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第五章 変わったヲタ
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魔法により動きを止められ唸り声を上げている雄のリップレオの前に到着すると、
「ふん!凄腕冒険者達の集まりだと聞いていたが、この程度とはお粗末だな。」
「そうですね、足を固めるのが精一杯だったのでは?」
「僕達だったら、もっと早くやっつけちゃったのにね~。ごめんね~?待たせちゃったね~。」
と言う勇・賢・昴。そんな彼等の言葉に同調するかのように、
「そいつを早く仕留めてしまおう!そうすれば、城へ帰れる。」
「そだね~。またあの馬車で帰るのは愛子のかわいいお尻が痛くなっちゃうけど、こんなところにずっと居たくはないかも~。」
「コイツ殺ったら、また可愛い子達にお付きの子を替えてくれるって言ってたから、俺がコイツ殺ってやるよ!お前達は手を出さなくていい。」
て事を言う、寺田・愛子・先輩。
流石にそれ等の言葉に対して頭に来たのか、カールソンさんが文句を言おうと口を開こうとするが、ルードリッヒさんがそれを片手で制した。が、勇達に向ける視線の鋭さから察するに、カールソンさんと同様に彼も怒りに満ちているんだろう。
そんな二人の思いを知ってか知らずか、
「動けない敵なんて倒したって物足りないな。」
「そうですね。だったら勇の火魔法で、あの氷を溶かしてしまったらどうでしょう?」
「流石賢者の賢。ナイスアイディア~。」
「そういう事なら早くやってくれないか?俺はアイツの近くに行って、氷が溶けるのを待っているから。」
と言ってスタスタとレオに向かって歩き出す中島先輩を呆れた顔で見ている勇達だったが、何かを思ったようで
「中島!行くぞ!」
と言うやいなや、
「喰らえ【ファイヤー ブレイド】!」
と勇が剣から炎を出すと、
「風よ!炎を纏い熱風となれ!【ストロング ウインド】!」
と賢がその炎を乗せた強い風を中島の近くにいるレオに向けて飛ばした。
強風に乗った炎は、レオ目掛けてまっしぐらに進むと、レオの足元の氷を溶かすどころではなく、炎がレオの身体を包んだ。
「グアウォォォ!」
その熱さでレオが唸り声を上げる。
「中島!殺れ!!」
と叫ぶ勇の声に反応した中島先輩が、
「あっちぃ!おい!勇!!誰がレオを燃やせって「もたもたしてると、氷が溶けちゃうよ~。」え!!」
「そうですよ、中島先輩。早くしないとライオンに食べられちゃいますよ?」
「グォォォ!」
唸り声と共に、氷が溶け始めた為、動ける様になった前足を振りあげようとするレオ。
その鋭い爪に恐れおののいてる中島先輩の様子を笑う勇達に、結界にいる冒険者達の顔には、勇達に対する蔑みの表情が浮かんでいた。
それもそうだろう。冒険者達は、自分達の仲間のピンチを笑うなんて馬鹿な事をする者は一人もいない。
そんな彼等からすると、勇達の様子は有り得ない事だから。
身体を燃やしながらも二本の前足を振り回すレオと、それを避ける逃げ惑う中島先輩。
まだ後ろ足の氷は辛うじて残ってはいるから立ち上がる事は出来ないが、それでもアイツの爪は強烈だ。早くとどめをささないと、中島先輩が危ないのに、
「ほらほら!早く殺さないと、俺が始末しちまうぜ!」
「面倒だから勇が殺っちゃいなよ~。」
「私もそう思います。早くアレを倒してしまわないと、此方にまで被害が及びそうですからね。」
と茶化す勇達。
愛子も寺田もニヤニヤ笑っている。
何故彼を誰も助けないのかが不思議に思った僕は、勇達を連れてきた騎士団の方を見た。
勇達から距離を取って見ている騎士団の人達は、全員勇達をじっと見ているだけで、誰も手を貸そうとしなかった。
それはまるで、何かを見定めているかの様に……。
僕は、騎士団の人達のその行動の意味が分からず、ただ首を傾げ、また勇達の方を見るだけだった。
「ふん!凄腕冒険者達の集まりだと聞いていたが、この程度とはお粗末だな。」
「そうですね、足を固めるのが精一杯だったのでは?」
「僕達だったら、もっと早くやっつけちゃったのにね~。ごめんね~?待たせちゃったね~。」
と言う勇・賢・昴。そんな彼等の言葉に同調するかのように、
「そいつを早く仕留めてしまおう!そうすれば、城へ帰れる。」
「そだね~。またあの馬車で帰るのは愛子のかわいいお尻が痛くなっちゃうけど、こんなところにずっと居たくはないかも~。」
「コイツ殺ったら、また可愛い子達にお付きの子を替えてくれるって言ってたから、俺がコイツ殺ってやるよ!お前達は手を出さなくていい。」
て事を言う、寺田・愛子・先輩。
流石にそれ等の言葉に対して頭に来たのか、カールソンさんが文句を言おうと口を開こうとするが、ルードリッヒさんがそれを片手で制した。が、勇達に向ける視線の鋭さから察するに、カールソンさんと同様に彼も怒りに満ちているんだろう。
そんな二人の思いを知ってか知らずか、
「動けない敵なんて倒したって物足りないな。」
「そうですね。だったら勇の火魔法で、あの氷を溶かしてしまったらどうでしょう?」
「流石賢者の賢。ナイスアイディア~。」
「そういう事なら早くやってくれないか?俺はアイツの近くに行って、氷が溶けるのを待っているから。」
と言ってスタスタとレオに向かって歩き出す中島先輩を呆れた顔で見ている勇達だったが、何かを思ったようで
「中島!行くぞ!」
と言うやいなや、
「喰らえ【ファイヤー ブレイド】!」
と勇が剣から炎を出すと、
「風よ!炎を纏い熱風となれ!【ストロング ウインド】!」
と賢がその炎を乗せた強い風を中島の近くにいるレオに向けて飛ばした。
強風に乗った炎は、レオ目掛けてまっしぐらに進むと、レオの足元の氷を溶かすどころではなく、炎がレオの身体を包んだ。
「グアウォォォ!」
その熱さでレオが唸り声を上げる。
「中島!殺れ!!」
と叫ぶ勇の声に反応した中島先輩が、
「あっちぃ!おい!勇!!誰がレオを燃やせって「もたもたしてると、氷が溶けちゃうよ~。」え!!」
「そうですよ、中島先輩。早くしないとライオンに食べられちゃいますよ?」
「グォォォ!」
唸り声と共に、氷が溶け始めた為、動ける様になった前足を振りあげようとするレオ。
その鋭い爪に恐れおののいてる中島先輩の様子を笑う勇達に、結界にいる冒険者達の顔には、勇達に対する蔑みの表情が浮かんでいた。
それもそうだろう。冒険者達は、自分達の仲間のピンチを笑うなんて馬鹿な事をする者は一人もいない。
そんな彼等からすると、勇達の様子は有り得ない事だから。
身体を燃やしながらも二本の前足を振り回すレオと、それを避ける逃げ惑う中島先輩。
まだ後ろ足の氷は辛うじて残ってはいるから立ち上がる事は出来ないが、それでもアイツの爪は強烈だ。早くとどめをささないと、中島先輩が危ないのに、
「ほらほら!早く殺さないと、俺が始末しちまうぜ!」
「面倒だから勇が殺っちゃいなよ~。」
「私もそう思います。早くアレを倒してしまわないと、此方にまで被害が及びそうですからね。」
と茶化す勇達。
愛子も寺田もニヤニヤ笑っている。
何故彼を誰も助けないのかが不思議に思った僕は、勇達を連れてきた騎士団の方を見た。
勇達から距離を取って見ている騎士団の人達は、全員勇達をじっと見ているだけで、誰も手を貸そうとしなかった。
それはまるで、何かを見定めているかの様に……。
僕は、騎士団の人達のその行動の意味が分からず、ただ首を傾げ、また勇達の方を見るだけだった。
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