115 / 127
第十章 領域封印(クリスタルドラゴン討伐)
3
しおりを挟む
「のぞむ。彼奴ら大丈夫なのか?」
相田君たちの戦いを1歩引いたところで見守る僕達。
そんな中カールソンさんが、インカムでボソッっとそう呟いた。
目の前でクリスタルドラゴンとの攻防を繰り広げる相田君達の戦いぶりは、実践向きではないし、いちいちオーバーリアクション過ぎて隙がありまくっている。
「ハァーーーーーーーーー!」とか「くらえーーーー!」とか言ってないで、とっとととどめを刺せば良いのにと思ってしまう僕は、すっかりカールソンさんの脳筋色に染められてしまったのかもしれない。
「のぼる。呆れている場合じゃないぞ。」
と言うルードリッヒさんの言葉で相田君達を見ると、ドラゴンのしっぽ攻撃から逃げようとしている最中だった。
しまった!
ドラゴンがあれをやった後、決まって次に行う攻撃があるんだ。
そもそも敵に背中を見せるとか有り得ないのに!
相田君達馬鹿なのか?
と思いはするが、今はそんな事言ってはいられない。
僕は逃げる相田君達に向かって叫んだ。
「来るぞ!ブレスだ!!」
僕達(ルードリッヒさんとカールソンさん、それと魔導士のダイバードさん)はこの前の大規模討伐の時と同じ様にインカムをしている。だけど、相田君達には渡さなかった。
だって自分達の力でクリスタルをドロップするって約束だったからね。
だからインカムをつけてない彼等への指示は、大声で叫ぶしか方法が無かったんだ。
だけど、喉が痛くなってちょっと後悔した。
これがもし吹雪いてたら、確実に僕の気管は凍ってたな。
まぁ今のでも十分気管が痛くてヤバいんだけどさ。
僕の叫びで、ドラゴンがブレス攻撃を仕掛けようとしてる事に気づいた相田君に、僕は尚も叫んだ!
「相田!逃げてる場合じゃない!打て!早く!!」
僕の言葉の意味が分かったらしい相田君は、すぐ様ドラゴンに向けて火力最大の火を放ったんだ。
きっとテントの中で、僕が『ピンチになったらこの石を握れ』って言った事を思い出して実行したんだろう。
あとは彼奴らにやらせればいいや。と思った僕だったけど、もう一度だけ檄を飛ばさなきゃならなくなったんだ。
だって彼奴ら、さっきの一撃だけで勝った!って思ってるみたいだったから。
甘いんだっての!
あのクリスタルドラゴンは知能指数がチンバンジー並に高いんだ。
姿形は、僕達の世界で大昔に地球上を支配していた肉食恐竜に似てるけど、ドラゴンは捕食が命の脳筋竜なんかじゃないんだ。
「もう一度だ!今度は剣を振り下ろさず ずっと構えてろ!田代!お前は相田を援護!風で炎をブーストするんだ!もたもたしないで早く!中山!相田の手をお前の氷で直ぐに冷やせる様にそばにいてやれ!」
と言った僕の言葉に、相田君達は一瞬ビビったみたいだったけど、直ぐに気持ちを切り替え動き出した。
僕は、彼等がやっと本来の戦い方を始めた事に安堵し、ネックウォーマーで口を隠す事にした。
魔石入のネックウォーマーで、凍りつきそうだった喉を温めようとすると、
「俺がやりますよ」
と言って、ダイバードさんがネックウォーマー越しに治癒魔法をかけてくれた。
ダイバードさんが言うには、僕の喉は凍傷になりかけていて、とても危ない状況だったらしい。
「ダイバードさん。ありがとうございます」
と言うと、
「君は仲間思いの、本当に優しい子ですね。」
と言って帽子を被った頭を撫でられてしまった。
僕は恥ずかしくて俯いてしまったんだけど、それを見たカールソンさんが、
「確かにのぞむは優しい子だよな」
と言って、わざわざ僕の帽子を取ってまで、頭をワシャワシャとさせたから、少しムッとしながらカールソンさんを睨みつけてやったんだ。
そんな僕達をルードリッヒさんは笑って見てくれてたんだけど、
「おや?どうやら彼等。ドラゴンにとどめを刺そうと動き出したようだよ?見てごらん、のぞむ。」
と言って、相田君達の方を指さしていた。
ルードリッヒさんの言うとおり、そこにはさっきとは打って変わった表情をした彼等が、今まさにドラゴンを討ち取ろうとしている姿があったんだ。
相田君たちの戦いを1歩引いたところで見守る僕達。
そんな中カールソンさんが、インカムでボソッっとそう呟いた。
目の前でクリスタルドラゴンとの攻防を繰り広げる相田君達の戦いぶりは、実践向きではないし、いちいちオーバーリアクション過ぎて隙がありまくっている。
「ハァーーーーーーーーー!」とか「くらえーーーー!」とか言ってないで、とっとととどめを刺せば良いのにと思ってしまう僕は、すっかりカールソンさんの脳筋色に染められてしまったのかもしれない。
「のぼる。呆れている場合じゃないぞ。」
と言うルードリッヒさんの言葉で相田君達を見ると、ドラゴンのしっぽ攻撃から逃げようとしている最中だった。
しまった!
