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クオカの洞穴の死霊
161.人ならざる者
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一瞬で触手が倒された事で、本体はどう動くか?
ハンソを巻き込んだウィンドトルネードは、ワームに飲み込まれて、確実に体内でダメージを与えている。しかし12~3mはあるワームの体に対して、俺の放ったウィンドトルネードは小さすぎるのかもしれない。剣羽根やダミアの実のダメージも加わっているが、特にワームに苦しがったり、嫌がったりする素振りは見えない。
「あまり効果は無いのか?」
「まだ、判断するには早すぎるよ。口を開けたまま、固まって動いていないね」
俺一人の判断ではなく、ナレッジが助言を入れてくれる。
俺の精霊達でも、3つに分かれる。ブレスレット中から出てこない·出れない内勤組と、召喚されたままの外勤組、どちらも自由にこなせる複合組。
俺自身の事だけであれば、外勤組を多くすれば、それだけ魔力を消費してくれる事になる。しかし、最近では常に精霊を召喚している事が最善ではないと思うようになってきた。
アシスで生き残る為には魔力を消費しなければならないし、それは変わらない。ただ、今を生き残る為には、俺自身が強くならなければならない。
その強くなる手段の1つが、リズやリタ·ナルキのようにブレスレットの中から俺を強化してくれる事。直接的に俺自身に力をもたらしてくれる事を考えれば、魔力消費が少なくても問題は感じない。
リズとリタが召喚出来るまでに回復したとしても、すぐに純白の翼を失って戦う事は考えづらい。
そして、戦う事だけが力ではない。ナレッジのように、俺のスキルをサポートしてくれたり、助言してくれる存在も必要になる。
やはり一番の悩みは、判断し決定する事。精霊や仲間が増える程に、1人で考えて判断し決定する事にはプレッシャーが重くのしかかる。
それを助けてくれるのは、ムーアやナレッジになるだろうし、直接的な攻撃だけが力ではないと考えれるようになってきた。
ウィンドトルネードはワームの中に吸い込まれてゆくが、次第に威力が弱くなる。一緒に飛ばされていたハンソも、威力の減衰に伴いワームの中には着地する。
風に捕らわれていたが、今度はワームの粘液に捕らえられる。
契約した精霊であれば、特に声を出さずとも思いは伝わる。しかし、あえて大きな声を出す!
「ハンソーッ、溶けてなくなりたくなかったら暴れろーっ!」
「エトーッ、エトーッ、エトーッ」
「何してる早くしろ、岩を出せ、消化液を止めろ!」
「ントッ、ントッ、ントッ」
慌ててハンソが動き出した事で、ナレッジも焦り出す。
「ハンソは消化液で溶けるのかい?召喚解除すれば、ブレスレットの中に戻せるんじゃないか?まだ間に合う可能性も十分にあるよ!」
「溶けるかもしれないし、溶けないかもしれない」
「えっ、今の話は違うのかい?」
「本当かもしれないし、違うかもしれない。ただ未知の誰も名前も知らない魔物相手で、その可能性が無いとは言えない」
「それって、知らないって事はだよね!」
「ハンソの動きが良くなったのは事実だろ。せっかく中に入り込んだのに、全力を出さなかったら意味がない。全力を発揮させてやる事が、契約者としての責務だと思う」
「うーん、確かにそうだね。僕もそうするよ」
ハンソが暴れだすと、ワームの体が少し後退を始める。触手を切られても見せなかった反応に、少し手応えを感じる。
ありがちな話で、恐らくは触手は再生が出来る使い捨てのような存在なのだろう。しかし、ハンソのという異物が体内に入り込み、溶かす事の出来ない物が体内で増殖を始めた。
「経験した事のない現象で混乱してるんだろ。今がチャンス、皆行くよ!フォリーも出てきて大丈夫だからね」
「カショウ様、良いのですか?」
「ここは闇の中。ヴァンパイアが1番力を発揮出来る場所だろ。相手は大きいんだから、全力で一気に決めよう!」
「かしこまりました」
ウィンドトルネードを解除し、全力で前へと進む。2対4枚の翼だけでなくナルキの2本の腕が地面を捉える事で、さらに前進する速度を加速させる。
『もう、人外な存在になってきたわね。次はどこに何が増えるのかしら♪』
「それは良いのか悪いのか、どっちなんだ?」
