12 / 110
12 またつまらぬモノを
しおりを挟む
「・・・ で、このボタンを押しながら魔物にぶつけると転移魔法が勝手に対象物にむかって展開されて、このボールの中に対象生物が引き込まれるわけ。でぇ、異次元空間に作った疑似領域は牧場みたいになっててね引き込んだ生物も死なないようになってるの。分かった?」
従兄弟のアジェスと共に辺境伯領の兵士達も隊長も一斉に首を横にブンブンと振った。
理解が出来なかったらしい・・・
「ま。いっか。分かんなくても。理論上では成功するのよ某ハー◯ードで培ったこの頭脳を信じなさい」
フンスと形の良いバストを張る彼女の前世は研究馬鹿の社畜だった疑いが浮上した。
「◯ーバードはわからんが、なあ、それどうやって使うんだ?」
恐る恐る紅白のボールを指さしながら、代表で確認する従兄弟殿。
自分が入れられてしまったら大変である。
「え? 勿論この玉をぶつけて、決め台詞を言ってゲットするに決まってるわよ? 私ならベヒモスでも魔力で押し勝てる筈だし」
「「「「「失敗したらどうすんだよッ!!」」」」」
「失敗しないって、大丈夫だってば。それにさぁ」
彼女が隠れている岩場の向こうを指さした。
「もうアイツにバレちゅうやん」
指の先ではベヒモスが鼻息を荒げながら赤い目をランランと光らせて首をこちらに向けていた・・・
×××
一方。
限りなく野盗に近い身なりと態度ではあるが冒険者かもしれない男達と辺境伯領の兵士達が睨み合いを続けていた。
「ベヒモスはなぁ、魔石を呼ぶ魔物なんだよ。其れを手に入れりゃあ一攫千金も夢じゃねえんだ。そこをどけよ」
左目を前髪で隠したやたら目つきの悪い男が背負っていたパルチザンに手を掛けながら一歩前に踏み出し、それに釣られるように後ろの連中も各々の得物に手を掛け、ある者は鞘からソードを引き抜き、ある者はロング・ボウを構え始める・・・
が。
「そこまでだ」
凛とした声が緊張した場に響き渡り金属が擦れるような、とことん嫌な音がして全員が思わず顔をしかめる。
あれだ、ほら黒板の表面に黒板消しの側面を当てて引っ張った時みたいな不快な音である・・・(大汗)
「またつまらぬものを・・・」
そう言いながら睨み合う男達の間に突然降って湧いた様に現れた『着物に袴』姿の男の手には刀身を白木で覆った長い太刀。
・・・『キモノ』はジャパニーズテイストなので、プラチナブロンドにサファイアのような瞳の美男子にはどう見ても不釣り合いのような気がする・・・
「「「「「殿下!」」」」」
もっともこの世界には着物文化は無いので特注品なのは読者諸氏はお見通しだろう。
そう。布教主は廃棄ダンジョンの中である。
従兄弟のアジェスと共に辺境伯領の兵士達も隊長も一斉に首を横にブンブンと振った。
理解が出来なかったらしい・・・
「ま。いっか。分かんなくても。理論上では成功するのよ某ハー◯ードで培ったこの頭脳を信じなさい」
フンスと形の良いバストを張る彼女の前世は研究馬鹿の社畜だった疑いが浮上した。
「◯ーバードはわからんが、なあ、それどうやって使うんだ?」
恐る恐る紅白のボールを指さしながら、代表で確認する従兄弟殿。
自分が入れられてしまったら大変である。
「え? 勿論この玉をぶつけて、決め台詞を言ってゲットするに決まってるわよ? 私ならベヒモスでも魔力で押し勝てる筈だし」
「「「「「失敗したらどうすんだよッ!!」」」」」
「失敗しないって、大丈夫だってば。それにさぁ」
彼女が隠れている岩場の向こうを指さした。
「もうアイツにバレちゅうやん」
指の先ではベヒモスが鼻息を荒げながら赤い目をランランと光らせて首をこちらに向けていた・・・
×××
一方。
限りなく野盗に近い身なりと態度ではあるが冒険者かもしれない男達と辺境伯領の兵士達が睨み合いを続けていた。
「ベヒモスはなぁ、魔石を呼ぶ魔物なんだよ。其れを手に入れりゃあ一攫千金も夢じゃねえんだ。そこをどけよ」
左目を前髪で隠したやたら目つきの悪い男が背負っていたパルチザンに手を掛けながら一歩前に踏み出し、それに釣られるように後ろの連中も各々の得物に手を掛け、ある者は鞘からソードを引き抜き、ある者はロング・ボウを構え始める・・・
が。
「そこまでだ」
凛とした声が緊張した場に響き渡り金属が擦れるような、とことん嫌な音がして全員が思わず顔をしかめる。
あれだ、ほら黒板の表面に黒板消しの側面を当てて引っ張った時みたいな不快な音である・・・(大汗)
「またつまらぬものを・・・」
そう言いながら睨み合う男達の間に突然降って湧いた様に現れた『着物に袴』姿の男の手には刀身を白木で覆った長い太刀。
・・・『キモノ』はジャパニーズテイストなので、プラチナブロンドにサファイアのような瞳の美男子にはどう見ても不釣り合いのような気がする・・・
「「「「「殿下!」」」」」
もっともこの世界には着物文化は無いので特注品なのは読者諸氏はお見通しだろう。
そう。布教主は廃棄ダンジョンの中である。
7
お気に入りに追加
566
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~
志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。
自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。
しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。
身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。
しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた!
第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。
側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。
厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。
後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
悪女と言われ婚約破棄されたので、自由な生活を満喫します
水空 葵
ファンタジー
貧乏な伯爵家に生まれたレイラ・アルタイスは貴族の中でも珍しく、全部の魔法属性に適性があった。
けれども、嫉妬から悪女という噂を流され、婚約者からは「利用する価値が無くなった」と婚約破棄を告げられた。
おまけに、冤罪を着せられて王都からも追放されてしまう。
婚約者をモノとしか見ていない婚約者にも、自分の利益のためだけで動く令嬢達も関わりたくないわ。
そう決めたレイラは、公爵令息と形だけの結婚を結んで、全ての魔法属性を使えないと作ることが出来ない魔道具を作りながら気ままに過ごす。
けれども、どうやら魔道具は世界を恐怖に陥れる魔物の対策にもなるらしい。
その事を知ったレイラはみんなの助けにしようと魔道具を広めていって、領民達から聖女として崇められるように!?
魔法を神聖視する貴族のことなんて知りません! 私はたくさんの人を幸せにしたいのです!
☆8/27 ファンタジーの24hランキングで2位になりました。
読者の皆様、本当にありがとうございます!
☆10/31 第16回ファンタジー小説大賞で奨励賞を頂きました。
投票や応援、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる