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第三章 それぞれの魔獣戦
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「これは、銃だな?爺さんの店にあったのを見た事がある。」
と銃を握りながらルードリッヒさんが尋ねてきた。
「はい、そのとおりです。それは魔銃といって、銃に魔力を流し、トリガーを引く事で銃口から魔力の塊の弾丸を魔獣に向け放出する武器です。が、僕には魔力がありません。なので、爺さんから譲り受けた魔銃を基にして、これを作りました。」
そう言って僕は、鞄の中からもう一丁の銃を取り出した。
二丁の銃をそれぞれの手に取り見比べているルードリッヒさん。その掌に乗っている銃を彼の横から覗き込むカールソンさん。
二人はじっくりと銃を見たあと顔を上げて僕を見た。そして、
「のぞむ。すまないが俺にはこれ等の違いが分からない。」
「俺もだ、のぞむ。何処が違うんだ?」
と、ルードリッヒさんもカールソンもわけがわからないといった面持ちだった。
そこで僕は、それ等の違いを説明することにした。
先ず最初に渡した魔銃を使用するには魔力を流すのが必須上限だ。銃に流した魔力は、チェンバーというところに溜まり、トリガーを引くと動くハンマーにより、銃口から圧縮された魔力の魂が発射される仕組みだ。また、グリップに埋め込んだ魔石を触る事で、魔物の属性に合った魔力弾を撃つ事が出来る。
だが、口説い様だが、僕には魔力が無い。だから僕は、魔力が0でも使える魔銃を作り出したんだ。
僕が作った魔銃は、普通の銃と同じ様に薬莢を使う。薬莢には火薬を入れるのだが、僕は薬莢の先端部分に、剣などの武器に嵌める魔石を削った時に出る魔石の削りカスを混ぜ、ハンマーで撃たれる後端部には火薬を詰めた銃弾を詰めた。また、爺さんから貰った魔銃の銃身内部には無いが、元の世界の銃にはある"ライフリング ”を施した。ライフリングとは、銃砲の銃砲身内に施された螺旋状の溝の事で、この螺旋状の浅い溝により、銃身内で加速される弾丸に旋回運動を与え、ジャイロ効果によって弾軸の安定を図り、直進性を高める事が出来るからだ。
「違いはこんな感じなんですが、分かりましたか?」
と一通りの説明を終え二人を見ると、彼等が頭の上には、見えないクエスチョンマークが飛び交っている様な表情をしていた。
「百聞は一見にしかずなので、見て貰えますか?」
と言って、僕は自作の魔銃の方をルードリッヒさんの手から取り、グリップ部分に、あらかじめ銃弾を充填してある弾倉を入れると、安全装置を外し、ハンマーを下げた。それにより銃弾がチェンバーに移動。
今日は試し打ちの為、銃弾の中には魔力の削りカスは入れていない。
元の世界で実際の銃を撃ったことは無いが、仕組みは知っていたし、バトロワの中ではあるけど、銃の腕前には自信がある。
僕は魔銃を両手で持ち、30m位先にある木に銃口を向けた。トリガーを引くと銃弾が飛び出し……と同時に、僕も後方へ吹っ飛んだ。
「のぞむ!」
「大丈夫か?のぞむ!」
とカールソンさんとルードリッヒさんが駆け寄り、僕に声をかけてくれたけど、尾骶骨をしこたま地面に打ち付けてしまった僕は、痛みで声が出なかった為、首を縦に何度も振って"大丈夫だ”と二人に伝えた。
本物の銃は、こんな風に反動があるなんて……。
でも。ゲームでは知らなかった事を体験した事に、僕の心の中は嬉しさに満ち溢れていた。そして、明日からの特訓には、コイツにぶっ飛ばされない身体を作る事もメニューに組み込んで貰おうと、握ったままの魔銃を見ながらそう思った。
と銃を握りながらルードリッヒさんが尋ねてきた。
「はい、そのとおりです。それは魔銃といって、銃に魔力を流し、トリガーを引く事で銃口から魔力の塊の弾丸を魔獣に向け放出する武器です。が、僕には魔力がありません。なので、爺さんから譲り受けた魔銃を基にして、これを作りました。」
そう言って僕は、鞄の中からもう一丁の銃を取り出した。
二丁の銃をそれぞれの手に取り見比べているルードリッヒさん。その掌に乗っている銃を彼の横から覗き込むカールソンさん。
二人はじっくりと銃を見たあと顔を上げて僕を見た。そして、
「のぞむ。すまないが俺にはこれ等の違いが分からない。」
「俺もだ、のぞむ。何処が違うんだ?」
と、ルードリッヒさんもカールソンもわけがわからないといった面持ちだった。
そこで僕は、それ等の違いを説明することにした。
先ず最初に渡した魔銃を使用するには魔力を流すのが必須上限だ。銃に流した魔力は、チェンバーというところに溜まり、トリガーを引くと動くハンマーにより、銃口から圧縮された魔力の魂が発射される仕組みだ。また、グリップに埋め込んだ魔石を触る事で、魔物の属性に合った魔力弾を撃つ事が出来る。
だが、口説い様だが、僕には魔力が無い。だから僕は、魔力が0でも使える魔銃を作り出したんだ。
僕が作った魔銃は、普通の銃と同じ様に薬莢を使う。薬莢には火薬を入れるのだが、僕は薬莢の先端部分に、剣などの武器に嵌める魔石を削った時に出る魔石の削りカスを混ぜ、ハンマーで撃たれる後端部には火薬を詰めた銃弾を詰めた。また、爺さんから貰った魔銃の銃身内部には無いが、元の世界の銃にはある"ライフリング ”を施した。ライフリングとは、銃砲の銃砲身内に施された螺旋状の溝の事で、この螺旋状の浅い溝により、銃身内で加速される弾丸に旋回運動を与え、ジャイロ効果によって弾軸の安定を図り、直進性を高める事が出来るからだ。
「違いはこんな感じなんですが、分かりましたか?」
と一通りの説明を終え二人を見ると、彼等が頭の上には、見えないクエスチョンマークが飛び交っている様な表情をしていた。
「百聞は一見にしかずなので、見て貰えますか?」
と言って、僕は自作の魔銃の方をルードリッヒさんの手から取り、グリップ部分に、あらかじめ銃弾を充填してある弾倉を入れると、安全装置を外し、ハンマーを下げた。それにより銃弾がチェンバーに移動。
今日は試し打ちの為、銃弾の中には魔力の削りカスは入れていない。
元の世界で実際の銃を撃ったことは無いが、仕組みは知っていたし、バトロワの中ではあるけど、銃の腕前には自信がある。
僕は魔銃を両手で持ち、30m位先にある木に銃口を向けた。トリガーを引くと銃弾が飛び出し……と同時に、僕も後方へ吹っ飛んだ。
「のぞむ!」
「大丈夫か?のぞむ!」
とカールソンさんとルードリッヒさんが駆け寄り、僕に声をかけてくれたけど、尾骶骨をしこたま地面に打ち付けてしまった僕は、痛みで声が出なかった為、首を縦に何度も振って"大丈夫だ”と二人に伝えた。
本物の銃は、こんな風に反動があるなんて……。
でも。ゲームでは知らなかった事を体験した事に、僕の心の中は嬉しさに満ち溢れていた。そして、明日からの特訓には、コイツにぶっ飛ばされない身体を作る事もメニューに組み込んで貰おうと、握ったままの魔銃を見ながらそう思った。
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