上 下
7 / 110

7 魔力増加の犯人

しおりを挟む
 「このままだとダンジョンから魔物が溢れるってこと?」


 眉を下げたまま白髪に白髭の小隊長は頷いた。


 「こんなの初めてでして」

 「そうなんだ・・・ 属性は土で間違いないの?」

 「ええ。ですから水や火魔法の使える奴を揃えた部隊を編成したんですが周りに生まれてる反応が小さいんで溢れかえるスタンピード程じゃないんですがなんせ数が多いんですよ」


 困り顔になる小隊長。


 「しかもヌシベヒモスのサイズが徐々に大きくなってるらしいんです。今斥候がダンジョンに潜って視認してるはずです」


 隊長の言葉と同時に洞窟から斥候役の兵が3人飛び出してきた。


 「隊長っ! 大変ですッ マジでベヒモスでしたッ! 周りに魔石が勝手に生まれてそれを喰ってベヒモスがドンドン成長してます」

 「「「?」」」

 「つまり、小さい魔物がいるんじゃなくて魔石? をベヒモスが食べて大きくなってるって事?」

 「そうですッ、あのまま放っとくとダンジョン自体が崩れて崩落します」

 「まー、枯れダンジョンだがな」

 「ベヒモスも生き埋めになるんじゃない?」


 ソフィアが言うと


 「「「「土の魔物ですから生き埋めはありませんッ!」」」」


 全員に怒られた。解せぬ・・・ あ! そうだった平気だった。

 馴染む魔力要素だから平気で這い出てくるわw


 ――ソフィアは優秀なはずだが、偶に抜けてる令嬢である。


 
 「でも、何だって魔石が勝手に生まれて来るんだよ? 周りに魔獣や魔物がいるわけじゃないだろう?」


 アジェスの疑問に全員が首を傾げる中でソフィアが


 「あー、土の中で死んだ小さい魔物や魔獣の魔石をソイツが取り出してる可能性があるかも」

 「「「「は?」」」」

 「最新の研究結果でそういう文献があったのよね。化石化した魔石は結晶の純度が高くなるらしいのよ。魔物は消えても魔石は残るでしょ? 廃棄ダンジョンの中で人知れず魔物が死んで魔石だけが残って土の中で化石になってたり?」

 「ベヒモスはどっから?」

 「さあ? アレは魔獣じゃなくて魔物だから生まれる条件は解明されて無いわねえ」


 魔獣は普通の獣が魔素と呼ばれる大気中に含まれる魔力の源が蓄積して発散できないせいで魔獣になる。

 人は魔法という形で発散する事ができるため魔獣にはならないらしい。

 但し、魔法を使えない人々は確実に存在するのだが其れは庶民階級に多く身体に溜まった魔素を発散できない者は魔力酔いと呼ばれる命に関わる症状を起こすが、この世界では教会や治癒院でタダで治療して貰える。

 治癒院は魔法の使える階級である貴族のノブレス・オブリージュ、つまり無料奉仕で成り立っており、平民でも王立学園の卒業生は全員従事する事が義務化されており違反者は厳しい罰則を設けられている。


 『人類皆助け合い』


 ソフィアの転生先は存外優しい世界であった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ
恋愛
伯爵令嬢のオリヴィアは平凡な令嬢だった。 社交界の華及ばれる姉と、国内でも随一の魔力を持つ妹を持つ。 対するオリヴィアは魔力は低く、容姿も平々凡々だった。 それでも家族を心から愛する優しい少女だったが、家族は常に姉を最優先にして、蔑ろにされ続けていた。 けれど、長女であり、第一王子殿下の婚約者である姉が特別視されるのは当然だと思っていた。 …ある大事件が起きるまで。 姉がある日突然婚約者に婚約破棄を告げられてしまったことにより、姉のマリアナを守るようになり、婚約者までもマリアナを優先するようになる。 両親や婚約者は傷心の姉の為ならば当然だと言う様に、蔑ろにするも耐え続けるが最中。 姉の婚約者を奪った噂の悪女と出会ってしまう。 しかしその少女は噂のような悪女ではなく… *** タイトルを変更しました。 指摘を下さった皆さん、ありがとうございます。

義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました

やみなべ
恋愛
<最終話まで執筆済。毎日1話更新。完結保障有>  フランクフルト王国の辺境伯令嬢アーデルは王家からほぼ選択肢のない一方的な命令でクズな王太子デルフリと婚約を結ばされた。  アーデル自身は様々な政治的背景を理解した上で政略結婚を受け入れるも、クズは可愛げのないアーデルではなく天真爛漫な義妹のクラーラを溺愛する。  貴族令嬢達も田舎娘が無理やり王太子妃の座を奪い取ったと勘違いし、事あるごとにアーデルを侮辱。いつしか社交界でアーデルは『悪役令嬢』と称され、義姉から虐げられるクラーラこそが王太子妃に相応しいっとささやかれ始める。  そんな四面楚歌な中でアーデルはパーティー会場内でクズから冤罪の後に婚約破棄宣言。義妹に全てを奪われるという、味方が誰一人居ない幸薄い悪役令嬢系ヒロインの悲劇っと思いきや……  蓋を開ければ、超人のようなつよつよヒロインがお義姉ちゃん大好きっ子な義妹を筆頭とした愉快な仲間達と共にクズ達をぺんぺん草一本生えないぐらい徹底的に叩き潰す蹂躙劇だった。  もっとも、現実は小説より奇とはよく言ったもの。 「アーデル!!貴様、クラーラをどこにやった!!」 「…………はぁ?」  断罪劇直前にアーデル陣営であったはずのクラーラが突如行方をくらますという、ヒロインの予想外な展開ばかりが続いたせいで結果論での蹂躙劇だったのである。  義妹はなぜ消えたのか……?  ヒロインは無事にクズ王太子達をざまぁできるのか……?  義妹の隠された真実を知ったクズが取った選択肢は……?  そして、不穏なタグだらけなざまぁの正体とは……?  そんなお話となる予定です。  残虐描写もそれなりにある上、クズの末路は『ざまぁ』なんて言葉では済まない『ざまぁを超えるざまぁ』というか……  これ以上のひどい目ってないのではと思うぐらいの『限界突破に挑戦したざまぁ』という『稀にみる酷いざまぁ』な展開となっているので、そういうのが苦手な方はご注意ください。  逆に三度の飯よりざまぁ劇が大好きなドS読者様なら……  多分、期待に添えれる……かも? ※ このお話は『いつか桜の木の下で』の約120年後の隣国が舞台です。向こうを読んでればにやりと察せられる程度の繋がりしか持たせてないので、これ単体でも十分楽しめる内容にしてます。

結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。 そして、屋敷から出ると決め 計画を実行したら 皮肉にも失敗しそうになっていた。 そんな時彼に出会い。 王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす!

王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。

なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。 二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。 失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。 ――そう、引き篭もるようにして……。 表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。 じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。 ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。 ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。

兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います

きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛される日は来ないので

豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。 ──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。

婚約解消された途端に求婚されたんですが

下菊みこと
恋愛
まさかの出会いの連続。 元サヤではないです、ざまぁもなし。 ご都合主義のハッピーエンドのSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...