36 / 110
36 こんばんわ従兄弟〜ソフィア視点④過去〜
しおりを挟む
「めんどくさいな~ 結婚なんかしなくていいじゃん」
――将来的に王妃とか? めんどくさそう。
「そう言うなよ~ 一応お前辺境伯領主の娘なんだぞ?」
「知ってる」
――魔物退治が仕事だよね。
「この国の3分の1位はお前のとーちゃんの領土だぞ?」
「魔の森がおっきいからでしょ?」
「ま、そうだけどなぁ。魔の森は潤沢に魔石や結晶が採れる場所だ。土地からも魔獣からもな。お前んち要するに金持ちなんだよ」
「え、そうなの?」
「ああ。俺は王様なんかやらずに辺境伯になりたかったけど、長男だから無理だった。んで、次男だったお前のとーちゃんがなったんだ」
ガチムチ系イケオジが実に残念そうな顔をする・・・
「世知辛い世の中だねえ・・・」
「お前ホントに6歳児か?」
「当たり前じゃん。あ、そうか金持ちの家の子だから色んな人に狙われるって事?」
「そういうことだ」
さっき知ったばかりの、伯父さんが真面目な顔で頷いた。
「うーん。でもな、王子様かぁ。どんな子?」
「お? 気になるか? シルファっつうんだがな王妃に似てるから顔はいいぞ~ 将来的には美男子だなありゃあ」
ニヤつくイケオジ。
――嫁が大好きなんだよねこの人も。
「へえ~、髪の色とか目の色は?」
「王妃に似て髪はプラチナブロンド。俺に似て目はサファイアブルーだな」
「うっわー、正統派王子様じゃん。出来杉君だ」
「?」
×××
その夜。
ベッドで寝てた筈なのに気づけば見知らぬ従兄弟のシルファの部屋に跳んでいた。
眼の前でサラサラのプラチナブロンドの後ろ頭が揺れている。
――絶対にシルファだ。今日伯父さんに聞いたばっかりだもん。でも会った事もないのになんで跳んじゃったんだろ?
机に向かって魔石ランプの灯りを頼りに何か書き物をしている従兄弟は首を傾げているようだ。
「ねえ、ナニしてんの?」
振り返った彼はめちゃくちゃ美少年だったが、驚きすぎて目のサイズが倍くらいには大きくなっていた。
×××
最初は警戒されてたけど直ぐに打ち解けて仲良くなった。
シルファにくっついて布団の中に入って話してたら、自分の魔力が安定してるのに気が付いた。
――なんでだろう?
自分の魔力の流れなんか気にしたことはなくていつも周りでザワザワしている感じだけを拾ってて、行き先がない感じ? 詰まってるような感じがしてたけどそれが当たり前だったから急に楽になったんで気が付いた。
自分の周りを取り囲んでたザワザワする感じが彼に向かって流れて行く気がしたので、何となく薄目で追っていくと卵の殻ような形でぼんやり光るモノが彼を包みこんでいてそれに吸い込まれて行くように見えた。
「?」
不思議だったけど、その日は帰った後直ぐに寝て忘れてしまった。
昼間、寝不足でぼ―っと庭を見てたら兵士達が隊列を組んで窓の下を歩いていくのが見えた。
「アレ?」
昨日シルファの周りに見えてた卵みたいなのに皆包まれている?
