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オヤの街のハーフリングとオーク
221.吸収したスキル
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魔石を貫かれると、青いオークの消滅が始まる。マジックソードの攻撃は、吸収や抵抗する事は出来ない。
「ヴオオオォォォォーーーッ」
赤いオークが、青いオークの消滅を見て叫び声を上げる。その後も何かを叫びながら近付こうとするが、ウィプス達に阻まれてしまう。そして、最後は黙って消滅する姿を見届けるしかない。
『まず試してみないとダメね』
そう言いながらも、ムーアは1歩後退りする。
「何を試すんだ?」
『決まってるでしょ。何のスキルを吸収したのか確かめるのよ。吸収したのが口臭ブレスだったら、どうするのよ』
何らかのスキルを吸収したのは確かだが、それが何であるかは分からない。
青いオークがキングであるならば、恐らくは聴覚スキルか触覚スキルと、古の滅びた記憶を吸収している。それは赤いオークの言葉を聞いて、分かるかどうかでも判断出来る。
そして、青いオークがキングでないならば、オークの使っていたスキルを吸収しているか、体の一部分を取り込んでいる可能性がある。そうなった場合には、口臭ブレスや体内に魔法を蓄積するスキルを吸収している可能が高い。
「後でもイイだろ。ウィプス達が足止めしてくれてるけど、まだ赤いオークだって残ってるんだぞ」
『だって、危険予知は重要な事でしょ。ブロッサだって準備してるわよ』
後ろを振り返ると、ブロッサは消臭剤の入った樽を抱えてスタンバイしている。
「仮に口臭ブレスだったとしても、スキルなんだから発動させなければ大丈夫だろ」
『本当に大丈夫なの?魔力を流しながら呼吸をしたら、口臭ブレスが発動したとかにならない?黒翼だって無意識に発動してたでしょ』
過去の実績からすれば、吸収したスキルが無意識に発動すると言われても仕方がない。
ただ黒翼の場合は、ハーピーロードがハーピークイーンに終わりを告げる為に必要な行為だった。会話こそしていないが、俺もハーピーロードも同じ気持ちであったからこそ、あそこで黒翼が現れたのだと思う。しかし、それを証明する証拠はなく、妄想と言われればそこまでになる。それに男のロマンだと、笑われそうな気がする。
「でもな、無意識に発動するなら確かめようはないだろう」
『まず、やってみてからじゃないかしら。考え方を変えれば、まだ赤いオークが残ってるのよ。ウィプス達が足止めしている内に、試した方がイイでしょ。あなたの魔力は異常なんだから、戦ってる最中に暴発したら大変な事になるのよ』
否定的な意見を出してみたが、倍以上に強い熱量で反対意見が返ってくる。そう言いながらも、ムーアはもう1歩後退りして、消臭剤を持ったブロッサは1歩前に出る。
「分かったよ、試すからそんな眼で見ないでくれ!」
でも、どうやったらスキルが発動するのかを知っているわけじゃない。草をむしり取って、青いオークの放ったブレスをなるべくイメージして息を吹きかけてみる。その瞬間に、消臭剤がミスト化して霧となり俺の頭を包み込む。
「何も起こってないと思うぞ。それに、ここまでやったら、ブレスが出ていたとしても分からないんじゃないか?」
「大丈夫ヨ。消臭剤の濃度が下がれば、シナジーが教えてくれるカラ」
そして、俺の頭を包み込んでいた霧が徐々に形を変えて、丸い輪っかを作る。
『良かったわ、合格みたいね』
「チェン、今何て言ったんだ?」
「へっ、あっしは何にも言ってねーですぜっ?」
しかし、チェンはそう言いながらも明らかに動揺した素振りを見せる。
「残念、おもしろくねーっ!って言わなかったか?」
「旦那っ、そんな事言うわけねーですぜっ」
「なんで分かった。なんで変な所だけ鋭いって言わなかったか?」
「違いやすよ、そんな事は思ってても言うわけねーっすよ!」
『チェン!そう思ってたって事で合ってるのね』
今度は、ムーアがチェンに詰め寄る。真剣な表情で鋭く突き刺すような声は、いつもの冗談を言っているムーアとは違う。
冗談でも、言葉にするとニュアンスは変わってしまう。そんなつもりがなくても悪意のある言葉となってしまう場合もあり、反抗と捉えられても仕方のない場合もある。
「そっ、そんなつもりじゃ···」
『カショウ、どうなの?』
「そうなのかもな、あまり良くはないと思うけど仕方がない」
