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第十一章 領域封印(準備編)

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僕が渡した杖で聖魔法で聖結界を張ったミランダさん。ご自身が張った結界を確かめる様に触って満足気にしてはいたんだけど、僕にはちょっと思うことがあったんだ。
だから僕は、ミランダさんから杖を受け取ると直ぐに微調整を始めた。

僕が思った事とは、杖に仕込んだプレートのせいで杖が少し太くなってしまったらしく、ミランダさんの小さな手で握るとその太さのせいで、彼女の魔力が正確に先端に取り付けたクリスタルに伝わっている様には見えなかったという事だ。
使用する人にとって"使い勝手が悪い”と分かっている物を、そのまま使用して貰うだなんて、付与師としての僕の職人魂プライドが許さない。とはいえ、ミランダさんは何故僕が微調整をしているのか分かっていない様で、僕の作業姿を不思議そうな顔で見ていたけれど。

暫くの作業の結果、僕の納得のいく出来になった杖をミランダさんに渡し、再度聖結界を張って貰った。
その様子を注意深くじっと見つめてたのだが、さっきよりスムーズに魔力が流れているようなのが分かった。
だからきっと、さっきのより良い結界やつが張れたと思う。
僕にはよく分からない ┄ 武器に付与した魔石の流れの善し悪しは分かる ┄ けど、ミランダさんの表情が、さっきより輝いて見えたから多分良かったそうなんだろうと思うんだ。
だけど一応、どんな感じだったかは聞かないといけないよな。
だってそうだろ?
これからの事 ┄ 確か、領域封鎖?閉鎖?あー封印か封印。確かそうだった気がする… 多分…… あんま自信ないけども。てか、僕達が召喚された当初、魔力無し判定をくらった僕には、相田達は関係者だったけど、僕にとってはあんまり関係ない事柄だったから、実はちゃんと覚えてないんだけどね。┄ で、1番負担がかかる事になるだろうミランダさん ┄ 本来なら西山がやるべき事なのに、あの女は訓練サボって遊んでたらしいからな ┄ が、少しでも楽に任務遂行出来る様にするのが、付与師たる僕の仕事なんだからさ。

そこで聖結界を張り終え、どことなく興奮気味に見えるミランダさんに
「いかがでしたか?ミランダさん」
と、聞いてみた。すると彼女は、
「素晴らしいですわ、のぞむ君!このように強固な結界を、わたくし、一度も張ったことがございませんことよ!」
と、僕の両手を取ってブンブンと上下に振りながら、思ったとおりめちゃくちゃ興奮した様子でそう答えてくれた。

そこから、彼女がとても喜んでくれている事はよーく分かったんだけれども、
「わっ、わっ、分かりました!分かりましたから、ミランダ様。お、落ち着いてください!!」
と言って、彼女に落ち着いて貰おうと声をかけたんだ。けれども、ミランダさんのはしゃぐ姿がめちゃくちゃ可愛かったのもあって、元々コミュ障の僕の顔は今、まるで茹でダコみたいに真っ赤になっているだろう。熱が一気に顔に集まって来たのが分かったから…

そしたらミランダさんがいきなり慌てだし、
「も…も…申し訳ございませんわ、のぞむ君!わたくしったら、なんと無作法なことを……!」
と言ったのと同時に、急いで僕の手を離したんだ。

俯き何も言えなくなってしまったミランダさんに僕は慌てて、  
「あ、あの…ミランダさん?そんなに落ち込まなくても大丈夫ですよ。そ、それよりも、手直しした杖での聖結界の具合はいかがでしたか?杖の使い心地など、直す前と後ではどちらがよろしいでしょうか?まだ改善の余地があるかと存じますので、ミランダ様の率直なお気持ちやご要望をお聞かせいただければ、その……。あの、ミランダ様?えと……どうしました?大丈夫ですか?」
と、俯いたままのミランダさんが心配になって、同時に僕がなんかまずいこと言っちゃったのかな?て思いだして…
だから僕なりに、懸命に言葉をかけたんだけど、変わらず俯いたままの彼女が心配になっちゃった僕は、彼女の顔を覗き込むように話しかけてみたんだ。  
なのにミランダさんは、なんでか分からないんだけど、杖を僕にグッと押し付けてきたかと思うと、そのままお屋敷へと駆け出してっちゃったんだ。

理由わけ分からずな僕はその場に立ち竦み、そんな僕達の様子を見ていたルードリッヒさんは
「やれやれ、困ったものだな。」
と呆れていた様だったけどね
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