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〜オマケ後日談〜

犯人はお前かッ 〜スタン視点〜

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 昨日に引き続き今日は休みに当てているため、少々寝坊をしてしまったスタン。


 「ああ、今日も休みだったな」


 呑気な欠伸が出た。



×××



 職人街の店舗を2人で何軒か回り、リナの弟に良さそうな腕輪とネックレスを見繕って買うことに決めた。


 「ピアスは穴を開けて無いから無理だし」

 「指輪はどうだ?」

 「慣れてないと1番無くしそう。小さいし。手洗いとかで外しそうでしょう?」

 「確かになあ」


 指輪は金属が少ないので護符としては少額で済むんだが・・・


 「無くしてほしくないから腕輪とネックレスにやっぱりします」


 店主にそう言って選んだやつを包むように言う彼女を見ていて家族思いなんだな、と思う。
 護符は1度暴走を止めるために使うと魔石が壊れ買い替えなくては意味のない消耗品だ。土台は残るが、魔石の入れ替えは必要となるので、まだ14歳の弟にはかなり高価な贈り物だろう。


 「大丈夫か? 俺も半分出そうか?」

 「え?」


 キョトンとする彼女が面白いと思った。


 「大丈夫ですよ、私それなりに稼いでるんで。それに北の森の砦って周りに都市も村もないただの砦なんで、お金使わないんですよね」


 照れたようにヘヘヘと笑う彼女。


 「買い物なんかどうするんだ?」


 女だから化粧品とかドレスとかあるよな?


 「え? 化粧なんかしませんけど?」

 「え? その顔でか?」


 何故ムッとする?


 「スッピンで悪かったですね!」

 「えッ! 化粧してないのか?」


 眼の前の職人に笑われた。


 「兄さん、この子は化粧っ気は全然無いじゃないか」

 「ええッ?」


 思わず2度見する。


 「顔も全然イジってないのにそれだけ美人なら、引く手数多だのう」

 「ヤダ~、オジサン。煽てたって2つ以上は買わないわよぉ」


 この店の店主はドワーフだ。匂いや色に敏感な人種の彼が言うんだから、コイツ、スッピンなのか?


 「お前、美人すぎるだろう?」

 「「何言ってるの(んだ)?」」

 「いや、女は顔を洗うと顔が変わるもんだと思ってたんだ・・・・」


 リナには白い目で見られ、店主には哀れんだ目で見られた・・・・。






 食堂で昨日の事をボーっと思い出していたら、急に背中を叩かれ、


 「な~にぼーっとしてるんス?」


 ニヤニヤ笑いながら俺の後ろに立つのはレオナルド。

 パーティーメンバーの一人で前衛の剣士だ。

 腕は確かだがチャラくて女好きなのが玉に瑕だが、明るいのでチームのムードメーカーだ。


 同時にトラブルメーカーでもあるが・・・ 良いやつなんだがなぁ。


 「ああ、いやちょっと昨日リナが全然化粧してないって知ってびっくりしたんだ」

 「? 何言ってるんすか?」

 「いや、女は化粧をするもんだと思ってたんだ」

 「あ~わかった。朝見たら顔が変わってるってやつですか? まあ商売女とかあるあるっすね」


 ――コイツ鋭いな。


 「まあ、確かにその辺のねーちゃん達も化粧して多少は顔が変わってますけどねぇ。でもリナちゃんは天然なのか。美人だな~。ソニアちゃんに言わなきゃな」

 
 ――ん? なんかコイツ変なこと言わなかったか?


 「おい、何でギルドの受付にリナの情報を流さなきゃいけないんだ?」

 「え? 知りたいって言われたから?」

 「な・に・を・だッ!?」


 思わずレオナルドの襟を掴んで立ち上がったら、身長差でちょっと足が浮いたが気にしないことにした。


 「あわわ、分かんないスけどソニアちゃんに彼女が王都に来る日とか知ってたら教えてくれって言われたんですって。スタンさんリナちゃんに会う日は予定入れないでしょ? だからわかるんですけど・・・? え? え?」


 犯人はコイツだった・・・


 「あのな、次からは絶対に教えるな」

 「え? 何で?」


 ――コイツ。鈍過ぎる・・・ 前言撤回だ。俺より酷い。


 「毎回毎回リナが王都に来るたびにソニアが俺の所に押しかけてくるのが分かってないのか?」

 「え? そうでしたっけ? え何で?」

 「知るか! デートの邪魔だから絶対に教えるなよッ」


 ・・・・デートって。

 うわ。言っちまったよ・・・


 「デートだったんですね・・・ 俺はただのボランティアかと思ってました・・・リナちゃん。何でこんなオッサンと・・・ トホホ」


 ヘナヘナと床に座り込むレオナルド。なんなんだコイツ。諦めて無かったのか?


 「ところでボランティアって何だ?」

 「独身の寂しいオッサンに可愛い女の子が会ってくれる癒やしの時間の提供?」


 俺は迷わずレオナルドのケツを思い切り蹴飛ばした――



×××



 「クシュン!」

 「お、リナちゃん風邪かい?」


 団長が森の入り口で振り返った。


 「いいえ―、体調はバッチリです。ホコリでも舞ってましたかね?」


 「うーん? いやどうかな? まあ問題なければ探査を続けるがいいか?」


 「大丈夫です。心配しすぎですよ~」


 団長は自分の娘さんと私が同い年なので、北の砦でのお父さんみたいな感じになっちゃってる。
 くまのプ◯さんみたいに優しそうな顔の眉を下げた。


 「不調の時は言うように」

 「ハイ。でも大丈夫ですよ。誰か噂でもしてたんじゃないですかね?」


 アハハハと笑うと


 「コレか~?」


 と親指を立てられてしまった。


 そうだといいんですけどねぇ・・・

 ついでにそれがスタンさんだったら尚ヨシ! ですけどね。


 世の中そんなにうまくいくわけ無いわよねとため息をこっそりついた。






 「ゴブリン見つけたら八つ当たりしてやる・・・・」


 なんか隣の騎士の顔が引き攣ったけど、見なかったことにした。


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