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第二章 逆行~幼少期〜
第四話 回避への第一歩(対策)
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「自嘲と反省は終わりに致しましょう。私が次にすべき事は、陽子に大切なモノを奪われてしまわない様にすることよね。『物』は何処かに隠してしまえば良いから簡単だとして、お友達はどうしましょう。隠すなんて事は出来ないから……。」
そう言いながら姫菜子は、友達を奪われない方法を書き出してみる事にした。
・お友達と出会わない
・お友達を作らない
・学園に行かない
「学園に行かない。……転校する?う~んこれは無理そうね。父様を納得させる理由がないもの。では、お友達と出会わないはどうかしら……これも無理よね。だって学校に通っていれば当然出会うものなのだから。残りのお友達を作らないはどうかしら?……作らない…関わらない…。」
姫菜子は陽子に友達を奪われた時の気持ちを思い出してみた。
今までずっと。それこそ幼稚舎の頃からの同窓生だった彼等が、陽子が吹き込んだ嘘のせいで全く見向きもされなくなった時は、悲しかったし悔しかった。
「そうね。もうあんな思いは二度としたくないわね。」
そう言って姫菜子は、日記帳の『友達を作らない』に大きく丸をつける。
「あとは……祥太郎さんよね……。これもお友達と同じ方法でいけるのではないかしら?」
香住家と冴島家は家族ぐるみの付き合いをしてはいるが、祥太郎からしたら、姫菜子は妹的な存在以外何もないだろう。
ならば、恋人関係にならなければ良いのではないか。
そもそも簡単に陽子に落ちる様な婚約者などこっちから御免蒙る。
「祥太郎さんとは関わらない、付き合わない。」
そう言いながら姫菜子はそこにも大きな丸を付けた。
「出来たわ!」
そう言って頭が枕の上に落ちる様上手に後ろへ倒れたのだが直ぐさま起き上がり、
「私ったら一番大切な事を忘れていたわ。」
そう言うと、日記帳にまたサラサラと何かを書き綴った。
【最悪の場合の処置方法】
・趣味を見つける
・手に職を持つ
「死ぬ前の私の人生は、趣味も無く全ての事を他人任せにしていたわ。でもそれは仕方がないのだわ。だってわたくしが何もしなくても、周りの人が全部やって下さったんですもの。でも!今回はそれもやめるの。私の人生なんですもの、陽子の好きな様にさせてたまるもんですか!その為には、手に職を持つ事よね。もし、最悪前と同じ事になったとしても、仕事を理由に家を出て自活出来ればいいのだわ。」
姫菜子はそう考えながら、どんな職業にしようか?を悩み始めた。
「ん~と………。まぁ、これはまた今度に致しましょう。だって今の生は、まだ9歳なんですもの。それを考えるのは中等部に入ってからでも遅くはありませんものね。」
そう言うと、日記帳をパタンと閉じ、それに鍵をかけ、その鍵を同じ引き出しの隠し底の下にしまうと、日記帳をその上に置いた。
そう。この引き出しの様に、姫菜子の住む屋敷には隠し部屋・隠し扉・隠し通路等『隠し』が付く物が多くある。
何故なら、香住家の歴史は古く、旧華族の屋敷なのだ。
華族が廃止された時、香住家の祖先は、隠し部屋に財産を隠すという有り得ない暴挙に出た。
その為、今現在に至るまで、先祖代々の所謂【お宝】が屋敷の何処かで静かに眠っている。またそれ等の事は、香住家の当主に密かに引き継がれているというのだ。
姫菜子は一人娘の為、当然婿養子を取り香住家を引継ぐ予定ではあった。
祥太郎は冴島家の次男であったから、前の人生では、祥太郎は香住家に養子に入る事になっていた。
「陽子は香住家を乗っ取り、祥太郎さんと結婚するつもりだったのよね。でも今回はそう易々と奪われてたまるもんですか!どうやって隠し財産を守るか?陽子が現れても、奪われない方法を考える必要もあるわね。この引き出しの様に、知恵を絞ればきっと妙案が浮かぶはず。」
