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5. 謝罪と告白 - ②

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エリーゼにとっては、乗馬は本当に久しぶりなはず。安全な道を選んで行こうとしたのに、エリーゼは途中から俺が提案した道を逸れて山道に入っていった。
森を抜けて、人が立ち寄らない広い草原に出る。黄色い細かい花がたくさん咲いていた。
花が風に揺れる様子が感動的だ。

馬を降りて木に繋ぎ、食事させている間に花畑の中に進んだ。

「綺麗だな」
「非常食になるやつだな。覚えておこう」

花畑に対しての感想が重なった。
エリーゼは俺の顔を見て楽しそうに笑った。

「そうだね。綺麗だ。しかも食べられるから文句なし」
「お腹空いてる?」
「いや、食べ物の場所を覚えるのはただの癖だよ。いつ必要になるか分からないし」

エリーゼは少し遠くを見つめた。
俺は父の領地が戦場から遠かったから、国が戦争している間もほとんど関係がない状態だった。

エリーゼは違う。渦中真っ只中にいて、両親は死んで、あまり身体が強くない弟を一人で世話していたと聞いている。
そんな状況から救い出してくれた殿下が、エリーゼにとって特別になるのは当然のことだろう。

「チャールズ、手合わせしよう」
「えっ、ここで?!」
「少し進んだところ、花が終わってるから。早く」

エリーゼは俺の返事を待たずに駆け出してしまった。花が終わって、ただ草がまばらに生えているところまで出ると剣を抜いて構える。
鍛錬してないと思っていたのに、長年染みついた癖なのか、いつもと同じように構えていた。

「こっそり練習してたのか?」
「いや。柄を握るのも久しぶりだよ。自由打ち込みは自信がないから、式典用の型にして欲しい。多分まだ覚えてる。先手は私」
「分かった」

俺も剣を抜いた。

殿下の近衛騎士は、式典で二人一組の剣舞を披露する時がある。俺とルイは身長が違うから一緒に組むことはないのだが、誰が相手でも動きは一緒だ。
確か最後に披露したのが、3年前の末の王女の誕生日を祝う祝賀会だった気がする。

エリーゼに合わせて足を引いて、剣を交える。同じ決まった動きでも、夜会でダンスするよりこっちの方がよっぽど楽しい。

ドレスを着て愛想笑いをしているエリーゼも綺麗だけど、その時はあまり楽しそうではない。俺と一緒にいる時が一番楽しそうに見えるのは自惚れではないはずだ。

エリーゼの剣が俺の肩口を突こうとするのを避けたら、太陽の光がちょうど目に入った。

「……!」

眩しくてエリーゼの次の動きの範囲を読み間違え、切先が本当に掠りそうになる。慌てて上半身を引いたらバランスを崩して転びそうになった。

「っ!」

中途半端にこらえると足にダメージが入りそうだ。地面に転がって受け身を取る。

「大丈夫か?」
「うん、……太陽の光が直で目に入った」

エリーゼが剣を鞘に納め、手を差し出してくれた。その手を取ろうとすると、エリーゼはひょいっと手を引っ込めてしまい、俺の手が空を切る。

「ちょっ……」
「最後が5年前の割にはよく覚えてたな」
「えっ、そんなに前だっけ?!」
「そうだ。式典の予定も入ってないのに、練習し続けてまだ覚えているのは、多分私とお前だけだよ」
「そうかな」

エリーゼは逆光になっているのに眩しそうな顔をした。
もう一度手を差し出すので、今度こそ、その手を取って引き上げてもらう。立ち上がって向き合って目を合わせると、エリーゼは目を細めて笑った。

「好きだよ」
「えっ?!」

突然の告白に幻聴かと思った。

「なっ、え?ほんとに?」
「何をそんなに驚いてるんだ?」
「いや、だってさ……」

俺はエリーゼに好かれたいと思って出来ることはしてきたつもりだけど、今日のエリーゼの態度はいつも通りだった。どうして急に今日俺を好きだと思ってくれたのかは分からない。
全然分からないけど幻聴じゃないらしい。嬉しい。

(理由なんかなんでもいいか!好きになるのに理由なんかいらないよな)

理由なんてほとんど後付けだと思う。俺だって自分がエリーゼを好きになった理由をちゃんと言葉にしろと言われても、言ってることはめちゃくちゃになりそうだ。

「俺も好きだ」
「知ってるよ。お前の好意は本当に分かりやすいからね」

エリーゼが目を細めて笑い、俺に近付いて爪先立ちした。キスするのかと思ったらしない。
エサのお預けをされている犬のような気分になる。

(もういいよな?エリーゼも俺のこと好きって言ってくれたから、キスしたり触ったりしてもいいんだよな)

