【完結】ずっと貴方が好きでした〜死んだと思ったのに再会しました？！ 異世界で・・・！〜

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１９. 災厄の正体

　望達が乗った馬車はどのくらい走っただろうか、その間会話が盛り上がるということも無かったが１番聞きたかった『災厄』のことを聞かされた望と涼子は、これでもかというくらい眉をしかめて渋顔になっていた。



×××



　この世界には『人族』だけでなく『妖精族』という人種が存在しているのは神殿にいた美少年――年齢は少年と言うには微妙だが――カイルを見たので分かっていた。

　それ以外にも『獣人族』『竜人族』そして『天人族』が存在するのだという。


　今回災厄の引き金になっているのが『天人族』なのだが、彼等の王の天寿が全うする間近なのが問題なのだと言う。


「何でその天人族の王様が死ぬことが『災厄』に繋がるんですか？」


　彼らにとっては常識かもしれないが、異世界人である彼女達には全くもって分からない。

　自分達の世界では他所の国の王様が死んだところで自分たちの生活が激変する事はほぼないからだ。


「ああ、そうか。そうだね、そこから説明しなきゃいけないんだった。ごめんね。彼ら天人の王の天寿が近付くと、天候が不安定になって魔物が急激に増えて凶暴になるんだ」

「天人族の王様が元気でいるだけで、天候が安定して魔物が増えない？　って事ですか？」

「そういう事だな」

「「なんて傍迷惑な存在・・・！」」


　望と涼子が同時に呟いた。


「災厄というより天災だわね」

「だよね」

「まあ、そういう成り立ちの世界だって思ってもらえばいいかな？」


　フィンレー王子が困り顔になって、望と涼子の顔を交互に見比べた。


「次の王様が即位するまでは天候が荒れるってことですかね？」

「そうなんだけどね、荒れ方も普通じゃないんだよ」

「「？」」


　首を傾げる２人を見ながら、第３王子が口を開いた。


「天候不順はまあ、良いんだよ。問題はよくわからないものが降ってきたりするんだ」

「よくわからないもの？」

「例えば一国を覆い隠すような岩盤とか」

「「・・・え？」」

「見たこともない怪物だとか」

「「・・・？」」


　兎に角色んなものが降ってくるのね、と頷くしか無い２人。


「魔物も凶暴になるだけじゃ無くて、溢れるくらいに増えるんだよ」

「ソレってスタンピードってヤツですよね？」


　涼子の言葉に驚くフィンレー王子。


「そうなのか？　そういう便利な言葉が異世界にあるのか・・・ふむ」

「あ。魔物はいませんからね？！　ラノベ用語ですから」


　今度は王子達が首を傾げた。


「「ラノベとは？」」






　概ね順調に異世界間交流が行われているようで何よりである。