腐女子が異世界転生したら没落《精霊王》になっていた。

1章《転生・儀式編》

妹

私がノアとしての5歳の誕生日を迎えてからすぐ、母が妊娠した。
行為という行為はしていない。
神が私に恩恵を与えた時、母のお腹に子を宿したのだと言う。
貴方は聖母マリアか。

母の妊娠から数ヶ月経ったある日、陣痛が始まった。
しかし、精霊達の対応は酷かった。
部屋は寒いは何すればいいのか分かってないわ…こんなんでよく私元気に生まれたなぁ…
「まずは部屋を暖かくして、お母様は楽な体制になって」
これは日本で生きていた時にネットで調べていた事だ。
…というのも、小説を書くのが趣味だった私が個人的に調べたものだが…
こんな所で役に立つとは思わなかった。
精霊達は私の采配にぽかんとしつつも、徐々に冷静を取り戻して行った。
数時間後、可愛らしい産声が響く。
「女の子だ…！」
私は赤子を抱き上げ、言った。
そしてすぐにお湯に入れ、体を洗った。
撫でるように体を洗っていると、侍女達が赤子の顔を覗いてきた。
「ノア様、赤子を見せてくださいまし」
「嗚呼、もちろん」
侍女達は赤子を見ては嬉しそうに騒いでいる。
「名前は…」
母が私に目を向ける。
「うん、ずっとこの名前にしようって決めてたんだ。それは……」
小さな妹に笑顔を向ける。
「君の名は…ノエルだ」