ドラゴンがあれをやった後、決まって次に行う攻撃があるんだ。
そもそも敵に背中を見せるとか有り得ないのに!
相田君達馬鹿なのか?
と思いはするが、今はそんな事言ってはいられない。
僕は逃げる相田君達に向かって叫んだ。
「来るぞ!ブレスだ!!」
僕達(ルードリッヒさんとカールソンさん、それと魔導士のダイバードさん)はこの前の大規模討伐の時と同じ様にインカムをしている。だけど、相田君達には渡さなかった。
だって自分達の力でクリスタルをドロップするって約束だったからね。
だからインカムをつけてない彼等への指示は、大声で叫ぶしか方法が無かったんだ。
だけど、喉が痛くなってちょっと後悔した。
これがもし吹雪いてたら、確実に僕の気管は凍ってたな。
まぁ今のでも十分気管が痛くてヤバいんだけどさ。
僕の叫びで、ドラゴンがブレス攻撃を仕掛けようとしてる事に気づいた相田君に、僕は尚も叫んだ!
「相田!逃げてる場合じゃない!打て!早く!!」
僕の言葉の意味が分かったらしい相田君は、すぐ様ドラゴンに向けて火力最大の火を放ったんだ。
きっとテントの中で、僕が『ピンチになったらこの石を握れ』って言った事を思い出して実行したんだろう。
あとは彼奴らにやらせればいいや。と思った僕だったけど、もう一度だけ檄を飛ばさなきゃならなくなったんだ。
だって彼奴ら、さっきの一撃だけで勝った!って思ってるみたいだったから。
甘いんだっての!
あのクリスタルドラゴンは知能指数がチンバンジー並に高いんだ。
姿形は、僕達の世界で大昔に地球上を支配していた肉食恐竜に似てるけど、ドラゴンは捕食が命の脳筋竜なんかじゃないんだ。
「もう一度だ!今度は剣を振り下ろさず ずっと構えてろ!田代!お前は相田を援護!風で炎をブーストするんだ!もたもたしないで早く!中山!相田の手をお前の氷で直ぐに冷やせる様にそばにいてやれ!」
と言った僕の言葉に、相田君達は一瞬ビビったみたいだったけど、直ぐに気持ちを切り替え動き出した。
僕は、彼等がやっと本来の戦い方を始めた事に安堵し、ネックウォーマーで口を隠す事にした。
魔石入のネックウォーマーで、凍りつきそうだった喉を温めようとすると、
「俺がやりますよ」
と言って、ダイバードさんがネックウォーマー越しに治癒魔法をかけてくれた。
ダイバードさんが言うには、僕の喉は凍傷になりかけていて、とても危ない状況だったらしい。
「ダイバードさん。ありがとうございます」
と言うと、
「君は仲間思いの、本当に優しい子ですね。」
と言って帽子を被った頭を撫でられてしまった。
僕は恥ずかしくて俯いてしまったんだけど、それを見たカールソンさんが、
「確かにのぞむは優しい子だよな」
と言って、わざわざ僕の帽子を取ってまで、頭をワシャワシャとさせたから、少しムッとしながらカールソンさんを睨みつけてやったんだ。
そんな僕達をルードリッヒさんは笑って見てくれてたんだけど、
「おや?どうやら彼等。ドラゴンにとどめを刺そうと動き出したようだよ?見てごらん、のぞむ。」
と言って、相田君達の方を指さしていた。
ルードリッヒさんの言うとおり、そこにはさっきとは打って変わった表情をした彼等が、今まさにドラゴンを討ち取ろうとしている姿があったんだ。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~
月白ヤトヒコ
ファンタジー
教皇ロマンシス。歴代教皇の中でも八十九歳という最高齢で就任。
前任の教皇が急逝後、教皇選定の儀にて有力候補二名が不慮の死を遂げ、混乱に陥った教会で年功序列の精神に従い、選出された教皇。
元からの候補ではなく、支持者もおらず、穏健派であることと健康であることから選ばれた。故に、就任直後はぽっと出教皇や漁夫の利教皇と揶揄されることもあった。
しかし、教皇就任後に教会内でも声を上げることなく、密やかにその資格を有していた聖者や聖女を見抜き、要職へと抜擢。
教皇ロマンシスの時代は歴代の教皇のどの時代よりも数多くの聖者、聖女の聖人が在籍し、世の安寧に尽力したと言われ、豊作の時代とされている。
また、教皇ロマンシスの口癖は「わしよりも教皇の座に相応しいものがおる」と、非常に謙虚な人柄であった。口の悪い子供に「徘徊老人」などと言われても、「よいよい、元気な子じゃのぅ」と笑って済ませるなど、穏やかな好々爺であったとも言われている。
その実態は……「わしゃ、さっさと隠居して子供達と戯れたいんじゃ~っ!?」という、ロマ爺の日常。
短編『わし、八十九歳。ぴっちぴちの新米教皇。もう辞めたい……』を連載してみました。不定期更新。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる