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第十章 領域封印(クリスタルドラゴン討伐)

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「はぁ?巫山戯んなよ!なんで俺らが不合格なんだよ!!」
と言って僕に掴みかかろうとする相田君の手を叩き落としてこう言い返した。
「ドラゴンをどうする事までがクリア条件だって、僕は言ったっけ?」

僕の言葉にハッ!とする相田君
そんな相田君に僕は
「僕やルードリッヒさん、カールソンさんの手を借りずにドラゴンを倒せたのは良かった。ドラゴンを丸焦げにしなかったのも及第点とするよ。でもさ…クリスタルの回収はしなかったよね。何で?忘れてたの?」
「そ、それは……」
俯き言い淀む相田君に、
「魔獣を討伐出来た事で得られた達成感と怪我とかしなくて良かったて安堵感に浸ってて、最終目標をすっかり忘れてしまうようじゃ、領域封印への同行は許可できないよ?」
と、冷静にはっきりとそう告げたんだ。
これには田代君も中山君からも反論の言葉が出なかったようで、彼等は黙ったままその場に立ち尽くしてた。

そんな彼等を、僕は背後から押して促す様に、ダイバードさんが展開した転移魔法の魔法陣の上に乗せた。
そう
帰りは雪山を足で下りず、転移魔法で帰る計画だったからだ。
なのに彼等は聞かされて居なかった魔法陣の上に乗せられているのに怒りもしなければ驚きもしなかった。
「相田君?田代君?……はぁ……中山君まで放心状態ダメなんだ。ったく仕方ないなぁ……」
魔法陣での転移は、乗った皆がしっかり手を繋いでいないと、途中で振り落とされたりしたら、次元の狭間に放り出され、最悪そこから出られなくなってしまう可能性があるんだ。
今の相田君達の様子では、手を離してしまうどころか、手さえも繋がなさそうでとても危うかった。

仕方なしに僕は、異空間鞄から丈夫なロープを取り出し3人の体を縛っていった。そして僕自身をもそのロープで縛ると、
「カールソンさん。ロープの端これ持って貰ってもいいですか?」
と言って、それをカールソンさんに差し出した。
すると彼は、
「了解だ、のぞむ」
と言って何故か自分の体にもロープを巻き付けたんだ。

「カールソンさん!何してるんですか」
と驚き声を上げる僕に、
「念の為だ」
と事も無げにそう言ってくれたカールソンさん。

そんな僕らを見たダイバードさんは、
「転移の用意が出来たようですね。では、参りましょう!」
と言って転移の為の詠唱を始めた。

ダイバードさんの服を縛っている腰紐を、彼の右側に立って左手で持っているカールソンさんと、ダイバードさんの左に立ち、腰紐を右手で持っていたルードリッヒさんは、空いている左手で相田君達を縛っているロープの1本をギュッと握ってくれていたのが分かった。

(ほんとに2人は優しいな)と僕がそう思ったのと同時に、魔法陣が眩しい光を放った。
そして僕らは、王都にあるルードリッヒさんのお屋敷に向かって、雪山から姿を消したんだ。
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