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『東寺慶賀門北、유키(ゆき)がいた劇場(ばしょ)』 歌誌月光84号掲載・連作15首
しおりを挟む「ダンサーよ」소주に酔うあばずれは
乾いた声で斬りつけてきて
とまり木で剥げたネイルが袖を引く
猛禽類の夜のため息
なりゆきの夜の深みに言い訳も
虚飾も拭い交わす口づけ
移り香を消す音を聴くマグダラの
マリアの残像白いシーツの
米韓の父母から生まれ此の日本で
차분한곳は劇場の暗がり
不修多羅な視線とライトに肉叢を
晒すポーズに無頼が匂う
楽屋裏の黴臭さに噎せかえる
リボンで飾る女らの話
傷ついた全肯定をデパコスの
華やぐ色に求めてまわり
幼女のように手足をばたつかせ
「おめこしてや!」に아이고 죽겠다
はすっぱでぶっきらぼうな物言いの
鏡に映す健気な嫉妬
客も嬢も笑顔の下は泣いていて
滑稽なほど자지と보지
すぐそこに来ていた別れの気配には
幕間のコント気づかぬふりで
年暮れて帰れる地ない者たちと
Amália Rodriguesが流れる舞台
腹の奥へ飲みこみ東風に闊歩した
ハイヒールへ안녕さらり
유키と書いたダンサーの存在はもう
誰も知らないし知ることもない
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みんなの感想(2件)
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言葉になるかならないか、いつも手前のところで消えてしまう癖にいつの間にか滓のように沈んでいるものが、読む度に掻き回され浮上するような。