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第7話 不都合なこと
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私は、第三王子のファムルド様と話し合っていた。
私と彼の婚約には、何か裏があったようだ。何故、お姉様ではなく私が王子の婚約者に選ばれたのか。
それを、私は知りたいと思った。その理由を知らなければ、私はこの婚約に対して、ずっと疑問を持ち続けることになるだろう。それは、できれば避けたいことだ。
「裏とは、一体どういうことなのでしょうか?」
「考えられるとしたら、あなたの姉……マーティア嬢には、婚約者に選ばれてはいけない理由があったということでしょうか?」
「お姉様に、婚約者に選ばれてはいけない理由が……?」
ファムルド様の言葉に、私は少し驚いた。
だが、その考え方は理解できるものだ。
私が婚約者になったということは、お姉様にはなれない理由があったから。それは、非常に単純な考え方である。
「あの人に、そんなものがあるとは思えないのですが……」
「そうですか?」
しかし、あのお姉様に婚約者に選ばれてはならない理由があるとは思えなかった。
家族である私でも、彼女の欠点は思いつかない。そんな彼女が婚約者に選ばれて、不都合があるだろうか。
「もしかしたら、あなたはマーティア嬢に非があると考えていますか?」
「え? ええ、そうですけど……」
「確かに、選ばれてはいけない理由というと、彼女に問題があるように思えます。ただ、少し考え方を変えてみてください。もしかしたら、他に問題があるのではないかと」
「他に問題ですか……確かに、それも考えるべきですね」
ファムルド様に言われて、私は気づいた。
確かに、私はお姉様に問題があると思い込んでいた。
だが、そうではない可能性もある。他に何か理由があって、婚約できないかもしれないのだ。
「でも、それなら、心当たりがあるとしたら、そちらではないでしょうか?」
「ええ、そうですね。マーティア嬢に非がないなら、こちらに不都合があったと考えることもできます。ただ、あなたには申し訳ありませんが、王家からすれば、優秀なあなたの姉の血が欲しい所です」
「それは……そうですね」
お姉様に問題がないなら、王家に何か不都合があった。そう思った私だったが、それはファムルド様にすぐに否定された。
確かに、王家も私よりもお姉様の方が欲しかったに決まっている。別に、そちらに不都合などなかったはずなのだ。
「やはり、中々難しいことなのですね……」
「ええ、難しいことです。だからこそ、知りたいと思うのかもしれませんね」
ファムルド様は、私に向かって少し邪悪な笑みを浮かべた。
こちらの方が、彼の素なのだろう。中々、いい性格をしているようだ。
私と彼の婚約には、何か裏があったようだ。何故、お姉様ではなく私が王子の婚約者に選ばれたのか。
それを、私は知りたいと思った。その理由を知らなければ、私はこの婚約に対して、ずっと疑問を持ち続けることになるだろう。それは、できれば避けたいことだ。
「裏とは、一体どういうことなのでしょうか?」
「考えられるとしたら、あなたの姉……マーティア嬢には、婚約者に選ばれてはいけない理由があったということでしょうか?」
「お姉様に、婚約者に選ばれてはいけない理由が……?」
ファムルド様の言葉に、私は少し驚いた。
だが、その考え方は理解できるものだ。
私が婚約者になったということは、お姉様にはなれない理由があったから。それは、非常に単純な考え方である。
「あの人に、そんなものがあるとは思えないのですが……」
「そうですか?」
しかし、あのお姉様に婚約者に選ばれてはならない理由があるとは思えなかった。
家族である私でも、彼女の欠点は思いつかない。そんな彼女が婚約者に選ばれて、不都合があるだろうか。
「もしかしたら、あなたはマーティア嬢に非があると考えていますか?」
「え? ええ、そうですけど……」
「確かに、選ばれてはいけない理由というと、彼女に問題があるように思えます。ただ、少し考え方を変えてみてください。もしかしたら、他に問題があるのではないかと」
「他に問題ですか……確かに、それも考えるべきですね」
ファムルド様に言われて、私は気づいた。
確かに、私はお姉様に問題があると思い込んでいた。
だが、そうではない可能性もある。他に何か理由があって、婚約できないかもしれないのだ。
「でも、それなら、心当たりがあるとしたら、そちらではないでしょうか?」
「ええ、そうですね。マーティア嬢に非がないなら、こちらに不都合があったと考えることもできます。ただ、あなたには申し訳ありませんが、王家からすれば、優秀なあなたの姉の血が欲しい所です」
「それは……そうですね」
お姉様に問題がないなら、王家に何か不都合があった。そう思った私だったが、それはファムルド様にすぐに否定された。
確かに、王家も私よりもお姉様の方が欲しかったに決まっている。別に、そちらに不都合などなかったはずなのだ。
「やはり、中々難しいことなのですね……」
「ええ、難しいことです。だからこそ、知りたいと思うのかもしれませんね」
ファムルド様は、私に向かって少し邪悪な笑みを浮かべた。
こちらの方が、彼の素なのだろう。中々、いい性格をしているようだ。
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