうことを意味しているのか、考えてしまったからである。
「まさか……その生贄が、お姉様だとでもいうのですか?」
「その可能性がないと言い切れますか?」
「ただの伝承でしょう? それが、今も続いているなんて……」
「信じられませんか?」
その伝承を、ただのおとぎ話と考えることは簡単だ。
だが、もしそれが本当で、その生贄がお姉様だったとしたら。そう考えることができる状況が整っているため、私はとても迷うことになった。
こうして、私はファムルド様からこの国に伝わる伝承について教えてもらったのだ。
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