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第九章 王との謁見(僕は勇者ではない)
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「陛下。我々は、領域封印に向かう事、全員一致で了承致しました事を、ここにご報告申し上げます。」
と言ったルードリッヒさんの言葉をきっかけに、カールソンさんミランダさん、そして僕は王に頭を下げた。
そう。今、僕達は王の前にいて、お言葉を拝聴している。そんなところだろうか。
「そうか。あい分かった。ミランダよ、大役だが頼んだぞ。」
「はい。畏まってございます。」
「うむ。カールソンよ、ミランダを頼むぞ。」
「御意に。」
「それからのぞむ殿。貴殿もミランダを頼むぞ。」
「はい、王様。ですが、一つだけ良いでか?」
「あぁ。なんであろう。何か希望でもおありかな?」
と言った王の言葉に、先程皆さんと話した内容を王にぶつけたんだ。
その内容とは……
僕が寝ていた部屋にカールソンさんが加わり、僕達は改めて王命だという領域封印の話をした。
この国の貴族である彼等は、王命には従わなければならない。これは絶対条件なのだという。
だがルードリッヒさんはこうも言った。
『元王族として、この国に住む全ての民を護りたい。』
と。
国民全てを護る……。それは素晴らしい事だ。そして多分、そんな事が出来るのは、彼等くらいしか出来ないだろう。
僕の知っている彼等は、口先だけじゃない、本物の勇者だから。
だからこそ僕は、同行を躊躇してしまう。
本当に僕なんかで大丈夫なんだろうかって……。
確かに僕にも護りたい人達はいる。
だからこそ、これまで頑張って戦ってきた。
だけど……
「僕はミランダさんが言ってくれた様な、真の勇者ではありません。僕は皆さんの様に、国民全てを護る!という様な大きな覚悟が無いんです。それでもいいんでしょうか。勿論、同行したら皆さんの足でまといにはならない様に頑張ります。だけど……僕の力なんかじゃ、封印の助力には到底ならない可能性が高いかと……。」
と言う僕に、
「そんな事無いですわ!私が……この私が、聖女というお役目を無事に果たす為に、のぞむ君の力が必要なのです。」
「でも……僕は魔力無しですし……。」
「確かにのぞむには魔力が無い。それは変えられない事実だよ。しかしのぞむには、付与師というスキルがあるじゃないか。」
「ルードリッヒさんが言うとおり、付与師というスキルはありますが、でもそれは、武器に対してしか使えないと思うんです。だから封印には…「いいえ、のぞむ君。それは違いましてよ?」え?違う?」
「あぁそうだ。ミランダ様の仰るとおりだ。のぞむの付与師としての能力は、なにも武器だけにしか使えないわけではないと思うぞ。」
ここまで来て、ずっと黙っていたカールソンさんが口を開いた。
「それはどういう事ですか?カールソンさん。」
まだちゃんと回復していないという理由から、僕はベッドの上に座ったままカールソンさんに詰め寄った。
そんな僕にカールソンさんは、「落ち着け、のぞむ。」と宥め、どういう事かの説明をしてくれたんだ。
「のぞむの付与師としての能力は、武器のみにしか使えないわけではないと俺は思っている。」
「はぁ……。」
「俺の見解にはなるが、のぞむの力は、武器のみではなく、物全般に作用するのだと思う。」
「物全般に…ですか?」
「あぁそうだ。いい例が、のぞむが異世界から持ち込んだあの画像記録の出来る小さく薄い物があったろう?」
とカールソンさんは、指で空中に四角を描いてみせた。
それは、恐らく…いや絶対に"スマホ”の事だと思った。
「スマホ……の事ですよね?」
「あぁ、名前は知らんが、のぞむが言っている物と俺が指している物は同じだろう。」
とカールソンさんはそう言った。
だが、スマホがどうなのか?
僕は皆目見当もつかず、首を傾げるだけだった。
と言ったルードリッヒさんの言葉をきっかけに、カールソンさんミランダさん、そして僕は王に頭を下げた。
そう。今、僕達は王の前にいて、お言葉を拝聴している。そんなところだろうか。
「そうか。あい分かった。ミランダよ、大役だが頼んだぞ。」
「はい。畏まってございます。」
「うむ。カールソンよ、ミランダを頼むぞ。」
「御意に。」
「それからのぞむ殿。貴殿もミランダを頼むぞ。」
「はい、王様。ですが、一つだけ良いでか?」
「あぁ。なんであろう。何か希望でもおありかな?」
と言った王の言葉に、先程皆さんと話した内容を王にぶつけたんだ。
その内容とは……
僕が寝ていた部屋にカールソンさんが加わり、僕達は改めて王命だという領域封印の話をした。
この国の貴族である彼等は、王命には従わなければならない。これは絶対条件なのだという。
だがルードリッヒさんはこうも言った。
『元王族として、この国に住む全ての民を護りたい。』
と。
国民全てを護る……。それは素晴らしい事だ。そして多分、そんな事が出来るのは、彼等くらいしか出来ないだろう。
僕の知っている彼等は、口先だけじゃない、本物の勇者だから。
だからこそ僕は、同行を躊躇してしまう。
本当に僕なんかで大丈夫なんだろうかって……。
確かに僕にも護りたい人達はいる。
だからこそ、これまで頑張って戦ってきた。
だけど……
「僕はミランダさんが言ってくれた様な、真の勇者ではありません。僕は皆さんの様に、国民全てを護る!という様な大きな覚悟が無いんです。それでもいいんでしょうか。勿論、同行したら皆さんの足でまといにはならない様に頑張ります。だけど……僕の力なんかじゃ、封印の助力には到底ならない可能性が高いかと……。」
と言う僕に、
「そんな事無いですわ!私が……この私が、聖女というお役目を無事に果たす為に、のぞむ君の力が必要なのです。」
「でも……僕は魔力無しですし……。」
「確かにのぞむには魔力が無い。それは変えられない事実だよ。しかしのぞむには、付与師というスキルがあるじゃないか。」
「ルードリッヒさんが言うとおり、付与師というスキルはありますが、でもそれは、武器に対してしか使えないと思うんです。だから封印には…「いいえ、のぞむ君。それは違いましてよ?」え?違う?」
「あぁそうだ。ミランダ様の仰るとおりだ。のぞむの付与師としての能力は、なにも武器だけにしか使えないわけではないと思うぞ。」
ここまで来て、ずっと黙っていたカールソンさんが口を開いた。
「それはどういう事ですか?カールソンさん。」
まだちゃんと回復していないという理由から、僕はベッドの上に座ったままカールソンさんに詰め寄った。
そんな僕にカールソンさんは、「落ち着け、のぞむ。」と宥め、どういう事かの説明をしてくれたんだ。
「のぞむの付与師としての能力は、武器のみにしか使えないわけではないと俺は思っている。」
「はぁ……。」
「俺の見解にはなるが、のぞむの力は、武器のみではなく、物全般に作用するのだと思う。」
「物全般に…ですか?」
「あぁそうだ。いい例が、のぞむが異世界から持ち込んだあの画像記録の出来る小さく薄い物があったろう?」
とカールソンさんは、指で空中に四角を描いてみせた。
それは、恐らく…いや絶対に"スマホ”の事だと思った。
「スマホ……の事ですよね?」
「あぁ、名前は知らんが、のぞむが言っている物と俺が指している物は同じだろう。」
とカールソンさんはそう言った。
だが、スマホがどうなのか?
僕は皆目見当もつかず、首を傾げるだけだった。
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