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第四章 大規模討伐と彼等との再会
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午前中
いつもの様にケイドル爺さんの店に出勤し、店の前の掃除や店内清掃を終え開店した途端、何故か冒険者の方達がなだれ込んできた。
「皆さん一体どうしたんですか?」
と馴染みのお客さんの一人 ロッドさんに尋ねると、
「のぞむは知らないかもしれんが、昨日ギルドに凄い依頼が貼られたんだ!本当にとんでもないでっかい依頼がな!」
と異様に興奮しているロッドさんに若干引いていると、
「昨日、ギルドに貼られたとんでもない依頼っていうのはな…………。」
そう言って話してくれたのはロッドさんとパーティーを組んでいるトムソンさんだ。
聞けば、例の森の近くにある村に、魔獣が大量発生していて、王都の騎士団が撲滅の為動いているのだが、数が多過ぎて埒が明かない。その為、冒険者ギルドに依頼し、撲滅に手を貸して欲しい。魔獣を壊滅出来たら、莫大な報酬を国庫から支払うという事だ。
「で、皆さんはそれに対応出来る武器をお求めなんですね?」
とトムソンさんに問えば、
「それもそうだが、俺はお前の付与能力の力を貰って、武器の強化も図りたいと思ってる。」
と、トムソンさん愛用の剣をカウンターに置いた。それを機に我先と自分の要求を口々に言い始めるお客さん達。そんな彼等への対応に困っていると、
「煩いわいッ!こんなに煩いと、おちおち仕事も出来やしない!!なんじゃなんじゃ。いい大人が自分勝手にワイワイと話しよって!それに見ろ!そんなにいっぺんに話すから、のぞむが困っているじゃろが!」
と、店内の騒ぎを聞いて、奥から出てきたケイドル爺さんが大声で怒鳴った!
途端に黙った冒険者達のおかげで、店内はシーンと静けさを取り戻した。
「と、兎に角。皆さん落ち着いて下さい。順番にご依頼内容をお聞きしますので、此方に並んで頂けますか?」
と言って、僕は1枚の紙を8等分して、即席の整理券をつくると、その紙に1から番号書いて、大人しく一列に並んでくれたお客さん達に渡していった。
そして、一人ずつの注文を聞いては、お手製の受注依頼書に記入し、間違いが無いか?の確認をして貰い、魔石を削り溶かしたインクを使ってサインを書いて貰うと、引換券を渡すんだ。
引換券と依頼書の間には点線を引いてある。その点線部分に店の印章を押してか点線部分で切り取り、お客様控えとしてその紙を渡すシステムだ。
武器を受け取る際、この印章がピッタリと合わないと、武器を渡せない様にしてある。
何故このような事をするのか?と言うと。冒険者の中には、頼んだものとは違う!といちゃもんを付け料金の支払いを踏み倒そうとしたり、依頼をしたと嘘をついて、気に入った武器を強引に持っていこうとする不届き者がいるからだ。
そんな不正行為を防ぐために考え出したのが印章、ようは判子だ。まぁ、拇印やサインでも良かったんだけど、照合が面倒くさそうだと思った僕は、店の印章を作って押す事にしたんだ。
朱肉代わりにしたのは、女性の口紅だ。この世界で女性が使う口紅は、専用の容器の中に赤い染料などを混ぜた物を少量の水を付けた筆でのばし塗っているようだ。だから僕は、それを木を掘って作った印章に付けて押していた。
「はい。承りました。ご依頼品のお受け取りの際は、必ず此方をお持ち下さい。紛失されますと、ご依頼品をお渡し出来ない場合がありますので十分ご注意下さい。」
「じゃ、頼んだぞ。」
「はい!ありがとうございました。」
最後のお客さんを送り出した僕は、ケイドル爺さんの許可を得て、一旦店を閉める事にした。
何故なら午前中だけで、相当数の武器の強化や補強等の依頼を受けたからで、これ以上受けてしまうと、引き渡し希望の期日迄に仕事が完了しなくなってしまうからだった。
