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第二章 新たな出会い-4
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ヤムは、二人を連れて洞窟を出ると体力作りのために海の遠泳をさせることにする。二人を潜らせると大きな獲物捕ってきた方に次のミッションを課すと伝える。
「カイン、今回ばかりは負けるつもりはないよ。ヤムさんにチャンシンケンを早く学ぶ必要があるからね」
ハザードはカインに声をかける。すると、カインはハザードとヤムに向かって言葉を返す。
「フンッ。俺はヤムを信じ切ったわけではないが、チャンシンケンには興味がある。それがマスターできるなら、どんなことでもやり遂げてみせるさ」
そんなカインを見てリンネは「やれやれ」と両手を上げて、首を振る。ヤムはそんなやり取りをみて、大きく笑った。
「では、いくぞ! よーい、どん!」
緊張感のないかけ声に二人はズデッと転びそうになるが、そこはご愛敬。二人は一気に海に飛び込むと、獲物を探す。ヤムに事前に渡されたモリを手に深くまで潜るが、初めての海で息が続かない。
「どうしたー! カイン!」
ヤムの声が海の沖の方まで届く。カインはツンツンに立っていた髪の毛が海水によって乱れる。
「うるさい! 獲物が見つからなかっただけだ。すぐに捕ってまた上がってきてやる! 待っていろ!」
カインはそう言ってもう一度、深海まで潜っていく。
「リンネ。あいつはおもしろいな。からかいがいがあるぞ。はっはっは」
カインの態度にヤムは大きな声で笑ってリンネに話しかける。そんな様子を隣で小さく羽ばたいて聞いているリンネはその言葉に返事をする。
「まったく、ヤム様は人が悪いですね。でも、カインさんは伸びしろがありそうですね」
「あぁ。あいつがチャンシンケンをマスターすればかなりの使い手になるな。末恐ろしいぞ」
ヤムは少し身震いさえしていた。カインにチャンシンケンを伝授して自分の身さえ危ぶまれる。そんな気がしていたのだ。
その一方で、ハザードはと言うと。
「ヤムさん! こいつはどうかな?」
ハザードが見せつけるモリに突き刺さっていたのは、小さなヤドカリだった。
「ハザード! お前はやっぱり陸に上がった方が良さそうだな。上がって特訓だ! 戻ってこい!」
見かねたヤムはハザードを海から呼び戻した。カインには声はかけず、そのまま海に潜らせる。ヤムはカインには甘い言葉を掛けはしなかった。
「ヤム! こいつでどうだ!」
カインは大きな魚であるカツオをモリで一突きしたあと、沖から顔を出してヤムに大声を上げると、その姿を探す。しかし、浜辺にあったヤムの姿は見あたらない。不思議に思ったカインはカツオを手にしたまま海から出て、洞窟内に戻る道を歩くことにする。
「さすがだな。ハザード! ヤシの実に小動物のカペックを捕ってくるとはなかなかだ。大したものだぞ!」
洞窟内ではヤムの声が大きく響いていた。カインはその大声にイライラと怒りが高まっていく。
「ヤム! 貴様! 俺をおいて何していやがる!」
「おー。カイン。どうだった? 海の方は」
ヤムはハザードが採ってきたであろうヤシの実の蜜をゴクゴクと飲んでいた。
「てめぇ! ほらよ! 捕ってきたんだから文句言うな! とっとと俺にチャンシンケンを教え……。グゥ……」
カインは捕ってきたカツオをヤムに放り投げて啖呵を切るが、同時にお腹の虫が音を立てた。
「はっはっは。まずは昼飯だな。ハザードが採ってきたヤシの実とカインの捕ってきたカツオで飯にするか!」
