105 / 110
〜オマケ後日談〜
転生ヒロイン納得する
しおりを挟む
「ウ~ン、やっぱり洞窟全体に魔法反射の結界張ってるみたいね。後は認識阻害。思った通り物理攻撃に対する結界は張ってないわ」」
推しの言葉にひたすら頷くリナ。
洞窟の外に出て、丁度亀裂が入っている辺りまでやって来た王太子御一行は辺りの地面を念入りに調べた。
魔法を使えば手っ取り早いが、中のメイジにバレると不味いので天井の亀裂を目視で探した結果、案外大きな割れ目が見つかった。
大人が間違って足を踏み外せば最下層まであっさり落ちてしまうサイズだった。
×××
ここにいるメンツは王太子妃夫妻とリナの所属する第1班。
他は1度外へと退却し周囲を警戒中。
村の外に出て食料調達やそれこそ近隣の村を調べに斥候のように行動する連中もいる為、村の中に全てのゴブリンが揃っているとは限らないからだ。
「ソフィアたん、私の魔法なら大丈夫ってどういう事なんですか?」
「ああそれはね、里奈のロックフォールは攻撃魔法じゃなくてただの物体移動だから、結界にも引っかからないのよ」
「物理だからですか?」
「そういう事。岩自体が魔法で構築されてないから物体そのものに意思が働いて無い自然落下ってみなされるっぽいのよね~・・・ だから魔術師も防御結界が間に合わないのよ。悪意がないって言えばいいのかしら」
「悪意・・・」
「意識するのは、ここへ大きな岩を動かしてくるってことだけで後は放ったらかしでしょう?」
「ええ。まあそうですね」
――バレてる・・・
「だから皆んな不意うちされると間に合わないのよね」
「へえ~・・・」
何も考えてないと言われているのと一緒だが、尊い推しのありがたいお言葉なので全く気にならないリナ。
今もソフィアの可愛く首を傾げる仕草をガン見しているだけである・・・。
「亀裂が入って日光が入って来るってことはそれだけその場所は薄いって事だから、そこに物的に重いものを落とせば天井が抜けるわ。上手く行けば全滅? パニックになるから狭い出口に押し寄せるから一網打尽に出来る筈よ。シル?」
「北の砦から兵が移動して来る手筈は整ったらしい」
手元にやって来た小さなカナリアの魔鳥から聞き取りをしていた王太子が振り返る。
「抜け穴が他にないか他の魔術師達が探っている。それが分かり次第作戦に掛かるぞ」
「「はーい」」
良いお返事のヒロイン達である。――ただし1人は元悪役令嬢枠だが。
×××
「お、いたいた。お~い」
「アレ? アジェス」
色黒の美丈夫が手を振りながらやって来たのが見える。
「よくわかったな」
「ま~な。センサー付きだから」
肩の上に乗っている小さなワニに似た魔獣がジロリと主人を睨む。
「何故ベヒモスの気配を探らスのカト思ったラ、そういう事カ」
「え? よく分かったわねえレヴ。チャッピーこの中なのに」
ソフィアは肩から下げた鞄の中をガサゴソ探ると丸いボール状の魔道具を取り出した。
例の著作権案件の青黒のモ◯スター◯ールである。
「なんでそん中なんだよ?!」
「足の裏に魔石がくっついてくるのが最近嫌なんだって。ソファーの上だとくっつかないから、そっちに慣れちゃって・・・ 長時間抱っこするとシルが拗ねるし」
『嘘やん・・・』という顔をするアジェスと。
『さもありなん』と思いながらコックリ頷くリナである。
そして王太子は当然いつもの顔である。
片眉を上げていた・・・
「所で彼奴等は亀裂部分に物理攻撃防御を何故張って無いんでしょうか?」
小隊長が地図を確認しながら首を捻る。
「そんなモン張ったら雨まで防いじゃうでしょ。ゴブリン達は雨水で溜め池作ってるんだから、防ぐわけ無いじゃない」
呆れ顔でソフィアが言い返す。
『成る程確かに・・・』
作業を進めながら聞き耳を立てていたその辺の騎士達の多分半数以上が顔には出さないが、腹の中で納得した・・・。
推しの言葉にひたすら頷くリナ。
洞窟の外に出て、丁度亀裂が入っている辺りまでやって来た王太子御一行は辺りの地面を念入りに調べた。
魔法を使えば手っ取り早いが、中のメイジにバレると不味いので天井の亀裂を目視で探した結果、案外大きな割れ目が見つかった。
大人が間違って足を踏み外せば最下層まであっさり落ちてしまうサイズだった。
×××
ここにいるメンツは王太子妃夫妻とリナの所属する第1班。
他は1度外へと退却し周囲を警戒中。
