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第一章/第一陣 元少年、チートな転生!
第4話 プロローグ④
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馬車の御者台に乗っていたお爺ちゃんの前まで行くと、声をかける前に気付かれ唐突に抱き着かれた。
その顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり、どれだけ心配をしてくれていたのかが窺えた。
少し話してみると、もう助けられないと思ったらしく諦めていたとのこと。
この世界に奴隷はいないことになっているけど、盗賊が小さな子を育ててはそういう趣味の人のところへ売り払ったりするのだそうだ。
「リステリア、ミスティ。よくぞ無事じゃった」
同じようなことを何度も言われ僕とミスティのことを何度も何度も、力強くその存在を確かめるように抱きしめた。
「時に、その盗賊たちはどこじゃ? どうやって逃げてきたのじゃ?」
お爺ちゃんには隠す必要はないだろうと思い、ここまでのことをありのまま伝えることにした。
盗賊がやってきて村をめちゃくちゃにし、その盗賊に僕とミスティが一度攫われてしまったけれど、僕が魔法を使えるようになり見事に盗賊を檻の中に閉じ込めることが出来たこと。
そこから塀が聳えるところへ向かうと途中にお爺ちゃんが居たこと。
「そうか⋯⋯。魔法を使えるようになったか。よくやった。お前たちが儂がいい子に育ててやる。一緒に暮らそう」
僕はその優しい声に一も二も無く速攻で頷いた。
身内に会えるとはなんと運のいいことか。これなら先のことはあまり心配しなくても構わないだろう。
お爺ちゃんに頭を撫でられると自然と笑みが零れる。
頭を撫でてくれる存在というものが子どもにとってどれだけ大切なのかがわかったような気がした。
そう思っていると、前世で接した両親とは間違いなく短い間だったけれど、今世での両親も間違いなく「血の繋がった家族」なのだと確信する。
前世では、僕は転生すれば転生後の家族なんて赤の他人だと思うに違いないと思っていた。でも違ったのだ。失って初めて気付く。
そのことがひどくもどかしい。失ってからじゃ遅いんだ!
いつしか高くそびえていた塀が目の前まで来ていて、今はそこの境界門と呼ばれるところでお爺ちゃんが手続きをしていた。
名もない村だから村自体が登録されていないらしく、当然住民登録もされていないのでそれをするみたい。たまにこういうことがあるのか兵士は慣れた手つきでそれを済ませた。
それが済んだら1枚のカードを渡された。
「それは身分証という物でとても大切なものじゃ。絶対無くしたらダメじゃよ」
お爺ちゃんに注意され、ミスティの分は幼いためお爺ちゃんが持つことになり、僕は魔法で作り出した空間の中にそれをぽいっと放り込んでおいた。
塀に囲まれた街はすごく大きいようだ。
僕たちは馬車専用通路を行っているので人混みをかき分けて馬車が通るようなことはないけど、お爺ちゃんの家までで数十分も歩くことになったのだ。
異世界の文明未発達な世界では大きい方ではないだろうか?
お爺ちゃんに「広い⋯⋯」というつぶやきが拾われて帰ってきたのは、ここよりも王都の方が広いというものだった。
他にもたくさん街はあるけれど、それはまた今度勉強しようという話になったので大きく頷いておいた。
この世界のことを知っておいて損は無い。むしろ全てがプラスに働くだろう。
知らないほうがいいこともあるというけど、そうは思わない。知っておいて損をすることはあまりにも少ないはずだから基本的には問題ないはず。
お爺ちゃんの家の前に着くと、まずはその大きさに驚いた。
前世の僕が住んでいた一軒家ほどの大きさがあったのだ。これなら子ども2人も養えると言うのも本当だろうと思い、お爺ちゃんの後に続いて入っていく。
そして、やはりというべきか中も凄かった。
一目で高級だとわかる作りをした飾り物がたくさんある。ミスティはこれがどのくらい凄いのかわからないようで割とおとなしい。
僕だけが無邪気にはしゃいでいたようで途端に恥ずかしくなった。
この家には一人、メイドがいる。
その人はお爺ちゃんに雇われて家事やお爺ちゃんのサポートなどをしているらしい。
「儂は元貴族じゃからな。商人になったとはいえ最低でもこのくらいの生活はしておかねばならんのじゃ」
