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77 前世の君も俺の愛する人だから 〜王子視点⑩〜
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『通常なら蓋は閉じてる。その短い偶然を引ける強い意思や魂だから飛び移れるんだ。それってすごい『強運』でしょ?』
魔人だか創造主だかよく分からん『ポチ』と名付けられた新しいソフィアの従魔がそう言った時、ハッと気が付いた。
この幼馴染み兼自分の婚約者でもあるソフィア・レイド・グレーンは、元々こんな魅力的な人物ではなく、どこにでもいる貴族の令嬢だったかもしれないという事に。
×××
ソフィアは前世30歳近くまで生きた女性だった過去があり異世界転生者だと12年前俺に告白した。
それを1度でも疑ったことはないけれど彼女と同じ世界から転生してきたという目の前の女魔術師と『ポチ』が現れて色々な話を聞いていてみて、今迄ソフィアから聞かされた内容は彼女の頭の中で構築された想像の産物ではなく、過去現実にあった出来事だったのだということを改めて実感した。
ということは、彼女をに追いやったという『キギョウ』とやらの『ジュウヤク』とか『ジョウシ』とやらも別の世界に存在するということだ。
過労で転落死。
ソレはこの世界でもあり得る事だと思う。
だけど彼女は好きで過労で衰弱していたわけじゃない。
単に責任感とその環境から逃れられない重圧から来たものであって、多分だが彼女の元々の生命力や強い意志が弱っていたわけじゃないのだ。
『ポチ』は世界を渡れるくらいの『強運』の持ち主だからこそ異世界渡りをして生まれ変わったのだと言った。
もし元の彼女がそれだけの強運の持ち主ならば。
彼女が普通の健康体だったら。
死ななくて済んだかもしれないということじゃないか?
――この世界で俺の眼の前に現れた、とんでも無くおもしろくて可愛い婚約者は偶々過労で弱っていた。
だからこそ、ここに、俺の隣に座っているんだ――
そう思ったら、自然と自分自身の強運にも感謝した。
彼女を婚約者にする事を可能にした出自も。
有無を言わさず周りを納得させるように立ち回った努力も。
彼女を丸め込むだけの悪知恵を働かせる事ができるだけの頭脳も。
俺自身に与えられた素地こそが俺の強運だったんじゃないかな?
――全て鍛えようとしたのは彼女がいたからだけど――
他の魅力のない令嬢相手だったらどうでも良かっただろうという事は自分自身が1番自覚している。
彼女が今の彼女だったから奇跡的に俺がそう動いたに過ぎない。
なんせ手綱を握っとかなきゃどっかに逃げて行きそうで不安だったからな・・・。
だとしても。
彼女を死に追いやったという『キギョウ』とやらの『ジュウヤク』とか『ジョウシ』は許せんな。
彼女が俺のもとに来てくれたという奇跡はありがたいと思うが
前世の彼女を雁字搦めにした事は許し難い・・・
何か報復はできないものか。
俺は宙に浮かぶ丸い霞のような『ポチ』をじっと見つめながら思考の海に沈んだ。
箱庭・・・ 成る程。
使えるかもしれんな。
魔人だか創造主だかよく分からん『ポチ』と名付けられた新しいソフィアの従魔がそう言った時、ハッと気が付いた。
この幼馴染み兼自分の婚約者でもあるソフィア・レイド・グレーンは、元々こんな魅力的な人物ではなく、どこにでもいる貴族の令嬢だったかもしれないという事に。
×××
ソフィアは前世30歳近くまで生きた女性だった過去があり異世界転生者だと12年前俺に告白した。
それを1度でも疑ったことはないけれど彼女と同じ世界から転生してきたという目の前の女魔術師と『ポチ』が現れて色々な話を聞いていてみて、今迄ソフィアから聞かされた内容は彼女の頭の中で構築された想像の産物ではなく、過去現実にあった出来事だったのだということを改めて実感した。
ということは、彼女をに追いやったという『キギョウ』とやらの『ジュウヤク』とか『ジョウシ』とやらも別の世界に存在するということだ。
過労で転落死。
ソレはこの世界でもあり得る事だと思う。
だけど彼女は好きで過労で衰弱していたわけじゃない。
単に責任感とその環境から逃れられない重圧から来たものであって、多分だが彼女の元々の生命力や強い意志が弱っていたわけじゃないのだ。
『ポチ』は世界を渡れるくらいの『強運』の持ち主だからこそ異世界渡りをして生まれ変わったのだと言った。
もし元の彼女がそれだけの強運の持ち主ならば。
彼女が普通の健康体だったら。
死ななくて済んだかもしれないということじゃないか?
――この世界で俺の眼の前に現れた、とんでも無くおもしろくて可愛い婚約者は偶々過労で弱っていた。
だからこそ、ここに、俺の隣に座っているんだ――
そう思ったら、自然と自分自身の強運にも感謝した。
彼女を婚約者にする事を可能にした出自も。
有無を言わさず周りを納得させるように立ち回った努力も。
彼女を丸め込むだけの悪知恵を働かせる事ができるだけの頭脳も。
俺自身に与えられた素地こそが俺の強運だったんじゃないかな?
――全て鍛えようとしたのは彼女がいたからだけど――
他の魅力のない令嬢相手だったらどうでも良かっただろうという事は自分自身が1番自覚している。
彼女が今の彼女だったから奇跡的に俺がそう動いたに過ぎない。
なんせ手綱を握っとかなきゃどっかに逃げて行きそうで不安だったからな・・・。
だとしても。
彼女を死に追いやったという『キギョウ』とやらの『ジュウヤク』とか『ジョウシ』は許せんな。
彼女が俺のもとに来てくれたという奇跡はありがたいと思うが
前世の彼女を雁字搦めにした事は許し難い・・・
何か報復はできないものか。
俺は宙に浮かぶ丸い霞のような『ポチ』をじっと見つめながら思考の海に沈んだ。
箱庭・・・ 成る程。
使えるかもしれんな。
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