上 下
8 / 110

8 ベヒモスは生け捕り? AI画アリ

しおりを挟む
 「魔物は知能が高いから本人に聞けばわかるんじゃないの?」


 ――魔物は人か? という疑問は横に置いといて。


 「「「「「・・・」」」」」

 「ソフィア、そんな事が可能な相手じゃないと思うぞ・・・」


 呆れ顔でアジェスが諭す。


 「そんなん、やってみんと分からんやん?」

 「出たな謎の方言・・・」

 「ベヒモス生け捕りにしてみるね♡」


 怖い、このお嬢ちゃん怖すぎる・・・


 その場の兵士は全員良くない顔色になり引いたらしい――



×××



 宣言の通り生け捕りする気満々で廃墟ダンジョンに突き進んでいくソフィア嬢。

 彼女の進む先には蛍のような小さくて柔らかな光が先導するようにいくつも拡がっては先を照らす。


 「お嬢の光魔法便利ですよねえ。光量調節も可能な上に壁に引っ付いてくから、壁全体が発光する・・・」


 付いて行く隊長が感心しながら周りを見回す。
 光魔法で壁も床も自然発光しているのだ。


 「こういうの、どういう発想から生まれるのかが分かんねえ・・・」


 アジェスの呟きに、某アニメ映画◯ピ◯タですとは答えられずに口をムニムニさせてしまうソフィアである。


 魔法は発想力で発現するモノらしく、前世で見たり読んだりしたモノは今生では比べものにならないくらい魔法の発想の元になるものばかり。

 多分釣り合う魔力量さえあればソフィアは世界最強も夢では無い。

 因みに魔力量は大雑把に部屋が余波でぶっ飛ぶ程度となっているがそもそも本気で魔力を流した訳ではない。
 しかも検査水晶が破壊されたので正しい魔力量は未だに謎のままである。


 魔法少女どころか魔王かも知れない。



×××



 「居たわ」


 岩陰から最奥の部屋を覗き込むソフィアの目の前には小山のように大きなゴツゴツした体つきのサイのお化けのような生きものが4本足で立って何かを食べている。


 まあ、多分魔石だろうが・・・


 「ありゃ、ただのでっかいクロサイじゃん・・・」

 「「「「「?」」」」」


 因みにこの世界にはシロサイだろうが、クロサイだろうがどちらにしても存在しない。



×××



 時間は少しだけ巻き戻る――


 「ソフィア・・・」


 手を伸ばしたが愛しの婚約者ソフィアに届くこと無く、眼の前で消えてしまった彼女の名前をポツリと呟くのはシルファ王子である。


 「やーだ、野蛮ね。討伐に令嬢が行くのかしらぁ」


 王太子の肘にぶら下がり、婚約者の元へ行こうとするのを阻止するが如く袖を引っ張って引きずられても付いてきた御令嬢、つか、不敬罪で断罪されそうなリーナがフフフと笑いながらそう呟いた。


 「・・・ は騎士団に入隊するのだろう?」

 「え? ええそうですよぉ、魔術部門です。私、魔力がとっても強いのでぇ・・・」


 シナを作りながらすり寄ってくる彼女を振り払う王子様。


 「きゃっ。ひっどおいぃ」


 尻餅を付いて泣き真似をするリーナに冷たい視線を向けるシルファ王子。


 「会場に入場するまでのエスコートはしてやっても良いと伝えたが、会場入りした後はすぐに離れるように申し伝えたはずだ。そして貴様に敬称けいしょうすらもない愛称呼びを許した覚えなど全く無いはずだが? しかも私の婚約者に向かいぞんざいな口のきき方をする事を誰が貴様に許したのだ?」

 「え? ええっと・・・」

 「その程度の作法と知能の低さでよく騎士団に行けることになったものだな」

 「え、だって・・・ 魔力が強くて即戦力になるからって言われて・・・」
















 


王太子 シルファ・グレーン
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

家出した伯爵令嬢【完結済】

弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。 番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています 6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

処理中です...