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委員長様と会長様は二度目の夜を過ごす(自室編)
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※途中から会長視点となります。
「よし、寝ようか」
「なにが良しなものか」
布団に身体を滑り込ませてきた侵入者に、デコピンを喰らわす。
「……いってえ。頭蓋骨が揺れた」
校内イチのモテ男が、額を赤くしながら涙目で訴えてきた。
なかなかにマヌケな構図だ。
「おまえの寝床はアッチだろうが……って、おいっ!」
「ああ? アッチってどっちだ? コッチか? ソッチかな? いいからもっと詰めろって。俺の長い足が、はみだして寝られねえだろうが」
如月はどこ吹く風で、さらに強引に身体を捻じ込んでくる。
相手が俺よりも大柄なため、毛布に動きを封じられたパワー戦では不利な闘いとなった。転がされるようにして、奥へと追いやられてしまう。
「よし、これでいい」
「ちっとも良くない。またおまえと寝るなんて冗談じゃないぞ。大迷惑だ」
「俺の寝相は悪くないと思うが? イビキもかかねえし」
「そういう問題じゃない。俺はひとりで寝ないと落ち着かないんだ。隣りが男だったらなおさらだ」
「前回、気持ちよさげにクゥクゥ寝てたじゃねえか。俺も普段より熟睡できたから何ら問題はない。Win―Winだ」
「なにを言って……」
「すまんが藤堂、もう眠くて死にそうなんだ。続きは明日の朝きかせてもらう。おやすみ」
如月はクルンと広い背中を向けると、本格的に寝入ってしまった。
深い呼吸に合わせて、もう規則正しく肩が上下している。
仕事で疲れていたのだろうか? ……だとすれば、叩き起こすのも気が引けてしまう。
まったく、なぜ俺がこんな目に……。
諦めて瞼を閉じたところで、俺もいつの間にやら寝落ちしていた。
(……本当にチョロ過ぎる)
想い人のあまりの無防備さに、如月は溜息をついた。
タヌキ寝入りをして早五分……。背面で小さな寝息が聞こえてくる。息を殺して静かに寝返りをうてば、薄明かりの中、美しくしなやかな肢体が横たわっていた。
前回、泊まってみて分かったことがある。
俺の想い人は、かなり眠りが深い。一度ベッドに入ると、なかなか起きない体質のようだ。
(鉄壁の風紀委員長が、ベッドでは隙だらけって……)
好都合だが心配でもある。俺以外の誰かに襲われたらどうする気だ?
それとも相手が俺だから、警戒心なく寝顔をさらしているのか? それはそれで問題だぞ。少しは貞操の危機を感じて欲しい。
(あー…、キスしてえ)
薄く開かれた形の良い唇に、いますぐ覆いかさって舌を捻じ込みたい。
なにが【抱かれたいランキング】一位の男だ。なにが俺様生徒会長だ。目の前の据え膳を、味見すらできないのに……。
(キスしたら、絶対止まらなくなる)
熱が下半身に集まりそうになるのを、理性を総動員してなんとか堪える。気持ちが通じあう前から、いきなり寝込みを襲う様な真似はしたくない。
しかし、手を出さない代わりに、服越しに体温を分け合うくらいは許してほしい。無抵抗を良いことに、隙間を埋めるようにそっと抱き寄せてみた。仰向けから体勢を変えられて「ん…」と声を漏らした藤堂だったが(その声と表情が色っぽいのなんの)、俺のぬくもりがお気に召したらしく、少し身じろぎしたあとは、満足げな吐息を漏らして再び眠ってくれた。藤堂の艶やかな前髪が肩にかかり、洗いたての良い香りがする。
このまま堪能し続ければ、確実に下半身が暴れん坊と化す。
名残惜しいが、今夜はこれくらいにして、明日に備えるべく瞼(まぶた)を閉じた。
目覚めたら、藤堂はどんな反応をしてくれるだろう?
想い人に少しずつ自分を馴染ませていく過程は、もどかしくも初めての経験でとても楽しい。
甘やかな狭い空間で、極上のまどろみの中へと落ちかけた……まさにその時、
「…りゅぅじ…さん……」
耳に入ったかすかな寝言に、俺の眠気は一気に吹き飛ぶことになる。
……リュウジ?