カインは「ちっ!」と舌打ちをすると、その場にあぐらをかいた。ハザードは自分が捕らえてきた小動物のカペックを剣でつつく。もちろん、もう息はない。
「ハザード、こいつはなんだ?」
カインはそんなハザードの様子を見て言葉をかける。
「あ、こいつ? 俺は海の中でヤドカリしか捕まえられなかったから、ヤムさんが陸での訓練に切り替えてくれたんだ。で、俺がとっつかまえてきた小動物。名前はカペックって言うんだって。かわいいだろ? 殺すのがかわいそうだったけど、これも修行だから心を鬼にして刈ってきたんだ」
小動物のカペックは見た目はうさぎのようだった。小さな羽が生えている。
「くそ。俺は海の中で思い通りに行動が出来ない中、がんばってこいつを捕ってきたってのに、ハザードは早々に陸に修行の場を移していやがったのか。なんてこった」
カインはそんなことを心の中で思っていたが、口には出さなかった。
「ハザード、こいつ飛ぶのか?」
ハザードは剣でカペックの羽をはぎ取ろうとしていると、カインから質問が飛んでくる。
「あぁ。リンネみたいにどこもかしこも飛び回るってわけじゃないけど、ちょっとは飛ぶよ。俺もジャンプして剣を振り回したから、意外と剣術の修行にはなったかな。えへへ」
ハザードは少し笑うと、またカペックの羽をはぎとることに集中した。
「剣術の修行まで出来たハザードと海にただただ潜ってた俺。明らかに扱いが違う。ヤムのやろう。いつか絶対ぶっ殺してやる!」
カインは小さく拳を作り、震えていた。
「さて、飯が出来たぞ。腹ごしらえだ。ハザード! カペックの丸焼きはもう出来るか?」
ヤムは焼いたカツオとハザードが採ってきたヤシの実を割って、飲み物を用意した。
「はい! ヤムさん。もうカペックは出来ますよ! どうぞー」
ハザードはカペックをヤムが用意した食卓に並べた。
「よし、飯にしよう」
三人は食事の時間を共有する。ハザードもカインもご飯の時間だけは静かだ。
「ふぅ。食った。食った」
ヤムはお腹をポンポンと叩いた。
「ヤム。それでチャンシンケンはいつ教えてくれるんだ?」
カインはご飯の時間が終わるやいなや、ヤムに食らいつく。
「カイン、今回ばかりは負けるつもりはないよ。ヤムさんにチャンシンケンを早く学ぶ必要があるからね」
ハザードはカインに声をかける。すると、カインはハザードとヤムに向かって言葉を返す。
「フンッ。俺はヤムを信じ切ったわけではないが、チャンシンケンには興味がある。それがマスターできるなら、どんなことでもやり遂げてみせるさ」
そんなカインを見てリンネは「やれやれ」と両手を上げて、首を振る。ヤムはそんなやり取りをみて、大きく笑った。
「では、いくぞ! よーい、どん!」
緊張感のないかけ声に二人はズデッと転びそうになるが、そこはご愛敬。二人は一気に海に飛び込むと、獲物を探す。ヤムに事前に渡されたモリを手に深くまで潜るが、初めての海で息が続かない。
「どうしたー! カイン!」
ヤムの声が海の沖の方まで届く。カインはツンツンに立っていた髪の毛が海水によって乱れる。
「うるさい! 獲物が見つからなかっただけだ。すぐに捕ってまた上がってきてやる! 待っていろ!」
カインはそう言ってもう一度、深海まで潜っていく。
「リンネ。あいつはおもしろいな。からかいがいがあるぞ。はっはっは」
カインの態度にヤムは大きな声で笑ってリンネに話しかける。そんな様子を隣で小さく羽ばたいて聞いているリンネはその言葉に返事をする。
「まったく、ヤム様は人が悪いですね。でも、カインさんは伸びしろがありそうですね」
「あぁ。あいつがチャンシンケンをマスターすればかなりの使い手になるな。末恐ろしいぞ」
ヤムは少し身震いさえしていた。カインにチャンシンケンを伝授して自分の身さえ危ぶまれる。そんな気がしていたのだ。
その一方で、ハザードはと言うと。
「ヤムさん! こいつはどうかな?」
ハザードが見せつけるモリに突き刺さっていたのは、小さなヤドカリだった。
「ハザード! お前はやっぱり陸に上がった方が良さそうだな。上がって特訓だ! 戻ってこい!」
見かねたヤムはハザードを海から呼び戻した。カインには声はかけず、そのまま海に潜らせる。ヤムはカインには甘い言葉を掛けはしなかった。
「ヤム! こいつでどうだ!」
カインは大きな魚であるカツオをモリで一突きしたあと、沖から顔を出してヤムに大声を上げると、その姿を探す。しかし、浜辺にあったヤムの姿は見あたらない。不思議に思ったカインはカツオを手にしたまま海から出て、洞窟内に戻る道を歩くことにする。
「さすがだな。ハザード! ヤシの実に小動物のカペックを捕ってくるとはなかなかだ。大したものだぞ!」
洞窟内ではヤムの声が大きく響いていた。カインはその大声にイライラと怒りが高まっていく。
「ヤム! 貴様! 俺をおいて何していやがる!」
「おー。カイン。どうだった? 海の方は」
ヤムはハザードが採ってきたであろうヤシの実の蜜をゴクゴクと飲んでいた。
「てめぇ! ほらよ! 捕ってきたんだから文句言うな! とっとと俺にチャンシンケンを教え……。グゥ……」
カインは捕ってきたカツオをヤムに放り投げて啖呵を切るが、同時にお腹の虫が音を立てた。
「はっはっは。まずは昼飯だな。ハザードが採ってきたヤシの実とカインの捕ってきたカツオで飯にするか!」
カインは「ちっ!」と舌打ちをすると、その場にあぐらをかいた。ハザードは自分が捕らえてきた小動物のカペックを剣でつつく。もちろん、もう息はない。
「ハザード、こいつはなんだ?」
カインはそんなハザードの様子を見て言葉をかける。
「あ、こいつ? 俺は海の中でヤドカリしか捕まえられなかったから、ヤムさんが陸での訓練に切り替えてくれたんだ。で、俺がとっつかまえてきた小動物。名前はカペックって言うんだって。かわいいだろ? 殺すのがかわいそうだったけど、これも修行だから心を鬼にして刈ってきたんだ」
小動物のカペックは見た目はうさぎのようだった。小さな羽が生えている。
「くそ。俺は海の中で思い通りに行動が出来ない中、がんばってこいつを捕ってきたってのに、ハザードは早々に陸に修行の場を移していやがったのか。なんてこった」
カインはそんなことを心の中で思っていたが、口には出さなかった。
「ハザード、こいつ飛ぶのか?」
ハザードは剣でカペックの羽をはぎ取ろうとしていると、カインから質問が飛んでくる。
「あぁ。リンネみたいにどこもかしこも飛び回るってわけじゃないけど、ちょっとは飛ぶよ。俺もジャンプして剣を振り回したから、意外と剣術の修行にはなったかな。えへへ」
ハザードは少し笑うと、またカペックの羽をはぎとることに集中した。
「剣術の修行まで出来たハザードと海にただただ潜ってた俺。明らかに扱いが違う。ヤムのやろう。いつか絶対ぶっ殺してやる!」
カインは小さく拳を作り、震えていた。
「さて、飯が出来たぞ。腹ごしらえだ。ハザード! カペックの丸焼きはもう出来るか?」
ヤムは焼いたカツオとハザードが採ってきたヤシの実を割って、飲み物を用意した。
「はい! ヤムさん。もうカペックは出来ますよ! どうぞー」
ハザードはカペックをヤムが用意した食卓に並べた。
「よし、飯にしよう」
三人は食事の時間を共有する。ハザードもカインもご飯の時間だけは静かだ。
「ふぅ。食った。食った」
ヤムはお腹をポンポンと叩いた。
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