そう言って姫菜子は、今度こそベッドに潜り込み、暖かい部屋で寝られる幸せを噛み締めつつ、夢の中へと旅立って行った。
そう言いながら姫菜子は、友達を奪われない方法を書き出してみる事にした。
・お友達と出会わない
・お友達を作らない
・学園に行かない
「学園に行かない。……転校する?う~んこれは無理そうね。父様を納得させる理由がないもの。では、お友達と出会わないはどうかしら……これも無理よね。だって学校に通っていれば当然出会うものなのだから。残りのお友達を作らないはどうかしら?……作らない…関わらない…。」
姫菜子は陽子に友達を奪われた時の気持ちを思い出してみた。
今までずっと。それこそ幼稚舎の頃からの同窓生だった彼等が、陽子が吹き込んだ嘘のせいで全く見向きもされなくなった時は、悲しかったし悔しかった。
「そうね。もうあんな思いは二度としたくないわね。」
そう言って姫菜子は、日記帳の『友達を作らない』に大きく丸をつける。
「あとは……祥太郎さんよね……。これもお友達と同じ方法でいけるのではないかしら?」
香住家と冴島家は家族ぐるみの付き合いをしてはいるが、祥太郎からしたら、姫菜子は妹的な存在以外何もないだろう。
ならば、恋人関係にならなければ良いのではないか。
そもそも簡単に陽子に落ちる様な婚約者などこっちから御免蒙る。
「祥太郎さんとは関わらない、付き合わない。」
そう言いながら姫菜子はそこにも大きな丸を付けた。
「出来たわ!」
そう言って頭が枕の上に落ちる様上手に後ろへ倒れたのだが直ぐさま起き上がり、
「私ったら一番大切な事を忘れていたわ。」
そう言うと、日記帳にまたサラサラと何かを書き綴った。
【最悪の場合の処置方法】
・趣味を見つける
・手に職を持つ
「死ぬ前の私の人生は、趣味も無く全ての事を他人任せにしていたわ。でもそれは仕方がないのだわ。だってわたくしが何もしなくても、周りの人が全部やって下さったんですもの。でも!今回はそれもやめるの。私の人生なんですもの、陽子の好きな様にさせてたまるもんですか!その為には、手に職を持つ事よね。もし、最悪前と同じ事になったとしても、仕事を理由に家を出て自活出来ればいいのだわ。」
姫菜子はそう考えながら、どんな職業にしようか?を悩み始めた。
「ん~と………。まぁ、これはまた今度に致しましょう。だって今の生は、まだ9歳なんですもの。それを考えるのは中等部に入ってからでも遅くはありませんものね。」
そう言うと、日記帳をパタンと閉じ、それに鍵をかけ、その鍵を同じ引き出しの隠し底の下にしまうと、日記帳をその上に置いた。
そう。この引き出しの様に、姫菜子の住む屋敷には隠し部屋・隠し扉・隠し通路等『隠し』が付く物が多くある。
何故なら、香住家の歴史は古く、旧華族の屋敷なのだ。
華族が廃止された時、香住家の祖先は、隠し部屋に財産を隠すという有り得ない暴挙に出た。
その為、今現在に至るまで、先祖代々の所謂【お宝】が屋敷の何処かで静かに眠っている。またそれ等の事は、香住家の当主に密かに引き継がれているというのだ。
姫菜子は一人娘の為、当然婿養子を取り香住家を引継ぐ予定ではあった。
祥太郎は冴島家の次男であったから、前の人生では、祥太郎は香住家に養子に入る事になっていた。
「陽子は香住家を乗っ取り、祥太郎さんと結婚するつもりだったのよね。でも今回はそう易々と奪われてたまるもんですか!どうやって隠し財産を守るか?陽子が現れても、奪われない方法を考える必要もあるわね。この引き出しの様に、知恵を絞ればきっと妙案が浮かぶはず。」
そう言って姫菜子は、今度こそベッドに潜り込み、暖かい部屋で寝られる幸せを噛み締めつつ、夢の中へと旅立って行った。
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