エリーゼの頬に触れて、顔を近付けると、エリーゼは軽く目を見開いてからゆっくり目を瞑った。
外にいるのに、すごく無防備だ。信頼されているのがよく分かる。

軽く触れるだけのキスをした。
キスするのは初夜以来。久しぶりの柔らかい感触に心臓がドキドキしすぎてまた吐きそうだ。

エリーゼが俺の頭に手を伸ばして、引き寄せた。離れかけた唇がまた重なった。舌が入ってくる。

「えっ、……んっ!ふっ、んぅ……」

初夜はぎこちなかったのに、エリーゼは慣れたもののように俺の舌を吸って、唇を甘く噛んだ。
こんなキスされたら外にいるのに勃つ。

「待っ、んむ、エリーゼ、だめ、勃つ!こんなキスされると勃つからやめて!」

エリーゼの両肩を押して、なんとか身体を引き離した。

「なんで急にキスうまくなってんだよ!」
「お前が初夜に散々キスしたからだよ。それを真似してるだけ」
「そういうこと言われると、ほんとに……帰ったら抱いていい?」

ずっと我慢していたから、本当なら今すぐここで犯したいくらいに衝動が湧き上がっている。
エリーゼは少し考える素振りを見せて、俺の手を握った。

「屋敷まで待つ必要はない。ここで抜いてあげるよ」
「え?」

エリーゼは俺の手を引くと、木の影まで行って結界を張った。音と、視界を誤魔化して外から見えなくなる魔法の二つ。
よく使う魔法だ。その効果の高さは保証されている。

エリーゼは俺のことを木の幹に押しつけ、自分自身はしゃがんで、俺のベルトに手をかけた。

「えっ?!待った、何……手際よすぎ!待った!帰ってからで……っあ!」

エリーゼは自分が男装していたから男の服の構造を分かっているし、いつも着替えが早かった。
止める間もなく手際よく俺のスラックスを下ろし、下着の上から勃起した性器を撫でた。

「エリーゼ……!」
「この状態で馬に乗れるのか?」
「わーっ!ちょっと!」

エリーゼが身を屈めて下着の上から先っぽにキスした。下着まで脱がされてしまって、混乱している間にエリーゼが俺のものを舐めた。

「ひぁっ、そんな……!」

女の子みたいに高い声が出てしまった。
真面目なエリーゼが、野外で自分から俺の下着を脱がせて口淫をするということが信じられなさすぎる。淫魔に遭遇して都合の良い夢を見せられているのかと思う。

「ん……やり方知らないから、教えて欲しい。どうしたらいい?」

エリーゼは舌を使って先っぽを舐めたり、根本から上まで舐めたり、咥えたり、何も言わなくても気持ち良いことをする。

「ふっ……ン、あっ、その、まま……あー……」

情けない声しか出ない。無理無理。こんなの逆らうの無理だ。俺はもうこの最高の状況に流されることにした。エリーゼが嫌じゃないなら大歓迎だ。

エリーゼは口淫に夢中になっているように見える。絶対美味しいものではないはずなのに、積極的になってくれるのが嬉しくてすごく興奮する。

上から見ると服の隙間から胸が見えた。そこに手を入れて胸を揉むと、口の動きが止まった。

「んぅ!はっ、あ……」

エリーゼが悩ましげな声を上げながら、なんとか口淫を続けようとするのがすごくいじらしい。エリーゼの口の中に唾液が溜まって、じゅぽ、といやらしい音がする。

俺が乳首をつまむ指に力を入れるとピクッと反応して震えながら、一生懸命口を上下に動かしてくれている。顔が赤くなっているし、目が少し潤んでる。
物理的な刺激と視覚的な刺激であっという間に限界を迎えそうだ。

「んっ、んっ」
「エリーゼ、もういいよ……っ出そうだから……」

エリーゼは俺の言葉を無視してしゃがみ込んでいる。強い射精欲が湧き上がってきて、他のことがどうでもよくなってしまう。
出したくてしょうがないが、口じゃなくてエリーゼの中に入れたいと思ってしまって、そう思うと止められなかった。

エリーゼの身体を引き離す。腕を引いて立たせ、後ろから抱きしめてエリーゼの服に手をかけた。
全く抵抗もされない。

「エリーゼ、下脱がせていい?脱がせるな」

自分でも引くくらい息が荒くなっている。気遣いゼロで手つきも乱暴になりそうで、その衝動を抑えようとするとうまくベルトも外せない。
もたもたしていたら、エリーゼは自分で自分のベルトを外してスラックスを引き下ろした。

本当に俺に都合のいいことしかしないけど、これ全部夢だったりしないだろうか。大丈夫か。自分がすでに死んでたりしないか心配になるレベルだ。

「いいのか?外でこんなことされて、抵抗もしないで……俺はすごく嬉しいけど」
「あっ、んぅ……っ」

後ろからエリーゼの耳を舐めた。耳の中に舌を入れてわざと音を立てる。胸の先端を指で擦ると、エリーゼが手を木についたまま、上半身がずるずる落ちていき、ちょうど挿入しやすい、尻を突き出すような体勢になる。