いつもの様にケイドル爺さんの店に出勤し、店の前の掃除や店内清掃を終え開店した途端、何故か冒険者の方達がなだれ込んできた。
「皆さん一体どうしたんですか?」
と馴染みのお客さんの一人 ロッドさんに尋ねると、
「のぞむは知らないかもしれんが、昨日ギルドに凄い依頼が貼られたんだ!本当にとんでもないでっかい依頼がな!」
と異様に興奮しているロッドさんに若干引いていると、
「昨日、ギルドに貼られたとんでもない依頼っていうのはな…………。」
そう言って話してくれたのはロッドさんとパーティーを組んでいるトムソンさんだ。
聞けば、例の森の近くにある村に、魔獣が大量発生していて、王都の騎士団が撲滅の為動いているのだが、数が多過ぎて埒が明かない。その為、冒険者ギルドに依頼し、撲滅に手を貸して欲しい。魔獣を壊滅出来たら、莫大な報酬を国庫から支払うという事だ。
「で、皆さんはそれに対応出来る武器をお求めなんですね?」
とトムソンさんに問えば、
「それもそうだが、俺はお前の付与能力の力を貰って、武器の強化も図りたいと思ってる。」
と、トムソンさん愛用の剣をカウンターに置いた。それを機に我先と自分の要求を口々に言い始めるお客さん達。そんな彼等への対応に困っていると、
「煩いわいッ!こんなに煩いと、おちおち仕事も出来やしない!!なんじゃなんじゃ。いい大人が自分勝手にワイワイと話しよって!それに見ろ!そんなにいっぺんに話すから、のぞむが困っているじゃろが!」
と、店内の騒ぎを聞いて、奥から出てきたケイドル爺さんが大声で怒鳴った!
途端に黙った冒険者達のおかげで、店内はシーンと静けさを取り戻した。
「と、兎に角。皆さん落ち着いて下さい。順番にご依頼内容をお聞きしますので、此方に並んで頂けますか?」
と言って、僕は1枚の紙を8等分して、即席の整理券をつくると、その紙に1から番号書いて、大人しく一列に並んでくれたお客さん達に渡していった。
そして、一人ずつの注文を聞いては、お手製の受注依頼書に記入し、間違いが無いか?の確認をして貰い、魔石を削り溶かしたインクを使ってサインを書いて貰うと、引換券を渡すんだ。
引換券と依頼書の間には点線を引いてある。その点線部分に店の印章を押してか点線部分で切り取り、お客様控えとしてその紙を渡すシステムだ。
武器を受け取る際、この印章がピッタリと合わないと、武器を渡せない様にしてある。
何故このような事をするのか?と言うと。冒険者の中には、頼んだものとは違う!といちゃもんを付け料金の支払いを踏み倒そうとしたり、依頼をしたと嘘をついて、気に入った武器を強引に持っていこうとする不届き者がいるからだ。
そんな不正行為を防ぐために考え出したのが印章、ようは判子だ。まぁ、拇印やサインでも良かったんだけど、照合が面倒くさそうだと思った僕は、店の印章を作って押す事にしたんだ。
朱肉代わりにしたのは、女性の口紅だ。この世界で女性が使う口紅は、専用の容器の中に赤い染料などを混ぜた物を少量の水を付けた筆でのばし塗っているようだ。だから僕は、それを木を掘って作った印章に付けて押していた。
「はい。承りました。ご依頼品のお受け取りの際は、必ず此方をお持ち下さい。紛失されますと、ご依頼品をお渡し出来ない場合がありますので十分ご注意下さい。」
「じゃ、頼んだぞ。」
「はい!ありがとうございました。」
最後のお客さんを送り出した僕は、ケイドル爺さんの許可を得て、一旦店を閉める事にした。
何故なら午前中だけで、相当数の武器の強化や補強等の依頼を受けたからで、これ以上受けてしまうと、引き渡し希望の期日迄に仕事が完了しなくなってしまうからだった。
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