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第二章 逆行~幼少期〜
第二話 逆行は本当に
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慎也は姫菜子と一緒に静養出来る別荘について考えていた。
「父様。静養場所は軽井沢など如何でしょう?」
「か、軽井沢?軽井沢に別荘なんて持っていないよ?」
「え?本当ですか?」
「本当だよ、姫菜子。それにさっきから気になっているんだが……。」
「なんでしょう、父様。」
「姫菜子はいつからそんな話し方になったんだい?」
「え?」
「それに、いつもはパパって呼んでくれるだろ?」
「え?」
姫菜子は驚いた。
パパと呼んでいたのは子供の頃の事だから。
「事件に合った後だからまだ混乱しているんだね?別荘でゆっくりしたら、きっと良くなるよ。」
「はい。と、えと…パパ?」
父様呼びを変と言われた姫菜子は、パパと言い直すも、思わず疑問形になってしまった。
「ハハッ。大丈夫だよ、姫菜子。さぁ疲れたろう?少し休みなさい。」
「はい、パパ。」
「ん。おやすみ、姫菜。僕のお姫様。」
そう言って慎也は姫菜子の額に唇を当てた後、
「軽井沢かぁ……いい所だよな。軽井沢……ちょっとあたってみるとしよう。」
そう言って、姫菜子の部屋を出ていった。
慎也を見送った後、姫菜子は考えていた。
「パパって呼んでいたのは、幼い頃だったわね。中等部に入ってから父様と呼ぶ様になって、それからずっと父様呼びだったのに、何故父様はおかしいと仰ったのかしら?私の年齢からしたら父様で…」
そこまで言った姫菜子は、ふと周りに目をやった。
ベッドの大きさ、家具や壁紙の色合い、机の上の小物、壁に掛かっている服。
それら全てが『子供』っぽさを示していた。
姫菜子は衝動的にベッドから飛び降り、フラフラしながらも机にたどり着く。
フラフラするのは無理もない。
医者が言うには、保護されてからまる一週間意識が戻らず寝たきりだったという。
それならば何故自宅に?と思うのだが、慎也が、
「僕がちょっと目を離した隙に誘拐されてしまったんだ。だから目の届く所にいさせたい!」
と我儘…いや、強く要望したからだそうで…。だったら、病院の個室で良いのでは?とも思うが、慎也的に病院では仕事が出来なくなるから駄目だと言ったそうだ。
兎に角、姫菜子は今、机の上に置かれている物を見て、まだぼんやりしがちな頭をフル回転させていた。
「小学3年 算数。国語、社会…。」
そう、『初等部3年C組 か住ひな子』と自身の名前が平仮名と漢字混じりで書かれた教科書とノート。
それに、初等部の頃に使用していたペンケースの中に鉛筆と赤青鉛筆やらが、整然と収まっている。
壁に掛かっている服は通っていた学園の制服だし、机の横に置かれたチェストの上には、学園指定の鞄が置いてあった。
「私、本当に……本当に戻ってしまったの?」
ショックの余り卒倒しそうになる身体をどうにか留まらせ、ふらつく足取りでまたベッドに戻った。
「イエス様が仰ったとおりだったわ。記憶はそのままで、時間軸だけ戻っているのね。」
姫菜子は、ベッドサイドに置かれた鍵の付いた引き出しから、日記帳を取り出した。
毎日では無いが、何かあった時に書く様にしている日記をパラパラと捲ってみる。
するとやはり、9歳の誕生日の事が書かれている。
お爺様やお祖母様から頂いたぬいぐるみやオルゴール。父様からはヘアアクセサリーを貰ったと書いてあった。
「確かに頂いたわね。懐かしいわ。」
姫菜子は小さくフフッと笑うと、日記帳に何かを書き始めた。
「父様。静養場所は軽井沢など如何でしょう?」
「か、軽井沢?軽井沢に別荘なんて持っていないよ?」
「え?本当ですか?」
「本当だよ、姫菜子。それにさっきから気になっているんだが……。」
「なんでしょう、父様。」
「姫菜子はいつからそんな話し方になったんだい?」
「え?」
「それに、いつもはパパって呼んでくれるだろ?」
「え?」
姫菜子は驚いた。
パパと呼んでいたのは子供の頃の事だから。
「事件に合った後だからまだ混乱しているんだね?別荘でゆっくりしたら、きっと良くなるよ。」
「はい。と、えと…パパ?」
父様呼びを変と言われた姫菜子は、パパと言い直すも、思わず疑問形になってしまった。
「ハハッ。大丈夫だよ、姫菜子。さぁ疲れたろう?少し休みなさい。」
「はい、パパ。」
「ん。おやすみ、姫菜。僕のお姫様。」
そう言って慎也は姫菜子の額に唇を当てた後、
「軽井沢かぁ……いい所だよな。軽井沢……ちょっとあたってみるとしよう。」
そう言って、姫菜子の部屋を出ていった。
慎也を見送った後、姫菜子は考えていた。
「パパって呼んでいたのは、幼い頃だったわね。中等部に入ってから父様と呼ぶ様になって、それからずっと父様呼びだったのに、何故父様はおかしいと仰ったのかしら?私の年齢からしたら父様で…」
そこまで言った姫菜子は、ふと周りに目をやった。
ベッドの大きさ、家具や壁紙の色合い、机の上の小物、壁に掛かっている服。
それら全てが『子供』っぽさを示していた。
姫菜子は衝動的にベッドから飛び降り、フラフラしながらも机にたどり着く。
フラフラするのは無理もない。
医者が言うには、保護されてからまる一週間意識が戻らず寝たきりだったという。
それならば何故自宅に?と思うのだが、慎也が、
「僕がちょっと目を離した隙に誘拐されてしまったんだ。だから目の届く所にいさせたい!」
と我儘…いや、強く要望したからだそうで…。だったら、病院の個室で良いのでは?とも思うが、慎也的に病院では仕事が出来なくなるから駄目だと言ったそうだ。
兎に角、姫菜子は今、机の上に置かれている物を見て、まだぼんやりしがちな頭をフル回転させていた。
「小学3年 算数。国語、社会…。」
そう、『初等部3年C組 か住ひな子』と自身の名前が平仮名と漢字混じりで書かれた教科書とノート。
それに、初等部の頃に使用していたペンケースの中に鉛筆と赤青鉛筆やらが、整然と収まっている。
壁に掛かっている服は通っていた学園の制服だし、机の横に置かれたチェストの上には、学園指定の鞄が置いてあった。
「私、本当に……本当に戻ってしまったの?」
ショックの余り卒倒しそうになる身体をどうにか留まらせ、ふらつく足取りでまたベッドに戻った。
「イエス様が仰ったとおりだったわ。記憶はそのままで、時間軸だけ戻っているのね。」
姫菜子は、ベッドサイドに置かれた鍵の付いた引き出しから、日記帳を取り出した。
毎日では無いが、何かあった時に書く様にしている日記をパラパラと捲ってみる。
するとやはり、9歳の誕生日の事が書かれている。
お爺様やお祖母様から頂いたぬいぐるみやオルゴール。父様からはヘアアクセサリーを貰ったと書いてあった。
「確かに頂いたわね。懐かしいわ。」
姫菜子は小さくフフッと笑うと、日記帳に何かを書き始めた。
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