「腰突き出して、入れて欲しそうに見えるよ。興奮する。可愛い、エリーゼ。好きだ」

エリーゼが振り向いた。横顔でも耳まで真っ赤になっているのが分かる。涙の滲んだ目でじっと見つめられると、可愛すぎて本当にめちゃくちゃにしたくなってくる。

「欲しそうじゃなくて、欲しいんだよ。なんで最初の夜に抱いたっきり、キスもしないんだ?」
「!」
「チャールズ」

エリーゼがねだるように俺の名前を呼んだ。

俺はエリーゼに誠意を見せていたつもりだったので、自分の態度がエリーゼを不安にしていたなんて想像もしていなかった。
エリーゼは俺と最初から夫婦として関係を築こうとしてくれていたのに、俺はエリーゼの口から殿下の話が出ることばかり気にして、エリーゼがどう思ってるか聞くのを忘れてしまった。
どうしたいか話を聞かずに、勝手に気持ちを決めつけた。

好きになってもらうのを待つとか言って、本当は怖くてその場で確かめられなかっただけだ。今日だって俺は、エリーゼから動いてくれなきゃ好きの一言も言えてなかったかもしれない。

「ごめん」
「それ、どういう意味のごめんなんだ」
「俺、エリーゼの気持ちの整理がつくのを待ってたつもりだったんだ。でも本当は、確認するのが怖かっただけだと思う。あの日からずっと、本当は毎日抱きたかった。ずっと我慢してて」
「なんで我慢なんか……いいや、もう。話はいいから、早く。私もずっと……んぅっ!」

エリーゼの足の間に陰茎を挟んで、少し身体を引いて後ろから唇を重ねた。さっきの続きをしようとして、胸を鷲掴みにしてしまう。
ずっと我慢していた分、歯止めが効かない。ひどいことをしそうで怖い。

(エリーゼ、まだ2回目なのにいきなり入れたら痛いよな?)

入れたくて仕方ないけど、最初の夜の、痛みに耐えている顔はまだ脳裏に残っている。ぐずぐずにほぐしても痛そうだったのに、触らないまま入れたらもっと痛いだろう。

指は汚くて使えない。俺はキスするのをやめて地面にしゃがみこんだ。エリーゼの尻を少しだけ開いて、後ろから秘部を舐める。

「ひゃっ……?!ちょっ、チャールズ!やめろっ、いいよ、そのまま入れて大丈夫だから……!」
「ん」

太ももの方まで垂れるほど濡れていて、舐めるとさらに愛液が溢れてくる。感じやすくて、いやらしくて本当に最高だ。

「指、……使えないから、舌で気持ちよくなって」
「やっ、いい、ぁッ、やだ……っあ!」

中に舌を入れても、指ほどちゃんと広げることはできない。できるだけ奥まで舌を突っ込んでみる。甘酸っぱい味と、エリーゼの匂いに酔っているような気持ちになってくる。

「あっ、あー……チャールズっ、んっ……なんかっ、だめだ、だめっ……!」

エリーゼの足が震えて、すぐに全身に力が入った。口を離して、力が抜けてしまっているエリーゼを支えながら腰を撫でる。

「イった?エリーゼ、ごめん、舌だとあんまりほぐせないから、痛いかもしれないけど……入れるな」
「っぅん……!」

許可をもらう前に、膣の入り口に性器を添えて、陰茎を滑りこませる。最初の夜よりも柔らかく、熱いものに包まれて、下半身にさらに血液が集まって硬くなるのが分かった。もう頭がクラクラしてしまって、自分がどこにいるかも分からなくなりそうだ。

「エリーゼ、好きだ」
「っあ!」

腰を引き寄せて、一気に奥まで挿入した。馴染むまで待つ余裕もなく、腰を引いて、押し入れる動きを繰り返す。

「はぁ、はっ……あんっ、あ、あぁ…んっ!」

エリーゼの腰が俺を誘うように揺れる。

「エリーゼ、腰揺れてる。気持ちいい?」

布の隙間から見えている首元にキスすると、エリーゼの肩が跳ねた。

「あっ、あ……ん、気持ちいい、あぁ……っチャールズ、好き……っ、好きだ」

甘えるように名前を呼ばれて、好きだと言われて、嬉しさと興奮で頭が真っ白になっていくのを感じる。

「エリーゼ、エリーゼっ!俺も好き!大好きだ。気持ちいい、エリーゼの中気持ち良すぎ!」

腰を掴み直して、激しく抽送を繰り返す。肌がぶつかる音が響くが、結界のおかげで誰にも聞かれることはない。

「出す!出すからな……!」
「っ……!」

エリーゼの身体を抱きしめて、精を放つ。ずっと射精が終わらないような感覚がする。
出し切った時には開放感と達成感と、エリーゼが愛しくて幸せで、胸がいっぱいになってしまった。このまま寝たい。なんで野外でしたんだろうかと急に冷静になってしまった。

結界があるから音は漏れないし、エリーゼの姿を誰かに見られることはないけれど、それにしたってせっかく両思いになって初めて身体を重ねるのに、我慢できなくなって外で襲うというのはどうなんだろうか。

「エリーゼ」

エリーゼは呼吸を整えて、服装も整えようとして、自分の足の間に垂れてきた俺の精液を手で拭うと苦い顔をした。太ももに体液が垂れてるのが卑猥すぎてまた勃ちそうになった。

俺が足をじっと見ていることに気付くと、少し気まずそうな顔をしてから笑った。可愛い。
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