誰だ、そいつ?
「よし、寝ようか」
「なにが良しなものか」
布団に身体を滑り込ませてきた侵入者に、デコピンを喰らわす。
「……いってえ。頭蓋骨が揺れた」
校内イチのモテ男が、額を赤くしながら涙目で訴えてきた。
なかなかにマヌケな構図だ。
「おまえの寝床はアッチだろうが……って、おいっ!」
「ああ? アッチってどっちだ? コッチか? ソッチかな? いいからもっと詰めろって。俺の長い足が、はみだして寝られねえだろうが」
如月はどこ吹く風で、さらに強引に身体を捻じ込んでくる。
相手が俺よりも大柄なため、毛布に動きを封じられたパワー戦では不利な闘いとなった。転がされるようにして、奥へと追いやられてしまう。
「よし、これでいい」
「ちっとも良くない。またおまえと寝るなんて冗談じゃないぞ。大迷惑だ」
「俺の寝相は悪くないと思うが? イビキもかかねえし」
「そういう問題じゃない。俺はひとりで寝ないと落ち着かないんだ。隣りが男だったらなおさらだ」
「前回、気持ちよさげにクゥクゥ寝てたじゃねえか。俺も普段より熟睡できたから何ら問題はない。Win―Winだ」
「なにを言って……」
「すまんが藤堂、もう眠くて死にそうなんだ。続きは明日の朝きかせてもらう。おやすみ」
如月はクルンと広い背中を向けると、本格的に寝入ってしまった。
深い呼吸に合わせて、もう規則正しく肩が上下している。
仕事で疲れていたのだろうか? ……だとすれば、叩き起こすのも気が引けてしまう。
まったく、なぜ俺がこんな目に……。
諦めて瞼を閉じたところで、俺もいつの間にやら寝落ちしていた。
(……本当にチョロ過ぎる)
想い人のあまりの無防備さに、如月は溜息をついた。
タヌキ寝入りをして早五分……。背面で小さな寝息が聞こえてくる。息を殺して静かに寝返りをうてば、薄明かりの中、美しくしなやかな肢体が横たわっていた。
前回、泊まってみて分かったことがある。
俺の想い人は、かなり眠りが深い。一度ベッドに入ると、なかなか起きない体質のようだ。
(鉄壁の風紀委員長が、ベッドでは隙だらけって……)
好都合だが心配でもある。俺以外の誰かに襲われたらどうする気だ?
それとも相手が俺だから、警戒心なく寝顔をさらしているのか? それはそれで問題だぞ。少しは貞操の危機を感じて欲しい。
(あー…、キスしてえ)
薄く開かれた形の良い唇に、いますぐ覆いかさって舌を捻じ込みたい。
なにが【抱かれたいランキング】一位の男だ。なにが俺様生徒会長だ。目の前の据え膳を、味見すらできないのに……。
(キスしたら、絶対止まらなくなる)
熱が下半身に集まりそうになるのを、理性を総動員してなんとか堪える。気持ちが通じあう前から、いきなり寝込みを襲う様な真似はしたくない。
しかし、手を出さない代わりに、服越しに体温を分け合うくらいは許してほしい。無抵抗を良いことに、隙間を埋めるようにそっと抱き寄せてみた。仰向けから体勢を変えられて「ん…」と声を漏らした藤堂だったが(その声と表情が色っぽいのなんの)、俺のぬくもりがお気に召したらしく、少し身じろぎしたあとは、満足げな吐息を漏らして再び眠ってくれた。藤堂の艶やかな前髪が肩にかかり、洗いたての良い香りがする。
このまま堪能し続ければ、確実に下半身が暴れん坊と化す。
名残惜しいが、今夜はこれくらいにして、明日に備えるべく瞼(まぶた)を閉じた。
目覚めたら、藤堂はどんな反応をしてくれるだろう?
想い人に少しずつ自分を馴染ませていく過程は、もどかしくも初めての経験でとても楽しい。
甘やかな狭い空間で、極上のまどろみの中へと落ちかけた……まさにその時、
「…りゅぅじ…さん……」
耳に入ったかすかな寝言に、俺の眠気は一気に吹き飛ぶことになる。
……リュウジ?
誰だ、そいつ?
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