『やっぱり。それなら諦めるしかないわね。残念だわ』
「何、言ってるんすかっ?姐さんも、旦那もっ!」
「チェン、ムーアの事が好きなのか?」
「ヴオオオォォォォーーーッ」
赤いオークが、青いオークの消滅を見て叫び声を上げる。その後も何かを叫びながら近付こうとするが、ウィプス達に阻まれてしまう。そして、最後は黙って消滅する姿を見届けるしかない。
『まず試してみないとダメね』
そう言いながらも、ムーアは1歩後退りする。
「何を試すんだ?」
『決まってるでしょ。何のスキルを吸収したのか確かめるのよ。吸収したのが口臭ブレスだったら、どうするのよ』
何らかのスキルを吸収したのは確かだが、それが何であるかは分からない。
青いオークがキングであるならば、恐らくは聴覚スキルか触覚スキルと、古の滅びた記憶を吸収している。それは赤いオークの言葉を聞いて、分かるかどうかでも判断出来る。
そして、青いオークがキングでないならば、オークの使っていたスキルを吸収しているか、体の一部分を取り込んでいる可能性がある。そうなった場合には、口臭ブレスや体内に魔法を蓄積するスキルを吸収している可能が高い。
「後でもイイだろ。ウィプス達が足止めしてくれてるけど、まだ赤いオークだって残ってるんだぞ」
『だって、危険予知は重要な事でしょ。ブロッサだって準備してるわよ』
後ろを振り返ると、ブロッサは消臭剤の入った樽を抱えてスタンバイしている。
「仮に口臭ブレスだったとしても、スキルなんだから発動させなければ大丈夫だろ」
『本当に大丈夫なの?魔力を流しながら呼吸をしたら、口臭ブレスが発動したとかにならない?黒翼だって無意識に発動してたでしょ』
過去の実績からすれば、吸収したスキルが無意識に発動すると言われても仕方がない。
ただ黒翼の場合は、ハーピーロードがハーピークイーンに終わりを告げる為に必要な行為だった。会話こそしていないが、俺もハーピーロードも同じ気持ちであったからこそ、あそこで黒翼が現れたのだと思う。しかし、それを証明する証拠はなく、妄想と言われればそこまでになる。それに男のロマンだと、笑われそうな気がする。
「でもな、無意識に発動するなら確かめようはないだろう」
『まず、やってみてからじゃないかしら。考え方を変えれば、まだ赤いオークが残ってるのよ。ウィプス達が足止めしている内に、試した方がイイでしょ。あなたの魔力は異常なんだから、戦ってる最中に暴発したら大変な事になるのよ』
否定的な意見を出してみたが、倍以上に強い熱量で反対意見が返ってくる。そう言いながらも、ムーアはもう1歩後退りして、消臭剤を持ったブロッサは1歩前に出る。
「分かったよ、試すからそんな眼で見ないでくれ!」
でも、どうやったらスキルが発動するのかを知っているわけじゃない。草をむしり取って、青いオークの放ったブレスをなるべくイメージして息を吹きかけてみる。その瞬間に、消臭剤がミスト化して霧となり俺の頭を包み込む。
「何も起こってないと思うぞ。それに、ここまでやったら、ブレスが出ていたとしても分からないんじゃないか?」
「大丈夫ヨ。消臭剤の濃度が下がれば、シナジーが教えてくれるカラ」
そして、俺の頭を包み込んでいた霧が徐々に形を変えて、丸い輪っかを作る。
『良かったわ、合格みたいね』
「チェン、今何て言ったんだ?」
「へっ、あっしは何にも言ってねーですぜっ?」
しかし、チェンはそう言いながらも明らかに動揺した素振りを見せる。
「残念、おもしろくねーっ!って言わなかったか?」
「旦那っ、そんな事言うわけねーですぜっ」
「なんで分かった。なんで変な所だけ鋭いって言わなかったか?」
「違いやすよ、そんな事は思ってても言うわけねーっすよ!」
『チェン!そう思ってたって事で合ってるのね』
今度は、ムーアがチェンに詰め寄る。真剣な表情で鋭く突き刺すような声は、いつもの冗談を言っているムーアとは違う。
冗談でも、言葉にするとニュアンスは変わってしまう。そんなつもりがなくても悪意のある言葉となってしまう場合もあり、反抗と捉えられても仕方のない場合もある。
「そっ、そんなつもりじゃ···」
『カショウ、どうなの?』
「そうなのかもな、あまり良くはないと思うけど仕方がない」
『やっぱり。それなら諦めるしかないわね。残念だわ』
「何、言ってるんすかっ?姐さんも、旦那もっ!」
「チェン、ムーアの事が好きなのか?」
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