彼女は6月の雨に沈む

5年前の梅雨の雨の日、澪は自ら命を棄てた。貴彦は今でも彼女を忘れられずにいた。
5年前、12歳の少年だった貴彦は、17歳の澪に淡い恋心を抱いていた。
歳月は過ぎ、当時の彼女と同じ歳を迎えた貴彦は、紫陽花を見詰めながら一人雨の交差点で澪を想う。
貴彦は、澪を失ったこの世界に、何も求めてはいなかった。欲する事すらない。彼女の居ないこの世界に何も見出だせないまま、ただ生きていた。
貴彦は、澪だけを望んでいた。

《物語には18歳未満の方には相応しくないような、グロテスクな描写や性的な描写が含まれます》
24h.ポイント 0pt
0
小説 192,249 位 / 192,249件 ライト文芸 7,629 位 / 7,629件

あなたにおすすめの小説

旦那と自分と子分と代償と、

雪野鈴竜(ユキノリンリュウ)
ライト文芸
命ある者は、常に“欲”を出し続けている──それは人の子でも妖(あやかし)でもなんでも同じことだ。

ずぶ濡れの夜

涼暮つき
BL
「その堅苦しいスーツといっしょに何もかも脱いじゃえば?  自由になりたいって思ったことない?  本当の自分になりたいって思ったことは──?」 ないといえば、それは嘘だ。 *1万文字の短編です *表紙イラストはunkoさんに描いていただきました。  作者さまからお預かりしている大切な作品です。  イラストの無断転載・お持ち帰りを固く禁じます!

アマツバメ

明野空
青春
「もし叶うなら、私は夜になりたいな」 お天道様とケンカし、日傘で陽をさえぎりながら歩き、 雨粒を降らせながら生きる少女の秘密――。 雨が降る日のみ登校する小山内乙鳥(おさないつばめ)、 謎の多い彼女の秘密に迫る物語。 縦読みオススメです。 ※本小説は2014年に制作したものの改訂版となります。 イラスト:雨季朋美様

*いにしえのコトノハ*2 レインドロップス

N&N
青春
私、後悔まではしてないから

桜井優子は、陶芸に夢中!

ひかるたまご
ライト文芸
桜井優子は入学早々陶芸部員による強引な部活の勧誘に合い、仕方なく陶芸部の部活動見学をすることに。そこで粘土が魔法のように形を変えるのを見て桜井優子は、入部をけついする。 桜井優子とその友人達の青春ドタバタコメディが今始まる!

ピントグラス越しの反転された日常

マツモトマサル
ライト文芸
地元を離れて働く30歳の主人公「詩織」。 フリーライターと言えば聞こえは良いけど、表に自分の名前が出るわけでもない文章を量産してる毎日。悲観するほど酷くはないけれど充実しているとは言い難い。そんな詩織の心に引っかかる、カメラ好きだったおじいちゃんがカメラを辞めてしまうきっかけとなった”プチトラウマ“。 祖父にカメラを辞めさせてしまったのは自分かも知れないという罪悪感と小さなトラウマから写真を撮られるのは苦手だ。祖父とは違って、詩織にとってはカメラは仕事で必要な時に使うツールでしかない。でも、時々思い出す、祖父の膝の上から覗かせてもらったカメラから見える「反転した世界」。祖父が隠していた二眼レフカメラが繋ぐ、どこにでも居る女性と当たり前な日常の物語。 大好きだった祖父との、心に残ったわだかまりを解くことで、なんとなく過ぎていく毎日を変えることができたなら。

あなたの願いを叶えましょう

栗須帳(くりす・とばり)
ホラー
謎のお姉さんは、自分のことを悪魔と言った。 お姉さんは俺と契約したいと言った。悪魔との契約と言えば当然、代償は魂だ。 でもお姉さんの契約は少し違った。 何と、魂の分割払いだったのだ。 全7話。

夫は私を愛してくれない

はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」 「…ああ。ご苦労様」 彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。 二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。