気になって、試しに他の人も見てみたくなり屋敷の中をウロウロと歩き回った。
――将来的に王妃とか? めんどくさそう。
「そう言うなよ~ 一応お前辺境伯領主の娘なんだぞ?」
「知ってる」
――魔物退治が仕事だよね。
「この国の3分の1位はお前のとーちゃんの領土だぞ?」
「魔の森がおっきいからでしょ?」
「ま、そうだけどなぁ。魔の森は潤沢に魔石や結晶が採れる場所だ。土地からも魔獣からもな。お前んち要するに金持ちなんだよ」
「え、そうなの?」
「ああ。俺は王様なんかやらずに辺境伯になりたかったけど、長男だから無理だった。んで、次男だったお前のとーちゃんがなったんだ」
ガチムチ系イケオジが実に残念そうな顔をする・・・
「世知辛い世の中だねえ・・・」
「お前ホントに6歳児か?」
「当たり前じゃん。あ、そうか金持ちの家の子だから色んな人に狙われるって事?」
「そういうことだ」
さっき知ったばかりの、伯父さんが真面目な顔で頷いた。
「うーん。でもな、王子様かぁ。どんな子?」
「お? 気になるか? シルファっつうんだがな王妃に似てるから顔はいいぞ~ 将来的には美男子だなありゃあ」
ニヤつくイケオジ。
――嫁が大好きなんだよねこの人も。
「へえ~、髪の色とか目の色は?」
「王妃に似て髪はプラチナブロンド。俺に似て目はサファイアブルーだな」
「うっわー、正統派王子様じゃん。出来杉君だ」
「?」
×××
その夜。
ベッドで寝てた筈なのに気づけば見知らぬ従兄弟のシルファの部屋に跳んでいた。
眼の前でサラサラのプラチナブロンドの後ろ頭が揺れている。
――絶対にシルファだ。今日伯父さんに聞いたばっかりだもん。でも会った事もないのになんで跳んじゃったんだろ?
机に向かって魔石ランプの灯りを頼りに何か書き物をしている従兄弟は首を傾げているようだ。
「ねえ、ナニしてんの?」
振り返った彼はめちゃくちゃ美少年だったが、驚きすぎて目のサイズが倍くらいには大きくなっていた。
×××
最初は警戒されてたけど直ぐに打ち解けて仲良くなった。
シルファにくっついて布団の中に入って話してたら、自分の魔力が安定してるのに気が付いた。
――なんでだろう?
自分の魔力の流れなんか気にしたことはなくていつも周りでザワザワしている感じだけを拾ってて、行き先がない感じ? 詰まってるような感じがしてたけどそれが当たり前だったから急に楽になったんで気が付いた。
自分の周りを取り囲んでたザワザワする感じが彼に向かって流れて行く気がしたので、何となく薄目で追っていくと卵の殻ような形でぼんやり光るモノが彼を包みこんでいてそれに吸い込まれて行くように見えた。
「?」
不思議だったけど、その日は帰った後直ぐに寝て忘れてしまった。
昼間、寝不足でぼ―っと庭を見てたら兵士達が隊列を組んで窓の下を歩いていくのが見えた。
「アレ?」
昨日シルファの周りに見えてた卵みたいなのに皆包まれている?
気になって、試しに他の人も見てみたくなり屋敷の中をウロウロと歩き回った。
1
お気に入りに追加
566
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
どうやら私は乙女ゲームの聖女に転生した・・・らしい
白雪の雫
恋愛
「マリーローズ!ガニメデス王国が認めた聖女であるライムミントに対して罵詈雑言を浴びせただけではなく、命まで奪おうとしたそうだな!お前のような女を妃に迎える訳にはいかないし、王妃になるなど民は納得せぬだろう!マリーローズ、お前との婚約を破棄する!」
女の脳裡に過るのは婚約者に対して断言した金髪碧眼の男性及び緑とか青とかの髪のイケメン達に守られる一人の美少女。
「この場面って確か王太子による婚約者の断罪から王太子妃誕生へと続くシーン・・・だっけ?」
どうやら私は【聖なる恋】という18禁な乙女ゲームの世界に転生した聖女・・・らしい。
らしい。と思うのはヒロインのライムミントがオッドアイの超美少女だった事だけは覚えているが、ゲームの内容を余り覚えていないからだ。
「ゲームのタイトルは【聖なる恋】だけどさ・・・・・・要するにこのゲームのストーリーを一言で言い表すとしたら、ヒロインが婚約者のいる男に言い寄る→でもって赤とか緑とかがヒロインを暴行したとか言いがかりをつけて婚約者を断罪する→ヒロインは攻略対象者達に囲まれて逆ハーを作るんだよね~」
色々思うところはあるが転生しちゃったものは仕方ない。
幸いな事に今の自分はまだ五歳にもなっていない子供。
見た目は楚々とした美少女なヒロイン、中身はオタクで柔道や空手などの有段者なバツイチシンママがビッチエンドを回避するため、またゴリマッチョな旦那を捕まえるべく動いていく。
試験勉強の息抜きで書いたダイジェストみたいな話なのでガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義です。
ヒロインと悪役令嬢sideがあります。
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる