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第六章 ヲタは領域を制す(王との謁見編)
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「それは……俺が君にあげたものだと……。」
そう言っておずおずと名乗り出てくれた騎士さん。
僕はその人の傍に駆け寄ると、彼の両手を取ってお礼を言った。
「貴方のおかげです、騎士さんの……「其奴の名前はアルベルだ、のぞむ。」」
そう教えてくれたのは、カールソンさんだ。
「ありがとうございます、カールソンさん。」
僕はカールソンさんにお礼を言うと、再びアルベルさんに向き直った。
「アルベルさんのおかげで、僕は無事市井に着くことが出来、大事な人達に会う事が出来たんです。あの時、ちゃんと貴方にお礼が言えなくて申し訳ありませんでした。」
「い、いや……。俺もあの時、君を庇いたて出来ず……本当に申し訳ない。」
と謝るアルベルさんに、
「いえ。あの時のあの場で、アルベルさんの立場では何も出来なかったと思うんで……。だから、謝らなくても良いんです。」
と僕の気持ちが伝わる様に、精一杯の笑顔で話した。そして、
「アルベルさん。僕は付与師なんです。なので、僕の得意分野である武器の付与で、アルベルさんにお礼をさせて下さいませんか?」
と言って「持っているその剣を見せて下さい。」と切り出した。
そんな僕の願いを聞き入れてくれたアルベルさんは、腰に下げていた剣を僕に手渡してくれたんだ。
僕はその剣を受け取ると、付与師のスキルを発動した。そして徐にアルベルさんに問いかけた。
「アルベルさんは、風魔法を得意とするんですか?」
「あぁ……。だがどちらかというと、水魔法の方が得意だな。」
「水魔法ですね。ですが……、この剣はどちらかというと火魔法向きの剣ですね。」
「火魔法だって?そ、そうなのか……。だから俺はいつまで経っても……。」
どうやらアルベルさんは、得意とする魔法と武器との相性が悪い事で、苦労している様だ。
「でもっ!安心して下さい。これをグリップに着ければ……。」
僕はウエストポーチ型の異空間鞄の中から必要な道具を取り出し、その場で魔石プレートの脱着可能なグリップに取り替えをした。が、プレートにはアルベルさんが得意な水魔法の為の魔石は敢えて付けなかった。
その代わり水魔法の次に得意な風魔法の魔石を付けて剣を返しながらこう言ったんだ。
「僕が開発した、魔石をはめたプレートが脱着可能なグリップに付け替えしました。でも……この剣にはアルベルさんが得意な水魔法の魔石を付ける事が出来ません。全く出来ないわけではないのですが、あまりにも火属性が強過ぎる剣なので、水魔法の効果が上がらないんです。でも、水魔法の次に得意だと仰った風魔法の魔石を付けました。風と火は相性が良いですからね。」
「おぉ!これが噂の取り替え可能なグリップの武器か!初めて手にしたよ。うん、握り具合も良いな。まるで手に吸い付くみたいだ。でも……残念だ。俺が得意な魔法は……。」
と肩を落とすアルベルさんに、
「其方の剣は、何か思い入れのある剣ですか?」
と聞いてみた。すると、
「我が家の家宝なんだ。昔、俺の祖父が騎士爵を貰い受けた時、前陛下より賜った大事な剣なんだ。」
と言うアルベルさん。
「だが……俺の魔法との相性が悪いのでは……。」
と悩むアルベルさんに、
「でしたら、二刀流になられたら良いじゃないですか。」
と言った。
「なんだ?その、二刀流って。」
その言葉に食いついてきたのは、アルベルさんではなくカールソンさんだった。
そう言っておずおずと名乗り出てくれた騎士さん。
僕はその人の傍に駆け寄ると、彼の両手を取ってお礼を言った。
「貴方のおかげです、騎士さんの……「其奴の名前はアルベルだ、のぞむ。」」
そう教えてくれたのは、カールソンさんだ。
「ありがとうございます、カールソンさん。」
僕はカールソンさんにお礼を言うと、再びアルベルさんに向き直った。
「アルベルさんのおかげで、僕は無事市井に着くことが出来、大事な人達に会う事が出来たんです。あの時、ちゃんと貴方にお礼が言えなくて申し訳ありませんでした。」
「い、いや……。俺もあの時、君を庇いたて出来ず……本当に申し訳ない。」
と謝るアルベルさんに、
「いえ。あの時のあの場で、アルベルさんの立場では何も出来なかったと思うんで……。だから、謝らなくても良いんです。」
と僕の気持ちが伝わる様に、精一杯の笑顔で話した。そして、
「アルベルさん。僕は付与師なんです。なので、僕の得意分野である武器の付与で、アルベルさんにお礼をさせて下さいませんか?」
と言って「持っているその剣を見せて下さい。」と切り出した。
そんな僕の願いを聞き入れてくれたアルベルさんは、腰に下げていた剣を僕に手渡してくれたんだ。
僕はその剣を受け取ると、付与師のスキルを発動した。そして徐にアルベルさんに問いかけた。
「アルベルさんは、風魔法を得意とするんですか?」
「あぁ……。だがどちらかというと、水魔法の方が得意だな。」
「水魔法ですね。ですが……、この剣はどちらかというと火魔法向きの剣ですね。」
「火魔法だって?そ、そうなのか……。だから俺はいつまで経っても……。」
どうやらアルベルさんは、得意とする魔法と武器との相性が悪い事で、苦労している様だ。
「でもっ!安心して下さい。これをグリップに着ければ……。」
僕はウエストポーチ型の異空間鞄の中から必要な道具を取り出し、その場で魔石プレートの脱着可能なグリップに取り替えをした。が、プレートにはアルベルさんが得意な水魔法の為の魔石は敢えて付けなかった。
その代わり水魔法の次に得意な風魔法の魔石を付けて剣を返しながらこう言ったんだ。
「僕が開発した、魔石をはめたプレートが脱着可能なグリップに付け替えしました。でも……この剣にはアルベルさんが得意な水魔法の魔石を付ける事が出来ません。全く出来ないわけではないのですが、あまりにも火属性が強過ぎる剣なので、水魔法の効果が上がらないんです。でも、水魔法の次に得意だと仰った風魔法の魔石を付けました。風と火は相性が良いですからね。」
「おぉ!これが噂の取り替え可能なグリップの武器か!初めて手にしたよ。うん、握り具合も良いな。まるで手に吸い付くみたいだ。でも……残念だ。俺が得意な魔法は……。」
と肩を落とすアルベルさんに、
「其方の剣は、何か思い入れのある剣ですか?」
と聞いてみた。すると、
「我が家の家宝なんだ。昔、俺の祖父が騎士爵を貰い受けた時、前陛下より賜った大事な剣なんだ。」
と言うアルベルさん。
「だが……俺の魔法との相性が悪いのでは……。」
と悩むアルベルさんに、
「でしたら、二刀流になられたら良いじゃないですか。」
と言った。
「なんだ?その、二刀流って。」
その言葉に食いついてきたのは、アルベルさんではなくカールソンさんだった。
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