上 下
9 / 22

ぶっ飛んだ儀式で、俺大ピンチ!

しおりを挟む
春則たちから引き離されて、どれくらい経っただろうか。

今俺は、大広間みたいな場所にいる。
そしてその中央にある石の台に乗せられ、手足を鎖で拘束されていた。

その周りには大勢の村人がいて、エロい目つきで俺を見ていた。

それにしても、なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。

花嫁とかどうとか小戸狛江は言っていたけど、全然話が違うじゃないか。

これじゃあ、今にもヤられそうじゃないか!

「あのー、俺、きっと不味いですよ。やめた方がいいですよ!」

頭が混乱して、自分でも何を言っているのかわからなかった。

ヤられるのは時間の問題だと思っていたのだが、村人たちは一向に手を出そうとしない。
まるで、何かを待っているようだ。

それからしばらく経ち急に周りが静かになったかと思えば、村人たちが道を開けた。
するとその間から、天女のような着物を着た、小学生みたいな少女が現れた。

あれ?男だけじゃなかったのか。

それが分かっただけで、俺は何故か一安心した。

「天音よ、遅かったではないか。」

小戸狛江は渋い顔をしながら言った。

どうやら天音とは、この可愛い少女のことらしい。

「ふん。わらわだって忙しいのじゃ。無理を言うでない。」
「忙しいと言うが、どうせ菓子を食べていただけだろう。」

なんだか知らないけど、このままじゃ喧嘩になりそうな雰囲気だ。
ここは、なんとしても止めなければと思った。

「2人とも、ここは一旦落ち着いて、平和的に解決しましょう。」

すると2人は呆然とした顔で、俺を見つめてきた。

「お主、ずいぶんと余裕があるのう。」
「こんな奴は、わらわも初めてじゃ。」

俺は何か間違ったことを言っただろうか?
目の前の喧嘩を止めることは当たり前の行動だろう。

まあとりあえず、この場は収まったので、よしということにしよう。

それよりも、俺には聞きたいことがあった。

「あの、まずですね。今から何が始まるんですか?」

状況を見る限り、この天音が何かしらに関係しているのはわかった。

もしかして、彼女と結婚させられるのだろうか。
いや、それなら俺は花婿になるはずだ。

「では、わらわが簡単に説明してやろう。わらわには特別な力があってのう。男でも妊娠できる身体にすることができるのじゃ!」

天音は無邪気な笑顔であっさりと話したが、俺はとてもじゃないが笑えなかった。

「えーーっ⁉︎ついに魔法要素まで出たのかよ!」

もうなんでもありな展開に、すっかり頭がついていかなくなったのだ。

「お主よ、驚くのはそこではないじゃろう…。」

なんで小戸狛江に、引かれないといけないのかさっぱりわからない。

「では、早速始めようとするかのう。ほれ、鳴り物の準備じゃ。」

魔法を使うのには、雰囲気作りも大事なのだろうか。

って、何冷静になってるんだよ、俺!

「ちょっとタンマ!妊娠って、どういうことだよ!!」

今までもやばいことはいっぱいあったが、今が一番やばいじゃないか!

「今頃気づきよったのか…。」

小戸狛江が何か言ったが、もうどうでもよかった。

俺は逃げ出そうと必死にもがくが、鎖はびくともしない。

その間に村人たちは三味線や太鼓などを用意していて、まるで宴の二次会みたいな雰囲気だった。

「無駄な抵抗はやめるのじゃ。それよりも、わらわの舞をとくとご覧あれなのじゃ!」

天音の一声により、神楽?みたいなのが始まった。

鳴り物の音に合わせて、どこからともなく羽織を着た村人たちが現れて、俺の周りを回り始めた。

そのせいで、天音の舞なんて一切見えなかった。

なんなんだよ、この茶番は!!

