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ついに始まった結婚式!俺の運命は?

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綺礼と出会って次の日、俺は花嫁が身支度をする部屋みたいなところに連れて行かれた。

そして、あれよあれよと言う間に、俺は村人たちの手によって、純白のウエディングドレスを着せられてしまった。

そして、そんな姿で鏡の前に座らされたものだから、恥ずかしさで顔から火が出る思いだった。

「……って言うかさあ、俺、てっきり着物だと思ってたのに、まさか、こんなヒラヒラのレースの付いたウエディングドレスを着るなんて、夢にも思いませんでした……。」

女物の着物を着ている村人たち(男)が、俺に化粧をする中、俺はボソリを呟いた。

「それは綺礼様の申し付けです。そのドレスは今は亡きお母様がご結婚の際にご着用されていたものなんです。」

………きっとその母親っていうのも、実は男なんだろうな。

そして俺も、いずれ母親になってしまうのだろうか。

そんな漠然とした想像をしながら、俺は適当に話を流した。

そうこうしているうちに、いつの間にか鏡の前にはどっからどう見ても女にしか見えない俺が出来上がっていた。

その姿を見て、自分とは思えず、呆然とするしかなかった。

「さあ、支度が出来ましたよ。それでは結婚式場へ行きましょう。」

「はっ……はあ…はい……?」

思わず返事をしてしまったが、このままでは本当にまずいと、今更ながら焦り出した。

「あ…あの……やっぱり…俺──。」

「ほら、ゴタゴタ言ってないで行くよ!」

俺の言葉はあっさりとかき消され、俺は村人たちに腕を引っ張られ、強引に結婚式場に連れて行かれてしまった。



「それでは、新婦入場です!」

司会者の合図によって、結婚式場の扉が開かれ、俺はなんと、小戸狛江にエスコートされて入場することになってしまった。

「何でこうなるわけ?これなら、1人で歩きますよ…。」

まだ、カッコいい綺礼ならまだしも、こんな爺さんと一緒、しかも腕を組んで歩くだなんて、余計気が沈むものだ。

「そーんな事を言って、ここから逃げ出す気じゃろ。そうはいかんぞ。」

こんなに多勢の村人に囲まれて、どう逃げろというのだろうか。

まあ、このまま話しても埒があかないので、黙ってエスコートされることにした。

そしてとうとう、綺礼の座っているメイン席までやってきた。

「やあ、翔馬。母上のドレス、よく似合ってるよ。」

甘い声、直球の褒め言葉に、顔から火が出るほどだった。

「それと、父上。翔馬が嫌がっているから、もう離れていただけませんか。」

対して実の父親である小戸狛江へは一転して、顔は笑顔のまま、声は尖らせた。

「……すまんのう。」

その剣幕に負けたのか、小戸狛江はすぐに俺から離れていった。

「さあ、邪魔者もいなくなったし、こっちにおいで。」

綺礼に手招きされ、俺はガチガチに固まった体をなんとか動かし、綺礼の隣に座った。

ダメだ…。
綺礼がカッコ良すぎて、直視できない。

このままでは、心を奪われてしまいそうだったので、俺はずっと前を向いておくことにした。



そうしてとうとう結婚式が始まり、まずはスピーチが始まった。

「では、わしから一言。思えば綺礼は幼い頃から綺麗で、それはそれは──。」
「はい、そこまでです、父上。では、次の方。」

綺礼に強制的に話を終了させられ、明らかに凹んでいる小戸狛江の顔に、思わず吹き出しそうになりながら、なんとか耐えた。

「ふふっ。次はわらわの番じゃな!」

次に現れたのは、あの時俺に変な術をかけた、天音だった。

「今日は本当にめでたい日じゃ!なんせ、新たなカップルが誕生するのじゃかのう。だから今日は、わらわがとっておきのサプライズを用意しておいたぞよ。ありがたく思うのじゃな!」

いや、ありがたいどころか、嫌な予感しかしないんだけど…。

そんな事を思っていると、天音の指示によって、村人がウエディングケーキを持ってきた。

そしてその村人が、俺だけを呼び出し、ナイフを渡したかと思えば、何故かその手を握ってきた。

「では、入刀!」

天音がそう叫んだ時だった。

突然照明が落ち、真っ暗で何も見えなくなった。

「翔馬、逃げるぞ。」
「そ…その声は⁉︎」

聞き慣れたその声に、俺はドキッとした。


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