『楽しんでるだけよ。見たことがないんだからワクワクするしかないでしょ。バランスでいったら、次は下半身が強化され番よね!』
ハンソを巻き込んだウィンドトルネードは、ワームに飲み込まれて、確実に体内でダメージを与えている。しかし12~3mはあるワームの体に対して、俺の放ったウィンドトルネードは小さすぎるのかもしれない。剣羽根やダミアの実のダメージも加わっているが、特にワームに苦しがったり、嫌がったりする素振りは見えない。
「あまり効果は無いのか?」
「まだ、判断するには早すぎるよ。口を開けたまま、固まって動いていないね」
俺一人の判断ではなく、ナレッジが助言を入れてくれる。
俺の精霊達でも、3つに分かれる。ブレスレット中から出てこない·出れない内勤組と、召喚されたままの外勤組、どちらも自由にこなせる複合組。
俺自身の事だけであれば、外勤組を多くすれば、それだけ魔力を消費してくれる事になる。しかし、最近では常に精霊を召喚している事が最善ではないと思うようになってきた。
アシスで生き残る為には魔力を消費しなければならないし、それは変わらない。ただ、今を生き残る為には、俺自身が強くならなければならない。
その強くなる手段の1つが、リズやリタ·ナルキのようにブレスレットの中から俺を強化してくれる事。直接的に俺自身に力をもたらしてくれる事を考えれば、魔力消費が少なくても問題は感じない。
リズとリタが召喚出来るまでに回復したとしても、すぐに純白の翼を失って戦う事は考えづらい。
そして、戦う事だけが力ではない。ナレッジのように、俺のスキルをサポートしてくれたり、助言してくれる存在も必要になる。
やはり一番の悩みは、判断し決定する事。精霊や仲間が増える程に、1人で考えて判断し決定する事にはプレッシャーが重くのしかかる。
それを助けてくれるのは、ムーアやナレッジになるだろうし、直接的な攻撃だけが力ではないと考えれるようになってきた。
ウィンドトルネードはワームの中に吸い込まれてゆくが、次第に威力が弱くなる。一緒に飛ばされていたハンソも、威力の減衰に伴いワームの中には着地する。
風に捕らわれていたが、今度はワームの粘液に捕らえられる。
契約した精霊であれば、特に声を出さずとも思いは伝わる。しかし、あえて大きな声を出す!
「ハンソーッ、溶けてなくなりたくなかったら暴れろーっ!」
「エトーッ、エトーッ、エトーッ」
「何してる早くしろ、岩を出せ、消化液を止めろ!」
「ントッ、ントッ、ントッ」
慌ててハンソが動き出した事で、ナレッジも焦り出す。
「ハンソは消化液で溶けるのかい?召喚解除すれば、ブレスレットの中に戻せるんじゃないか?まだ間に合う可能性も十分にあるよ!」
「溶けるかもしれないし、溶けないかもしれない」
「えっ、今の話は違うのかい?」
「本当かもしれないし、違うかもしれない。ただ未知の誰も名前も知らない魔物相手で、その可能性が無いとは言えない」
「それって、知らないって事はだよね!」
「ハンソの動きが良くなったのは事実だろ。せっかく中に入り込んだのに、全力を出さなかったら意味がない。全力を発揮させてやる事が、契約者としての責務だと思う」
「うーん、確かにそうだね。僕もそうするよ」
ハンソが暴れだすと、ワームの体が少し後退を始める。触手を切られても見せなかった反応に、少し手応えを感じる。
ありがちな話で、恐らくは触手は再生が出来る使い捨てのような存在なのだろう。しかし、ハンソのという異物が体内に入り込み、溶かす事の出来ない物が体内で増殖を始めた。
「経験した事のない現象で混乱してるんだろ。今がチャンス、皆行くよ!フォリーも出てきて大丈夫だからね」
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「ここは闇の中。ヴァンパイアが1番力を発揮出来る場所だろ。相手は大きいんだから、全力で一気に決めよう!」
「かしこまりました」
ウィンドトルネードを解除し、全力で前へと進む。2対4枚の翼だけでなくナルキの2本の腕が地面を捉える事で、さらに前進する速度を加速させる。
『もう、人外な存在になってきたわね。次はどこに何が増えるのかしら♪』
「それは良いのか悪いのか、どっちなんだ?」
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