さすがに呆れてきたので、何か文句を言ってやろうと思った時だった。


急に心臓の鼓動が速くなったかと思えば、身体が熱くなってきたのだ。

呼吸もだんだんと荒くなり、頭もクラクラしてきた。

だめだ、本当に、なんとか逃げないと…。

だが次第に、俺の意識は薄れていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ドラゴンから人間に縛りプレイで最強へ

アキナヌカ
ファンタジー
アルカンシエルは最強のドラゴン族としては落ちこぼれ、だけどある日小さな発見をすることで最強へ至る可能性が生まれた。 これは意図せずに最強への道を歩き出した、小さなドラゴンのお話。 ~アルカンシエルはもうすぐ大人になるドラゴン、なのにスライム退治にすら苦労するという落ちこぼれ。でもある日迷い人である家族の女性から、人間の姿でいるという縛りプレイをすることで、ステータスが上昇するという話を聞くことになった。そうして通称シエルは縛りプレイをはじめたのだが、いろいろと普通の人間とドラゴンは考え方が違うし、更にいろんなことに巻き込まれていくのだった~ 【注意】病気や怪我に関する場面が出てきますが、あくまでもこの作品はフィクションです。

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

貴方を愛する事はありません、絶対に

ひよこ1号
恋愛
男爵令嬢のクララは、伯爵令息との婚約を邪魔されて、ある醜聞塗れの侯爵の愛人にされてしまう。耐え忍ぶ日々に、救いの天使が現れた。※視点はクララ、ダニエル、シェリーで切り替わりますので、苦手な方はご注意を。※短編「愛する事はないと言ってくれ」https://www.alphapolis.co.jp/novel/556320410/970881015/episode/8394041の続編ですが、単体でもお読み頂けると思います。※相変わらずダニエルは屑ですのでご注意下さい

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

王妃さまは断罪劇に異議を唱える

土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。 そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。 彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。 王族の結婚とは。 王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。 王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。 ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

家出少年ルシウスNEXT

真義あさひ
ファンタジー
簡単なあらすじ 新婚旅行中の大好きなお兄ちゃんの代わりに海辺の僻地ギルドに派遣された少年魔法剣士が凶悪なお魚さんモンスターを倒しつつ美味しいごはんにしてもぐもぐするお話。 ◇◇◇ ※全編通して飯テロにご注意ください。ほんとご注意ください ◇◇◇ 【家出少年ルシウスNEXT】 お兄ちゃん大好きっ子なルシウス君は14歳。 おうちは魔法の大家でルシウス君も魔法剣士だった。 可愛い弟くんが兄を慕う姿に周りはほっこりしていたが、お兄ちゃん中心に世界を回しているルシウス君はちょっとアレな感じで心配しかない。 お兄ちゃんが結婚してようやくブラコン卒業かと周囲がホッとする中、兄夫婦の新婚旅行にくっついて行こうとしたルシウス君にパパがついに切れた。 「いい加減、兄離れせんかーい!!!」 「なんでそんな酷いこというの!? 父様なんてハゲてしまえばいい!」 「残念、うちはハゲ家系ではない!」 こんな面倒くさい弟が家にいては、ようやく結婚できたお兄ちゃんが新婚早々、離婚の危機である。 非モテで奥手なのに、頑張ってお見合いを繰り返してやっと見つけたお嫁さんを逃してはならない。 これは、ちょっとはお兄ちゃん以外にも目を向けなさいと強制的に旅に出されたルシウス君が冒険者となり、お兄ちゃんに会いたい・おうちかえりたいと泣きながらもシーフードモンスターたちを狩りまくって人助けや飯テロしながら最強伝説を作っていく物語。 ビフォー魔法剣士、ネクスト……? ◇◇◇ 【続編 子爵少年ルシウスLEGEND】 後に聖剣の聖者、無欠のルシウスと呼ばれる男にも学生時代があった。 ひたすら、お魚さんモンスターと戦い続けた冒険者ギルドのココ村支部の日々から約二年後。 ルシウス君は子爵となり独立したがまだ十六歳。今年から学園の高等部に進学することになる。 可愛い甥っ子たんも生まれて毎日楽しく過ごせるかとウキウキしていたルシウス君だが、残念ながらほのぼのエンジョイスクールライフにはなりそうもなかった。 ※ 「家出少年ルシウスNEXT」の続編。 ※大人になったルシウス君様が見れるのは「王弟カズンの冒険前夜(後半から)」「聖女投稿、第二章以降」にて。 ちょっとアダルトな未来のお話は「ユキレラ」へ。 ※更に幼い8歳児ルシウス君の登場する「夢見の女王」もよろしくお願いします!

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

処理中です...