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第六章 ヲタは領域を制す(王との謁見編)

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「二刀流とは何だ?」
「私も知りたいな、のぞむ。」
とカールソンさんだけでなく、ルードリッヒさんも食いついてきた。
仕方なく僕は、三人に……いやその場にいて聞き耳を立てている他の騎士達にも届くような声の大きさでこう言った。
「僕の国にはいくつかのことわざというものがあり、その中の一つに『百聞は一見にしかず』という言葉があります。意味は"人から何度も聞くより、一度実際に自分の目で見るほうが確かであり、よくわかる。”といったような事なんです。ですので、僕の言った二刀流も実際お見せした方が早いと思うんですけど……。アルベルさん?」
「ん?どうかしたのかい?」
「何処かにソードを思いっきり振れる場所って無いですか?」
という僕の質問に答えてくれたのは、
「それなら、訓練場を使ってくれ!」
アルベルさんではなく、違う声の持ち主だった。

「あ、貴方は?」
アルベルさんを始め、騎士の人達が皆声の主に敬礼をしているところから、この人は騎士の偉い人だということが分かった。
「俺は王宮騎士団の騎士団長だ。」
「騎士団長さんですか。こんにちは。僕は付与師のわたせのぞむです。宜しくお願いします。」
「あぁ。宜しく頼む。」
ぺこりと頭を下げる僕に、騎士団長さんは、
「二刀流とやらの説明の為に、俺達騎士団の訓練場を使ってくれ。俺も二刀流それを見てみたいからな。」
と言ってくれた。

騎士団長が貸してくれると言うのなら話は早いし簡単だ。
そう思った僕は、素直に
「ありがとうございます、騎士団長さん。では、僕を訓練場そこに連れて行って下さい。」
とお願いした。そして王様の方に向き直ると、
「王様。王様は、この後、公爵家騎士団の団員の僕に話なんてないですよね?もう失礼しても宜しいですか?」
と問うと、
「そ、そうであるな。うむ……。確かにのぞむ殿に話はない…な。下がって良いぞ。」
という王様の言葉に、
「分かりました。では、御前を失礼致します。」
と騎士の礼を取ると、
「じゃ、皆さん。行きましょうか。」
と言って、僕達は騎士団長さんを先頭に、謁見の間を後にした。

こうして僕の・・王との謁見は速攻で終わった。
きっと、王様はもっと僕に言いたいことがあったのかもしれない。ま、昔の時代劇で、お殿様のセリフにありそうな、『苦しゅうないぞ。褒めて遣わす。』的な事を……なんだろうけど、別に僕は、王に"褒めて貰いたくて戦った”わけじゃないし、"褒めて貰いたくてここに来た”んじゃないんだから、どうでも良かったんだ。

さっさと謁見の間を出た僕を、口をあんぐりと開けて見送った王様と司祭のおじさんの顔が見物だったと、後から訓練場に合流したルードリッヒさんに教えて貰った。

あの人達に対して、僕はなんの感情もない。
きっと二度と関わる事は無いだろうと、騎士団長やカールソンさん、それからアルベルさん達に二刀流とは?を教える事だけに集中していた僕はそう思っていた。

でもその思いは、後日また王宮に呼び出される事で、見事に打ち砕かれてしまった。
そしてまさか、あんな事迄依頼されてしまうとは、この時の僕は、思ってもみなかったんだ。
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