やっぱり! これだけの家が平民の家だとおかしいもん。元貴族様だっていうなら納得だ。
となると、僕は貴族様の孫ということになるんじゃないのかな? なんだかちょっぴり嬉しく感じた。
その顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり、どれだけ心配をしてくれていたのかが窺えた。
少し話してみると、もう助けられないと思ったらしく諦めていたとのこと。
この世界に奴隷はいないことになっているけど、盗賊が小さな子を育ててはそういう趣味の人のところへ売り払ったりするのだそうだ。
「リステリア、ミスティ。よくぞ無事じゃった」
同じようなことを何度も言われ僕とミスティのことを何度も何度も、力強くその存在を確かめるように抱きしめた。
「時に、その盗賊たちはどこじゃ? どうやって逃げてきたのじゃ?」
お爺ちゃんには隠す必要はないだろうと思い、ここまでのことをありのまま伝えることにした。
盗賊がやってきて村をめちゃくちゃにし、その盗賊に僕とミスティが一度攫われてしまったけれど、僕が魔法を使えるようになり見事に盗賊を檻の中に閉じ込めることが出来たこと。
そこから塀が聳えるところへ向かうと途中にお爺ちゃんが居たこと。
「そうか⋯⋯。魔法を使えるようになったか。よくやった。お前たちが儂がいい子に育ててやる。一緒に暮らそう」
僕はその優しい声に一も二も無く速攻で頷いた。
身内に会えるとはなんと運のいいことか。これなら先のことはあまり心配しなくても構わないだろう。
お爺ちゃんに頭を撫でられると自然と笑みが零れる。
頭を撫でてくれる存在というものが子どもにとってどれだけ大切なのかがわかったような気がした。
そう思っていると、前世で接した両親とは間違いなく短い間だったけれど、今世での両親も間違いなく「血の繋がった家族」なのだと確信する。
前世では、僕は転生すれば転生後の家族なんて赤の他人だと思うに違いないと思っていた。でも違ったのだ。失って初めて気付く。
そのことがひどくもどかしい。失ってからじゃ遅いんだ!
いつしか高くそびえていた塀が目の前まで来ていて、今はそこの境界門と呼ばれるところでお爺ちゃんが手続きをしていた。
名もない村だから村自体が登録されていないらしく、当然住民登録もされていないのでそれをするみたい。たまにこういうことがあるのか兵士は慣れた手つきでそれを済ませた。
それが済んだら1枚のカードを渡された。
「それは身分証という物でとても大切なものじゃ。絶対無くしたらダメじゃよ」
お爺ちゃんに注意され、ミスティの分は幼いためお爺ちゃんが持つことになり、僕は魔法で作り出した空間の中にそれをぽいっと放り込んでおいた。
塀に囲まれた街はすごく大きいようだ。
僕たちは馬車専用通路を行っているので人混みをかき分けて馬車が通るようなことはないけど、お爺ちゃんの家までで数十分も歩くことになったのだ。
異世界の文明未発達な世界では大きい方ではないだろうか?
お爺ちゃんに「広い⋯⋯」というつぶやきが拾われて帰ってきたのは、ここよりも王都の方が広いというものだった。
他にもたくさん街はあるけれど、それはまた今度勉強しようという話になったので大きく頷いておいた。
この世界のことを知っておいて損は無い。むしろ全てがプラスに働くだろう。
知らないほうがいいこともあるというけど、そうは思わない。知っておいて損をすることはあまりにも少ないはずだから基本的には問題ないはず。
お爺ちゃんの家の前に着くと、まずはその大きさに驚いた。
前世の僕が住んでいた一軒家ほどの大きさがあったのだ。これなら子ども2人も養えると言うのも本当だろうと思い、お爺ちゃんの後に続いて入っていく。
そして、やはりというべきか中も凄かった。
一目で高級だとわかる作りをした飾り物がたくさんある。ミスティはこれがどのくらい凄いのかわからないようで割とおとなしい。
僕だけが無邪気にはしゃいでいたようで途端に恥ずかしくなった。
この家には一人、メイドがいる。
その人はお爺ちゃんに雇われて家事やお爺ちゃんのサポートなどをしているらしい。
「儂は元貴族じゃからな。商人になったとはいえ最低でもこのくらいの生活はしておかねばならんのじゃ」
やっぱり! これだけの家が平民の家だとおかしいもん。元貴族様だっていうなら納得だ。
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