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73 幽霊みたいな存在〜元リーナ視点①〜
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『ねえ、気に入らないんでしょ? 今の自分の状態がサ~』
私はあの時、北の砦に送り届けられた後になって王宮魔術師と騎士団の魔術師の違いに気づかないまま生活費という名の大金をもらえる契約書にサインをしてしまった事を後悔しながら与えられた個室で爪をかみながらイライラしていたのよ。
×××
この国では平民でも魔力が備わっていた場合は王立学園に入学出来る。
学園の入学時測定で再検査後に高い魔力値を認められた学生は奨学金制度だけではなく、入寮費が免除になり更に生活費をもらえる制度があるという説明をされた事は覚えているけど、その時は眼の前にいる人のイケメン具合に上の空になっていたから内容なんか全然覚えていなかった。
『今直ぐ即答せずに、今後の事をよく考えてサインするかどうかを決めるように』
生徒自治会長の王太子に何度も念を押されたのに、この目の前にいる極上のイケメンの直ぐ側に居たいと思って安易にその場でサインした。
この国の王族や高位の貴族男性達は学園内で低位の貴族や平民との交流の機会を増やすため入寮するのが決まりだ。その為自宅から通える者も王族と話す機会が増える事をチャンスと捉え入寮する学生は多かった。
私が入学する年は王太子シルファ様も入学すること決まっており、学園に通うことのできる平民達はそれはもう期待していた。
当然私もだ。
国民的アイドルのシルファ様はプラチナブロンドヘアに空のような青い瞳をした美形男子でこの国の男優なんか足元に及ばないほど国民に人気がある。
だから少しでも彼の近くに侍って、できることならその瞳に自分の姿を映して欲しい―― 乙女なら誰だって夢見るわよね?
自慢じゃないけど私は貴族にも引けを取らないほどの美しい豪奢なブロンドヘアでその辺の平民の男共どころか貴族男性だって振り返る位の美少女。
期待して何が悪いの?
――そう思ってた。
×××
入寮して機会を伺い王子に折角取り入ってお近付きになりたいのに最初の1年目は王太子殿下の姿は全く見ることすら出来ないくらいの貴族女子達に囲まれて近寄ることもできなかった。
2年目になるとそれがかなり疎らになり、挨拶位はできるようになった。
3年目は殆どいなくなり侍っている女子は私だけで他は令息達だけになってた。
チャンスだと思った。
でも。
3学年の1学期が終わる頃になると私達の教室や実技授業にチョロチョロと現れ始めた女がいたのだ。
国王陛下の姪でシルファ殿下の従妹で天才だとかで学園側に飛び級を認められた女。
それが王太子の正式な婚約者の辺境伯令嬢ソフィア・レイド・グレーン。
グレーン王族に多いベリーピンクの可愛らしい髪の色に青紫の透き通った瞳をした見たこともないような美少女だった。
普段は表情が全く動かない王太子が唯一表情を動かす相手だと貴族の間では物凄く有名だったらしいけど、私は全く知らなかった。
私には3年間王子の側にいたという実績があり、しかも魔法の実力も学園のトップクラスで卒業後は王宮のお抱え魔術師になるエリートだと思っていた。
それが。
全てあの卒業パーティーで全てひっくり返った――
私はあの時、北の砦に送り届けられた後になって王宮魔術師と騎士団の魔術師の違いに気づかないまま生活費という名の大金をもらえる契約書にサインをしてしまった事を後悔しながら与えられた個室で爪をかみながらイライラしていたのよ。
×××
この国では平民でも魔力が備わっていた場合は王立学園に入学出来る。
学園の入学時測定で再検査後に高い魔力値を認められた学生は奨学金制度だけではなく、入寮費が免除になり更に生活費をもらえる制度があるという説明をされた事は覚えているけど、その時は眼の前にいる人のイケメン具合に上の空になっていたから内容なんか全然覚えていなかった。
『今直ぐ即答せずに、今後の事をよく考えてサインするかどうかを決めるように』
生徒自治会長の王太子に何度も念を押されたのに、この目の前にいる極上のイケメンの直ぐ側に居たいと思って安易にその場でサインした。
この国の王族や高位の貴族男性達は学園内で低位の貴族や平民との交流の機会を増やすため入寮するのが決まりだ。その為自宅から通える者も王族と話す機会が増える事をチャンスと捉え入寮する学生は多かった。
私が入学する年は王太子シルファ様も入学すること決まっており、学園に通うことのできる平民達はそれはもう期待していた。
当然私もだ。
国民的アイドルのシルファ様はプラチナブロンドヘアに空のような青い瞳をした美形男子でこの国の男優なんか足元に及ばないほど国民に人気がある。
だから少しでも彼の近くに侍って、できることならその瞳に自分の姿を映して欲しい―― 乙女なら誰だって夢見るわよね?
自慢じゃないけど私は貴族にも引けを取らないほどの美しい豪奢なブロンドヘアでその辺の平民の男共どころか貴族男性だって振り返る位の美少女。
期待して何が悪いの?
――そう思ってた。
×××
入寮して機会を伺い王子に折角取り入ってお近付きになりたいのに最初の1年目は王太子殿下の姿は全く見ることすら出来ないくらいの貴族女子達に囲まれて近寄ることもできなかった。
2年目になるとそれがかなり疎らになり、挨拶位はできるようになった。
3年目は殆どいなくなり侍っている女子は私だけで他は令息達だけになってた。
チャンスだと思った。
でも。
3学年の1学期が終わる頃になると私達の教室や実技授業にチョロチョロと現れ始めた女がいたのだ。
国王陛下の姪でシルファ殿下の従妹で天才だとかで学園側に飛び級を認められた女。
それが王太子の正式な婚約者の辺境伯令嬢ソフィア・レイド・グレーン。
グレーン王族に多いベリーピンクの可愛らしい髪の色に青紫の透き通った瞳をした見たこともないような美少女だった。
普段は表情が全く動かない王太子が唯一表情を動かす相手だと貴族の間では物凄く有名だったらしいけど、私は全く知らなかった。
私には3年間王子の側にいたという実績があり、しかも魔法の実力も学園のトップクラスで卒業後は王宮のお抱え魔術師になるエリートだと思っていた。
それが。
全てあの卒業パーティーで全てひっくり返った――
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