村の外に出て食料調達やそれこそ近隣の村を調べに斥候のように行動する連中もいる為、村の中に全てのゴブリンが揃っているとは限らないからだ。
「ソフィアたん、私の魔法なら大丈夫ってどういう事なんですか?」
「ああそれはね、里奈のロックフォールは攻撃魔法じゃなくてただの物体移動だから、結界にも引っかからないのよ」
「物理だからですか?」
「そういう事。岩自体が魔法で構築されてないから物体そのものに意思が働いて無い自然落下ってみなされるっぽいのよね~・・・ だから魔術師も防御結界が間に合わないのよ。悪意がないって言えばいいのかしら」
「悪意・・・」
「意識するのは、ここへ大きな岩を動かしてくるってことだけで後は放ったらかしでしょう?」
「ええ。まあそうですね」
――バレてる・・・
「だから皆んな不意うちされると間に合わないのよね」
「へえ~・・・」
何も考えてないと言われているのと一緒だが、尊い推しのありがたいお言葉なので全く気にならないリナ。
今もソフィアの可愛く首を傾げる仕草をガン見しているだけである・・・。
「亀裂が入って日光が入って来るってことはそれだけその場所は薄いって事だから、そこに物的に重いものを落とせば天井が抜けるわ。上手く行けば全滅? パニックになるから狭い出口に押し寄せるから一網打尽に出来る筈よ。シル?」
「北の砦から兵が移動して来る手筈は整ったらしい」
手元にやって来た小さなカナリアの魔鳥から聞き取りをしていた王太子が振り返る。
「抜け穴が他にないか他の魔術師達が探っている。それが分かり次第作戦に掛かるぞ」
「「はーい」」
良いお返事のヒロイン達である。――ただし1人は元悪役令嬢枠だが。
×××
「お、いたいた。お~い」
「アレ? アジェス」
色黒の美丈夫が手を振りながらやって来たのが見える。
「よくわかったな」
「ま~な。センサー付きだから」
肩の上に乗っている小さなワニに似た魔獣がジロリと主人を睨む。
「何故ベヒモスの気配を探らスのカト思ったラ、そういう事カ」
「え? よく分かったわねえレヴ。チャッピーこの中なのに」
ソフィアは肩から下げた鞄の中をガサゴソ探ると丸いボール状の魔道具を取り出した。
例の著作権案件の青黒のモ◯スター◯ールである。
「なんでそん中なんだよ?!」
「足の裏に魔石がくっついてくるのが最近嫌なんだって。ソファーの上だとくっつかないから、そっちに慣れちゃって・・・ 長時間抱っこするとシルが拗ねるし」
『嘘やん・・・』という顔をするアジェスと。
『さもありなん』と思いながらコックリ頷くリナである。
そして王太子は当然いつもの顔である。
片眉を上げていた・・・
「所で彼奴等は亀裂部分に物理攻撃防御を何故張って無いんでしょうか?」
小隊長が地図を確認しながら首を捻る。
「そんなモン張ったら雨まで防いじゃうでしょ。ゴブリン達は雨水で溜め池作ってるんだから、防ぐわけ無いじゃない」
呆れ顔でソフィアが言い返す。
『成る程確かに・・・』
作業を進めながら聞き耳を立てていたその辺の騎士達の多分半数以上が顔には出さないが、腹の中で納得した・・・。
0
お気に入りに追加
566
あなたにおすすめの小説
偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のオリヴィアは平凡な令嬢だった。
社交界の華及ばれる姉と、国内でも随一の魔力を持つ妹を持つ。
対するオリヴィアは魔力は低く、容姿も平々凡々だった。
それでも家族を心から愛する優しい少女だったが、家族は常に姉を最優先にして、蔑ろにされ続けていた。
けれど、長女であり、第一王子殿下の婚約者である姉が特別視されるのは当然だと思っていた。
…ある大事件が起きるまで。
姉がある日突然婚約者に婚約破棄を告げられてしまったことにより、姉のマリアナを守るようになり、婚約者までもマリアナを優先するようになる。
両親や婚約者は傷心の姉の為ならば当然だと言う様に、蔑ろにするも耐え続けるが最中。
姉の婚約者を奪った噂の悪女と出会ってしまう。
しかしその少女は噂のような悪女ではなく…
***
タイトルを変更しました。
指摘を下さった皆さん、ありがとうございます。
義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました
やみなべ
恋愛
<最終話まで執筆済。毎日1話更新。完結保障有>
フランクフルト王国の辺境伯令嬢アーデルは王家からほぼ選択肢のない一方的な命令でクズな王太子デルフリと婚約を結ばされた。
アーデル自身は様々な政治的背景を理解した上で政略結婚を受け入れるも、クズは可愛げのないアーデルではなく天真爛漫な義妹のクラーラを溺愛する。
貴族令嬢達も田舎娘が無理やり王太子妃の座を奪い取ったと勘違いし、事あるごとにアーデルを侮辱。いつしか社交界でアーデルは『悪役令嬢』と称され、義姉から虐げられるクラーラこそが王太子妃に相応しいっとささやかれ始める。
そんな四面楚歌な中でアーデルはパーティー会場内でクズから冤罪の後に婚約破棄宣言。義妹に全てを奪われるという、味方が誰一人居ない幸薄い悪役令嬢系ヒロインの悲劇っと思いきや……
蓋を開ければ、超人のようなつよつよヒロインがお義姉ちゃん大好きっ子な義妹を筆頭とした愉快な仲間達と共にクズ達をぺんぺん草一本生えないぐらい徹底的に叩き潰す蹂躙劇だった。
もっとも、現実は小説より奇とはよく言ったもの。
「アーデル!!貴様、クラーラをどこにやった!!」
「…………はぁ?」
断罪劇直前にアーデル陣営であったはずのクラーラが突如行方をくらますという、ヒロインの予想外な展開ばかりが続いたせいで結果論での蹂躙劇だったのである。
義妹はなぜ消えたのか……?
ヒロインは無事にクズ王太子達をざまぁできるのか……?
義妹の隠された真実を知ったクズが取った選択肢は……?
そして、不穏なタグだらけなざまぁの正体とは……?
そんなお話となる予定です。
残虐描写もそれなりにある上、クズの末路は『ざまぁ』なんて言葉では済まない『ざまぁを超えるざまぁ』というか……
これ以上のひどい目ってないのではと思うぐらいの『限界突破に挑戦したざまぁ』という『稀にみる酷いざまぁ』な展開となっているので、そういうのが苦手な方はご注意ください。
逆に三度の飯よりざまぁ劇が大好きなドS読者様なら……
多分、期待に添えれる……かも?
※ このお話は『いつか桜の木の下で』の約120年後の隣国が舞台です。向こうを読んでればにやりと察せられる程度の繋がりしか持たせてないので、これ単体でも十分楽しめる内容にしてます。
結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。
恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。
そして、屋敷から出ると決め
計画を実行したら
皮肉にも失敗しそうになっていた。
そんな時彼に出会い。
王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす!
王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。
なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。
失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。
――そう、引き篭もるようにして……。
表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。
じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。
ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。
ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。
兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います
きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
愛される日は来ないので
豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。
──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる